こんにちは。
税理士・公認会計士(船戸明)の「本業ブログ」にようこそ。
村上春樹さんの『街とその不確かな壁』(新潮社)を読んでいます。650ページを超える大作ですが、読み進めていくうちに、残りが少なくなってきました。もうすぐ終わってしまう。持ち歩くのが重くても、やはり終わりに近づくとだんだん寂しく(名残り惜しく)なってくるものです。
本題とは関係ない(ことはないですが)箇所で、会社勤めを辞めて図書館での仕事に就いた主人公が語っていました。
「会社に勤めているときと違って、スーツを着る必要もなく、ネクタイを締める必要もない。窮屈な革靴を履く必要もない。それは私には何よりありがたいことだった。それだけでも仕事を変えた意味はある。いったんそういう生活を捨ててしまうと、自分がこれまでどれほどの不自由に耐えてきたかが実感できた」(P.228)。
それだけでも事務所を変えた意味はある――。1月に大阪から京都に事務所を移し、そう実感する機会が増えました。
固定電話を置かなくなった。FAXも置かないことにした。無駄なメール便が届かなくなった。ポストと郵便局と銀行の動線が良すぎる。そして、何より、ワンルームマンションの事務所使用。外出予定のない日に、スーツを着ていく必要がなくなった。必要がないというよりも、スーツを着ていく気がなくなったのです。
マンションですから、他の入居者は住んでいるはず。そのマンションにスーツで向かう気が起きません。今まではオフィス街にあるオフィスビルで、何となくスーツで入らなければと思い込まされていたことに気がつきました。今どき、そんな必要はないのに。
もう1つ、ワンルームマンションはどうなのだろうと心配していたのですが、杞憂でした。マンションですから、入居者のほとんどは住まいとして利用しているはず。朝に外出、夕方に戻る、という生活スタイルの方が多いでしょう。私は逆。朝、マンションに入り、夕方、マンションを出る。つまり、日中はことのほか静かなのです。「マンションでいいのか」という疑問も、自身の快適さより他人の目を意識していた証しでしょう。
近くに病院がありますので、救急車のサイレンがよく聞こえます。一方、京都鉄道博物館も近いため、時折、SLスチーム号の汽笛が聞こえてくる。これも、入居して初めて気づいたことでした。
部屋の環境も、仕事の進め方も、事務的な処理のための動線も、そして何より自分がとらわれていた不自由さに気づいたことも。それだけでも事務所を変えた意味はある、と感じる日々を重ねています。
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