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ジュリストに高橋宏志氏のインタビュー記事がありました。
「 『新しい弁護士業務モデルの模索』
――司法試験に受かっても就職できないといった声はどのようにとらえらていますか。
高橋 (中略)…法律家の市場、あるいは法律家への需要がこんなに少なかったのかというのは確かに驚きであります。ちょうど経済情勢も良くなかったという事なのでしょう。世の中の人が、今までの意味の法律家をそれほど急速に必要とはしていなかった。したがって、弁護士事務所は飽和状態になってしまったというのは確かにあるのだろうと思います。
ただ、既存の法律時事務所に入って弁護士になることも重要ですが、既存の弁護士とは少し違った弁護士をつくるというのが法科大学院だったはずで、弁護士の新しい業務モデル、あるいは業務形態を探っていくことを目指し法律家を増やしたのだと推測しております。新しい弁護士業務モデルというのが何なのかという事は、司法制度改革に携わった人たちも含め、今だに具体像は鮮明ではありません。これは、机の上でいろいろ考えてすぐに出るものではなく、まさに就職先がない、仕事がないという状況に追い込まれた弁護士が、必死に知恵を出すことによって、何かが開かれてくるものだという気がいたしております。…(中略)
…各地の法テラスは、それこそ飽和状態で、仕事を断っているという事も聞きました。ただ、報酬をきちんと貰える仕事は確かに飽和状態なのかもしれません。繰り返しますと、法律家に相談したいという需要は非常に高いものがあるけれども、法律家の側から見て、相談に応じていれば生活していけるという事件はそれほど増えているわけではない。ここのところをどう埋めていくかという事なのだろうと思います。弁護士業務モデルなどというのは分かりませんが、例えば、アメリカはウォール街の弁護士が一方にありますけれども、薄利多売的な、チェーンストア的な弁護士事務所で成功している人も多いということです。ただ、日本ではどういう形がいいかはまた別問題です。 …(中略)
…税理士、公認会計士、司法書士など、いわゆる準法律家も規制緩和で増えています。ここで弁護士だけ減らしても、そういう人たちが増えてきます。税理士は弁護士よりも数は多いのですが、弁護士が一定数いたとしても、それを凌駕する数の準法律家が出てきてしまえば、政治力学としては弁護士のほうが押し切られてしまう事になります。弁護士の数を制限せよというのは、近いか遠いかはともかく、将来を考えると自分の首を絞めるような運動をしているのかという気もいたします。しかし、そんな将来の事を考えている余裕もないという事で反論されてしまうでしょう。
ともあれ、私自身に知恵がないのに、こういうことを申し上げるのは忸怩たるものがありますが、今が一番苦しい時期で会って、この中から新しい弁護士業務モデルを作っていくのだと前向きに考えていただきたい。それによって司法制度改革全体が目的とした、日本にもっと法的な考え方を浸透させていくという事の尖兵に弁護士もなってもらいたいと思っております。 」
( 以上、ジュリスト 2012年2月号より )
平成12年5月から8月にかけて、司法制度改革審議会において、当時の日弁連執行部(久保井一匡会長)と元日弁連会長の中坊公平委員は、合格者3000人の受け入れに動いた。当時日弁連の公式見解は1000人堅持であったにもかかわらず、なぜこのような動きになったのか。私だけでなく多くの弁護士にとって、この経過がわからないのです。どういう経過なのか。そして中坊公平委員に対しては、権力へのすり寄りなのか、という疑問が 提起されています。
その経過は、次のようなものだと聞いています。 司法制度改革審議会の委員の方々が、平成12年8月7日から集中合宿をした。三千人ということを主張した人は、中坊公平氏ただ一人しかいません。多くの委員、経済界出身の委員、裁判所出身の委員、検察出身の委員、いわゆる有識者の方々、誰も三千人という具体的な数字は言っていないばかりか、本当にそんなに急に増やして日本の司法は大丈夫でしょうか。ほとんどの方は実はそういう議論をしている。にもかかわらず、最後に佐藤幸治さんが、全体的な意見を全部集約すると、三千人ということになりますと、そこでもう議論が集約されてしまった。
昨年末(2011年)ダイレクトメールの件で話題となりました、2012年2月2日に開催の船井総合研究所の「債務整理・破産・相続・離婚分野に強い弁護士・司法書士事務所が不動産事業参入で成功する方法」セミナーが、この高橋宏志氏の言われる「新しい弁護士業務モデルの模索」の一つなのでしょう。
登記分野、税務分野などの他に、不動産事業参入。その次は、保険販売業・不動産管理業・探偵等弁護士業の周辺ないし関連業務のビジネスの実業に出ることの模索、さらに英語、中国語を駆使した海外のビジネスの実業の取次など周辺分野に出ること、など考えられますが、もうそれは、もはや従来の『弁護士』の概念ではないのです。
そして、『弁護士』は、ファイナンシャルプランナー、証券外務員などと同様に、『一つの資格』でしかないのでしょう。従って、『弁護士』の資格がなくてもできるビジネスの世界に、『弁護士』資格を持った人たちが出て行くということなのでしょう。そういう事が『新しい弁護士業モデルの模索』ということになるのでしょう。
将来、10年後、20年後の日本の法曹の世界は、今と全く別の風景になっていると思われます。
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