11月2日、税理士の浦野広明先生による「税務相談停止命令制度」についての学習会に参加しました。

学習会について少しずつまとめていきたいと思います。

 

※憲法から見た増税(浦野広明先生の学習会①)はこちらから

憲法から見た納税(浦野広明先生の学習会①) | asamimidorijcpのブログ (ameblo.jp)

 

 消費税は社会保障のため?

税金の種類には「普通税と目的税がある」ということを教えてもらいました。

 

目的税=億艇の経費に充てる目的で課す税金

普通税=使途を特定せず一般経費に充てる目的で課す税金

となっているそうです。

消費税はどちらでしょうか。

答えは「普通税」であり、特定の目的に充てるとはされていません。

 

それでは、なぜ消費税が社会保障のためだと言われるのか。

消費税法1条2項(趣旨)には

消費税の収入については、地方交付税法に定めるところによるよか、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処すrための施策に要する経費に充てるものとする」とあり、これこそが消費税=社会保障のためとする根拠とされています。

 

そうは言っても消費税は「普通税」であり、何に充てるかを決めて課すものではありません。

1989年に消費税が導入されてから35年間ではどうなっているでしょうか。

国と地方を合わせた消費税の税収 累計 508兆円

法人税・所得税・住民税の税収 累計▲609兆円

 

このデータが示しているのは、消費税が決して社会保障に使われたのではなく、むしろ大企業・富裕層への減税の穴埋めに使われたという、まぎれもない事実ではないでしょうか。

 

 大企業ばっかり優遇されてない!?

 

浦野先生から

法人3税(法人税・法人住民税・法人事業税)÷税引前純利益=税負担率

として計算した表が示されました。

(※須賀徳税理士が作成した有価証券報告書記載の個別損益計算書から作表されたそうです)

 

法定実効税率はトヨタ、日本電信電話、三菱商事、ソニーグループ、日立製作所、三井物産など

大企業20社の平均で30.4%ですが、実際の税負担率平均は14.0%に!

 

なぜこんなことになるかと言えば、企業が使える様々な税制度上の優遇策が作動しているから。

 

大企業の内部留保はこの10年間でも180兆円近くふえ510兆円にまで積み増しされています。

どんなに大企業が利益を増やしても、内部留保に滞留している限り、経済は上向きにならないし、トリクルダウンなんて起きなかったことは、市民みんなが実感しているのでは。

消費税の増税ではなく、大企業に応分の税金負担を求めることで、社会保障を拡充することができるはずだと思います。

 

 

 輸出ゼロ税率の消費税

 

初めて気づいた重大な事実が輸出ゼロ%。

輸出売上に課される消費税は0%。非課税ではなく0%というところが重要だ、ということのです。

 

皆さんはなぜかわかりますか?(私は全然思いつきませんでした)

 

答えは、非課税の場合は仕入れ税額控除ができませんが、ゼロ%なら消費税の仕入れ税額控除ができるから。

 

仕入れ税額控除がある、という点はとても重要です。

仕入れ税額控除を受ける結果、消費税の還付金が発生します。

 

トヨタの例(単独決算 2022年4/1~2023年3/31)

【売上に対する消費税  14兆769億円】

1)輸出売上 10兆5577億円 消費税額 ×0%=0円

2)国内売上 3兆5192億円 消費税額 3519×10%=3519億円

【課税仕入11兆2615億円

【売上に対する消費税から差し引く金額】

1兆1261億円11兆2615億円×10%)

【納税額 ▲7742億円=3519億円1兆1261億円

つまり、7742億円の消費税がトヨタに還付される、ということになります。

 

もしも0%が非課税だったとしたら、仕入れ税額控除ができません。

控除がなければ、納税額から還付される1兆1261億円はなくなります。

 

消費税率が10%でもこれだけの還付が発生する、ということは

消費税率が上がれば上がるほど、トヨタにとってはお得になります。

あまりに不公平な納税の制度ではないでしょうか。

 

 

 

 消費税は差別禁止に違反している!

浦野先生の資料がすばらしいのでそのまま引用します。

 

消費税は弱い者いじめの税である。

課税対象が増すと税負担率が低下する『逆進性』である。

1万円の買い物をして、1000円の消費税を負担したと仮定する。月の年金収入5万円の年金生活者と月の給料賞与収入が300万円の植田和男日銀総裁について、収入に対する税負担率を見てみよう。

年金生活者は1000円÷50,000円×100=2%、

植田氏は1000円÷3,000,000円×100=0.33%となる。

つまり、低所得者ほど重い負担となる税で、憲法14条の差別禁止に違反している。

 

私の感想

ここで憲法14条(すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。 ② 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。)が出てくるところが目からウロコで、とても感動しました。

「こうやって、憲法を使うのか!」と。

ずるい!とは思って、不公平だと怒っていましたが、憲法を根拠にする発想は私にはありませんでした。

この発想法を教わったことが大きかったと思います。

 

「憲法がある!」だけじゃ道具として使えてないんだなと反省。

ぜひたくさんの方と一緒に憲法を実践的に活用していきたいと思いました。