【活用】社外取締役再考 | 早起き税理士・会計士の「本業ブログ」 by 船戸明会計事務所

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 東芝問題を受けて、コーポレートガバナンス(企業統治)に関する話題が、連日、新聞紙面を賑わせています。

 東芝は、2003年に委員会設置会社に移行し、報道によれば企業統治の優等生と言われていた。その東芝で、歴代3社長の「当期利益至上主義」を抑えることができず、今回の問題が発覚した。

 そうすると、短絡的に出てくるのが、やっぱりガバナンスをいくらやっても不祥事があるじゃないか、とか、社外取締役がいたって問題は起こるじゃないか、とか、そんな意見です。

 そうした論理に、真っ向から異を唱えていらっしゃるのが、オリックス シニア・チェアマンの宮内義彦さん。昨日(23日)の日経新聞紙上で、その見解が示されていました。

「企業の目的は、世の中のためになるモノやサービスをつくり、その結果もうけることだ。そうした目的をよりよく達成するためのシステムとしてコーポレートガバナンスがある。ガバナンスというまじないをかければ不祥事を防げるなんてことはあり得ない。ガバナンスの議論と、東芝の不祥事は何ら関係がない」

 ガバナンスが「システム」であること。ここでいうシステムは、仕組みや制度と理解してもいいのではないでしょうか。

 だとすると、「何ら関係がない」と言い切っておられるのは、「ガバナンスという仕組みの要否やいかし方は、すべて仕組みを運用する人にかかっていて、東芝の問題は仕組みの問題ではなく人の問題だ」という意味ではないかと想像します。


 この点、大阪都構想(そんなものがありました)について、思想家で武道家の内田樹先生がブログでおっしゃったことと通じるのではないかと思います。

「制度設計がどれほど適切でも、運用者に知恵と技能がなければ、制度は機能しない。逆にどんな不出来なシステムでも、「想定外のできごと」に自己責任で対処できる「まともな大人」が要路に一定数配されていれば、システムクラッシュは起きない」(5月22日「内田樹の研究室」より)。


 東芝問題に当てはめてみれば、「制度は立派だったけれど、運用者にまともな大人がいなかった。それは制度の問題ではなく、運用者の問題だ」ということになるのではないでしょうか。


 もう1点、宮内さんのご指摘で重要な点をご紹介しておきます。

「日本では社外取締役は社長に助言しなければならないとか、会社の内容について適切な質問をしなければならないとかいわれるが、冗談ではない。社外取締役の助言がないと経営できないような人は経営者として不適格だ。辞めてほしい」

 少し前には、「社外取締役の役割は、社長のクビを切る必要があるかどうか見極めること」だとも。

 経団連会長経験者企業でも、社外取締役なのか、コンサルタントなのか、よく分からない人選をされていることがあるように思います。宮内さんの言葉に、必ずしもすべて賛同できるわけではないのですが、社外取締役本来の役割について考えるところの多い内容だったように感じます。




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