皆さま、こんにちは。
税理士・公認会計士(船戸明)の「本業ブログ」にようこそ。
ここのところ、にわかに、1人3万円という所得税定額減税の話題が頻繁に登場するようになりました。もちろん、6月に支払われる給与や賞与から減税処理が始まるので、開始間近になったこともあるでしょう。でも、それと合わせて、「給与明細」への記載が事務上の負担になるという大騒ぎのようです。
「政府は1人3万円減らす所得税について、減税額を給与明細に明記するよう関係省令で義務付けたそうだ。企業側の事務負担は小さくないだろう。住民税のほうは6月分をいったんゼロにしたうえ、減税分を引いた額を11等分して翌月から徴収するという。1回限りの減税のために、なんとまあややこしい策を講じるのか」(23日、日経『春秋』)。
税理士の無力さをつくづく感じます。多くの税理士は、半年前から、ややこしすぎる定額減税をやめてくれ、と叫んでいたはず。少なくとも私はそうでした。上に書いてある内容は、給与明細も住民税も、すべて半年前から分かっていたこと。結局、税理士が叫んだくらいでは、制度は止まらない。世間もややこしさを認識してくれない。夏休みの宿題に慌てて取りかかるかのように、制度開始直前になって騒ぎになっています。
昨日、顧問先に定額減税の案内を出しました。給与ソフトを使っていれば、各人別の定額減税額確定と、給与明細の設定と、定額減税控除額の管理は、いくつかのボタン設定ですむはず(弥生給与で確認済)。企業側の事務負担は、さほど大きくないと思われます。ソフトではなく、独自のエクセルなどで計算している場合は、その様式変更に手間がかかるかもしれません。
細かな点は別として、昨日発信した内容を以下に掲げておきます。
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【0】月次調整の対象者
(1)6月1日時点の在籍者で、扶養控除等申告書の提出がある方
(=源泉徴収税額表の甲欄適用者)
(2)5月31日までの退職者は、6月以降支払給与があっても考慮不要
(3)6月2日以降入社した方は月次での減税処理なく、年末調整で加味
【1】特別減税額の確定
(1)本人 3万円
★今年の給与収入2,000万円超見込みの人は対象外
(=所得見込み1,805万円超)
(2)配偶者
a)今年の給与収入103万円以下かつ国内居住者 → ○ 3万円
b)今年の給与収入103万円超 → ×
c)非居住者 → ×
(3)扶養親族
★年齢は関係ありません(16歳未満も対象)
a)今年の給与収入103万円以下かつ国内居住者 → ○ 3万円
b)今年の給与収入103万円超 → ×
c)非居住者 → ×
例)配偶者収入0で扶養の子どもが2人いる場合
本人・配偶者・子ども2人で、3万円×4=12万円
【2】特別減税額の控除方法
(1)6月以降に支払われる給与・賞与の(通常)源泉所得税から控除
(2)6月で控除しきれない場合、7月以降の給与・賞与から順次控除
(3)6月1日以降の状況変化(扶養親族増加等)は年末調整で加味
(4)6月以降の給与明細には、通常の源泉徴収税額と特別減税実施額を別表記
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