住所の判定 | 早起き税理士・会計士の「本業ブログ」 by 船戸明会計事務所

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 住所って、どこでしょうか。


 先日、香港に居住していたことにして、日本の所得税を逃れていた社長の話を紹介しました。ですが、実際問題として住所がどこかの判定は、そう簡単なものではありません。

 以下、『実務家のための税務相談(民法編)』からまとめてみると。。


 学説では、生活の本拠たる事実さえあればよいとする説(事実主義)と、生活の本拠とする主観的意思も必要であるとする説(意思主義)が対立しているようですが、通説は事実主義で、客観的事実から判断する、という立場のようです。


 判決でも、住居、職業、配偶者や親族の状況、資産の所在地等により総合的に判断する、という立場です。


 この住所の判定が大きく影響するのが、所得税と相続税。


 所得税では、納税義務者を次のように区分しています。


1)居住者(非永住者を除く):国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人
2)居住者(非永住者):居住者のうち、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である個人
3)非居住者:居住者以外の個人


 それぞれ、課税される所得の範囲は、以下です。


1)居住者(非永住者を除く):全ての所得(全世界所得)
2)居住者(非永住者):国内所得+国内で支払われた所得+国外から送金された所得
3)非居住者:国内所得のみ


 先の社長の例で言うと、自分は3)の非居住者だと主張し、香港の会社から得た所得を申告していなかったけれど、いやあなたは1)の居住者ですよ、だから全ての所得を申告してね、と指摘されたということです。


 『実務家のための・・』では次のような事例が紹介されています。これだけ見ても、住所の判定が容易ではないことが、ご理解頂けるのではないでしょうか。

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 日本国籍を有するAは、輸出業を営んでいるB会社(内国法人)代表取締役である。Aは、昭和52年から昭和56年にかけて毎年1年の半数あるいは3分の1程度、海外出張を繰り返しており、香港にマンションを所有し、住民票も香港へ移していた。しかし、一方、Aは、わが国の甲市にも不動産を所有するとともに(そこにはAの家族が居住する)、日本に居住している家族の生活費等を負担している。



 長くなりましたので、相続税は次回に。。