11月2日、税理士の浦野広明先生による「税務相談停止命令制度」についての学習会に参加しました。

学習会について少しずつまとめていきたいと思います。

 

※税務相談停止命令制度とは

2023年度税制改定で、税理士法の中にある

「税理士等でないものが税務相談を行った場合の停止命令」規定を挿入した法案が

自民党・公明党両党などの賛成多数で可決、成立したもの。

 

日本国憲法と税

浦野先生は、「税制について真っ先に考えなければならないのは憲法である」といいます。

なぜ憲法について考えなければいけないのでしょうか。

先生の資料から転記します。

 

憲法前文は、全世界の国民が平和のうちに生存する権利を有することを確認している。

憲法9条は「国権の発動たる戦争」の永久放棄を、戦力不保持および国の交戦権の否認と一体となった形で規定しており、

さらに憲法25条生存権を明らかにしている。

このように憲法は平和と福祉を重視している。

したがって、

国民が納税の義務を負う(憲法30条)のは、払った税金が平和に生存するために使われることを前提にしている。」

 

納税の義務について、憲法前文・憲法9条・25条を根拠とした考え方を聞いたことはありませんでした。納税ついて考える時に意識していなかった条文との関連付けた考え方にとても驚き、感動しました。

 

さらに浦野先生は、現代法の矛盾を次のように言います。

「現代法(現代資本主義法)の本質は、支配階級としての財界の私的思わくであるのにもかかわらず、

法の形態としては、国民の意思の表現という普遍的形態を取らざるをえない。

この矛盾(法の階級的本質と超階級的形態の矛盾)に当面した財界が対処する唯一の方法は、

真の国民の意思の形成をあらゆる手段で阻止し、見せかけの「国民の意思」をつくりあげることでしかない。

この点にこそ、財界による支配の最大の弱点があり、支配される側が税制闘争に利用しうる矛盾と弱点がある。」

 

見せかけの国民の意思、すごい表現です。

上がり続ける消費税も、大企業への法人税減税も、確かに私の意思でないことは確かです。

とは言え、それを「見せかけの国民の意思」とまで言い切れるのかと疑問がわいてきます。

 

先生の答えは、「憲法とはつかみ取るもの」の中にあるので引用します。

 

憲法には国民主権が書かれている。

議会主義の下では、国民の意思を反映し表現するものとして法律はできあがる。

国民とはだれか。

国民の大部分は、勤労者・年金者などに属する非支配階級に属する人である

だとすれば、国民の意思=非支配階級の意思であるはずだ。

憲法97条「基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」であり、

憲法12条「国民の不断の努力によってこれを保持しなければならない。」

だからこそ、私達は、主体的に幸福を追求する精神をもち続けなければならない。

 

非支配階級の私達は、主体性を持つ精神から離れてはいけないとする先生の言葉に

とても励まされるのは私だけでしょうか。

 

憲法をつかえ

この部分が一番ぐっと来たところ。

「憲法あるいは広くとらえて法は社会で人が理論や理念を行動で使うための道具である」として

憲法には二面性があるとしています。

①官僚にとっての支配の道具

②国民にとっての政府の政策を批判し抵抗するための道具

 

「憲法を道具として使うことで初めて現代社会において意味を持つ。法は、実践を行うための道具であるから、それを使って何らかの実践的行動をしようと考える人にとってのみ意味のあるものとなる。

いくら良い武器を持っていても、その武器を持って闘わなければ武器の大切さはわからない。(中略)その武器を構えたままで、こんなにいい武器があると叫んでいるだけでは、たたかいは負ける

 

インボイスのおかしさ、消費税の欺瞞、税制改革法をどう解釈するか、税務相談停止命令制度とどうやって対峙していくか。

浦野先生は、ひたすら実践の中で憲法を使って反論し、主権者として主張することは正当な国民の権利であると説きます。

 

それぞれについて、少しずつまとめてご紹介していきたいと思っています。