【翻訳】ROEに踊らされ | 早起き税理士・会計士の「本業ブログ」 by 船戸明会計事務所

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こんにちは。
大阪南船場の早起き税理士・公認会計士(船戸明)
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 昨日の日経新聞に、「ROE革命の第2幕」という記事が掲載されていました。第1幕が、単なるROEの目標値(10%とか)を設定することだとすると、第2幕は「資本コスト」を意識することのようです。

「ROEの目標値に8%が浸透している。企業と投資家の望ましい関係について一橋大学大学院の伊藤邦雄特任教授が2014年にとりまとめた報告書(伊藤レポート)が求めているためだ。株式の「資本コスト」を上回る水準とされる。
・・・(中略)・・・
 ROEを目標とする企業は一気に広がった。今、静かなうねりになってきたのが資本コストへの意識だ」


 ROEは、確かに、毎日のように目にするようになりました。

 ROE=当期純利益/自己資本

 自己資本(=株主が投下した資本)から、いかに収益をあげたかを測る指標です。ROEを大きくすることが、今の投資家の最大の関心事ですから、分子の利益を大きくするか、分母の自己資本を小さくすることが会社に求められていると言ってもいいでしょう。


 でも、私は思います。ROEという指標自体は、昔からありました。その間、EBITDAといった指標も出てきて、使っている企業もあるでしょうが、一般的に定着するにはいたっていないという印象です。

 つまり、企業を分析する指標には、それなりに流行り廃りがある、ということ。先ほど、あえて「今の」投資家、と表現したのも、そういう意味合いから。今の投資家の関心事がROEでも、5年後、10年後はわかりません。

 もちろん、上の数式の通り、株主が拠出したお金に対するリターンを示すのがROEですから、預金の利子と同じで、指標としてなくなることはないでしょう。それでも、今のようにROE一辺倒といった時代が続くかというと、そうも思えません。


 日経新聞記事では、「日本のROE重視の流れが一過性ではと疑う海外投資家も多い」とされています。資本コストとの関連で論じられていますが、そんなことではないはず。そうではなく、投資家自身がROEという指標が一過性のものかもしれないということを、無意識のうちに感じているからではないでしょうか。

 ROEというのは、企業活動の結果です。結果として計算されるものであって、本来、目標とすべきものではありません。

 本当に必要なのは、ROEに一喜一憂したり、ROEを目標に据える経営者ではなく、多少数字が低迷しても、ROEがどうしたの、と言える経営者ではないでしょうか。そのくらいの経営者が引っ張っている企業なら、結果的にROEも伸びていくことになるのではないかと、私は思います。




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