南九州とは違って、東京はまだまだ寒いとはいえ、暦の上ではもう春……

 

 夕方5時になってもまだ明るいし、ずい分と日が長くなっていることを感じます。

 

 今年は閏年(うるう年)ですから、2月は29日までありますが、それでも2月は短いですし、春までもうあと少しです。

 

 それにしても、どうして2月だけこんなに短いのだろうと、子供の頃の僕はずっと疑問に思っていました。

 

 とはいえ、14歳の頃から占いに興味を持つと共に、暦オタクにもなったので、この疑問は比較的早く解消したのですが……

 

 3日前のブログで紹介した旧暦(太陰太陽暦)では、毎年、大の月(30日)と小の月(29日)の順番がコロコロ変わっていたんです。

(2024/2/10ブログ「旧正月、おめでとうございます!!」参照)

 

 そればかりか、閏月(うるう月)なんて言って、一年が13ヶ月になったりすることもありました。

 

 だから、今月が大の月なのか小の月なのか、分からなくなってしまわないように、江戸時代には、その年の大の月と小の月の並びを示す「大小暦」という暦がありました。

 

 また、月締めの支払いの顧客を持つ商店では、その月が「大の月」なのか「小の月」なのかに合わせて、「大」と「小」という看板を作って、そのどちらかを店頭にかかげていました。

 

 そうはいっても、当時の小の月は29日で、現代のように2月が28日になってしまうようなことはありませんでした。

 

 1月・3月・5月・7月・8月・10月・12月が大の月(31日)で、2月・4月・6月・9月・11月が小の月(2月以外は30日)と固定されて、さらに2月だけがこんなに短くなってしまったのは、明治以降、日本に西洋のグレゴリオ暦を導入されてからのことです。

 

 僕が子供の頃、「小の月のことを『西向く士(にしむくさむらい)』と覚えるんだよ」 と、母親から教わったことを思い出します。

 

 「にしむくさむらい」で「二・四・六・八・十一(十一をタテに書くと「士」に見える)」という訳です。

 

 ここ最近、東洋の曆の話ばかりして、現在の我々が生活に使っている暦の話は全くしていなかったので、今日は、過去ブログから、2月がどうして短いのかという話をリメイクしてみたいと思います。

 

 いよいよ2月です。

 2月というのは通常28日ですが、4年に一度、閏年で29日になることもあります。

 

 でも、あまり知られていませんが、西暦年号が100で割り切れて400で割り切れない年は、通常通り28日とするというややこしいルールが、今使っているグレゴリオ暦にはあります。

 

 地球が太陽の回りを一回りするには、細かく見ると約365.24219日掛かるので、こういうややこしい調整が必要という訳ですね。

 

 4でも100でも割り切れて、400では割り切れないという年は、グレゴリオ暦ができた1582年からでいえば、西暦1700年、1800年、1900年の3回しかありませんし、2000年は、400で割り切れるので普通の閏年であり、次は2100年まで、2月が28日の閏年(28日になった時点で、本当は閏年とは言いませんが……)はありません。

 

 まあ、余程医学が進歩しない限り、2100年に生きているのは、今の若者のごくわずかでしょうけれど……

 

 さて、ここで、「どうして2月だけが他の月と比べて、極端に短いのか」という素朴な疑問がわいてきます。

 

 日にちの調整をするのだったら、年の一番最後の12月でも良さそうなものです。

 

 この秘密を解くには、グレゴリオ暦が使われる遥か昔、最古の暦である紀元前8世紀の古代ローマの暦・ロムルス暦にまで話を戻さなければなりません。

 

 この頃の暦は、月の満ち欠けによって、1年の時期を知ろうとした「太陰暦」でした。

 

 そもそも、1月、2月、3月…… と「月」という文字で区切りを表すのも、太陰暦の名残ではありますが、グレゴリオ暦はれっきとした「太陽暦」ですので、実際の月の運行とこの「月」とは、実質上無関係です。(ちなみに、二十四節気で運行する十二支の月である「子月」「丑月」「寅月」も、実際の月の運行とは、無関係です)

 

 話を戻して、この最古の暦ロムルス暦はどういう暦だったかというと、一年の始まりが現在の3月に当たるやっと暖かくなって来た頃で、そこから月の満ち欠けを見ながら、キリの良い所でお正月の1月が始まりました。

 

 1月(Martius)は31日、2月(Aprilis)は30日、3月(Maius)は31日、4月(Junius)は30日、5月(Quintilis)は31日、6月(Sextilis)は30日、7月(September)は30日、8月(October)は31日、9月(November)は30日、10月(December)は30日で、なんと一年は、たった304日しかありませんでした。

 

 残りの期間はあまりに寒いし、暖房器具もないので、穴にこもって越冬していました。

 

 つまり、現代のおよそ3月1日あたりが、一年の始まりだったわけです。

 ですので、今のこの時期は、まだ穴籠もり中です(笑)

 

 やがて人類が火を使うようになって、冬でも生活できるようになり、次のヌマ暦の時代を迎えると、第11の月(Januarius)と、第12の月(Februarius)が追加されました。

 

 もうこれで、2月だけが短くなった理由はおわかりでしょう。

 

 つまり、現在の2月が一年の終わりだったという訳ですね。

 

 という訳で、今月は短いですが、その分だけ濃厚に過ごそうではありませんか。

 

 (2018/2/1ブログ「2月はどうして28日しかないのか」をリメイク)