2025年の本屋大賞。阿部暁子著「カフネ」
昨年、小説をほとんど読みませんでした。
この「カフネ」も「読みますか?」と年末に
貸してもらった本。
両親の自慢の弟が、誕生日を祝ったその夜に亡くなってしまった姉・薫子とその弟の元恋人・小野寺せつなの出会いから始まる物語。
せつなに誘われ、家事代行ボランティアを始める薫子。彼女が出会う現代の家族、その家庭の掃除と食を手伝うなかで、明らかになっていく生前の弟春彦の抱えていた葛藤と、薫子やせつなの葛藤の物語。
せつなの作る食事が様々な人々の崩壊しかけた生活や問題を救う、何故そのメニューになったのかがなるほど!という感じで面白かったし、そのメニューからぶっきらぼうに見えるせつなの繊細さも分かるようになっていて…。
不妊治療、セクシュアリティの問題、シングルマザーやファーザー、一人一人の違いとそれ故の悩み。自筆証書遺言書や東京都パートナーシップ宣誓制度とか養子縁組など、これまでの家族のあり方が変わりつつある時代の人と人のあたらな繋がりについても考えさせられる話でした。
薫子の弟が20年以上も、味覚を全く感じない状態でありながらを家族に隠し家族も気づかず、優しい優秀な弟・息子ていつづけようとしたというのが、なかなか信じ難いけれど、最終的には自分らしく生きる道を登場人物がそれぞれに模索していたわけで、主人公薫子の性急さに多少疑問も感じるけれど結末は明るい。
そして先日のウィーンフィルニューイヤーコンサートでのヤニック・ネゼ・セガン氏の言葉を思いました。世界のレベルだけでなく様々な違いのある人々が一つの国や都市のレベルでも存在している。セガン氏も自身のセクシュアリティについて隠していない。それ故に、互いの違いを受け入れ相手を思いやる気持ちこそがひいては世界の平和を生むものだとの認識に至ってもいるのだとも思いました。
しかし、アメリカのベネズエラへの関わり方など、新年早々現実は厳しい。世界の平和とお互いを受け入れる姿勢を忘れずにいたいと改めて思ったのでした。
蛇足
ヤニック・ネゼ・セガンどこかで見たと思ったら、
METライブビューイングの「ローエングリン」だった。



