【閃き】ゼロ以上 | 早起き税理士・会計士の「本業ブログ」 by 船戸明会計事務所

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こんにちは。
大阪南船場の早起き税理士・公認会計士(船戸明)
の「本業ブログ」にようこそ。

 先日、研修の資料を準備していたときのこと。

 配当や自社株買いなどの株主還元のことを調べているうちに、ファナック稲葉善治社長へのインタビュー記事を見つけました。4月28日、日経ビジネスオンラインの記事です。

 タイトルは「ファナック、株主還元「最大80%」のナゼ」。これまで、株主還元も、株主との対話もあまり進めてこなかったファナック。それが、ここにきて4年3か月ぶりに投資家向け説明会を開くなど、方針を変更したようにも思える。その「ナゼ」に迫るため、記者が稲葉社長にインタビューをした記事です。

全文はこちら→http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20150428/280509/?P=1


 方針転換かどうかはともかく、稲葉社長の受け答えの中で、2つほど印象に残った箇所がありましたので、紹介します。

【その1】
―機関投資家・アナリスト説明会、4年3か月ぶりです。還元策を打ち出すためですか。なぜこのタイミングで再開したのですか。

稲葉:何度も言っていますけど、我々は本業に時間を使いたいだけなんですよ。例えば皆さんとお会いしているこの時間に、お客さんに会うほうがビジネスにとってはプラスです。今までも、無駄な時間は使いたくなかった。
 ただ、ファナックが実態と違うイメージを持たれてしまうと、ビジネス上も良い影響を受けない。なので、それを防ぐということで、今回の決断をした。本業とのバランスをとりながら、なるべくそういう時間をとりましょうと。1日は24時間しかありません。これだけ少ない人数でやるには、本当に貴重な時間です。


 ちょうどこのインタビューを読んだのは、2時間の研修講師をする前日だったと記憶しています。営業や開発、経理など、いろんな部署の方が参加されている研修ですが、研修の2時間だって、本当はお客さんと会うほうがビジネスにとってはプラスかもしれない。だったら、この研修の2時間、すぐにではないけれどいつかは必ず役に立つ何かをつかんで帰ってもらおう。稲葉社長の言葉を見ながら、その決意をあらたにしました。


【その2】

―利益に対する考え方を確認させてください。今回、株主還元の方針を変えましたが、利益率に関してはどうですか。これだけは維持したいという値はありますか。

稲葉:利益率ですか。それは、ゼロ以上です。ようするに赤字はだめ。黒字にしてということです。というのは、高い営業利益率を目標にしていますが、目標は目的ではないからです。高い目標を持っているのは、企業体質を強くして、健全な形での永続性を担保したいから。だから、製造業にとって難しい、高い利益率を目標にしている。
 目標ですから、マーケットが良ければ良くなければいけないし、極端にマーケットが悪ければ、5%でも、10%でもいいわけです。ただ、それがゼロ以下だったら、それはマーケットがもうファナックを必要としていないということですから、そうならないように努力をしている。


 特に、「目標は目的ではないから」という言葉。目的は企業としての永続性であり、そのための手段として高い利益率目標を掲げる、と解釈しました。

 時折(というかかなりの頻度で)利益率そのものや、ROEそのもの、あるいは社外取締役を導入することそのものを、あたかも「目的」のように考えている姿勢に出会います。でも、企業に、あるいは事業に社会的意義があるのなら、その企業や事業の永続性こそが最上位に来るべき目的であり、利益や機関設計はその目的に少しでも近づくための手段であり続けるのではないか。

 そう思います。

「手段の目的化」というのは使い古された表現ですが、でも、使い古されているということは、存在し続ける意義があるということ。目的は何か。そのための手段は何か。時々、鳥が上空から俯瞰するような視線で見つめることも必要なのではないでしょうか。




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