デジマジあれこれ ① | 浅倉卓弥オフィシャルブログ「それさえもおそらくは平穏な日々」Powered by Ameba

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今年は1月末にこの

 

『デイジー・ジョーンズ・アンド・

ザ・シックスがマジで最高だった頃』が

 

 

無事刊行になった後、

 

月が明けて2月の4日に

『君の名残を』の新装版が、

 

 

 

そして一週間経たない9日に、

今度は『ミッドナイト・ライブラリー』が

刊行というスケジュールで、

 

 

しかも『ライブラリー』の方が

BTS効果で

 

ちょっと信じられないような

ロケットスタートを切ったうえ、

 

ありがたくも『鎌倉殿~』ネタも、

毎週毎週出てきてくれて、

『名残~』にも改めて注目が集まり、

 

そんな中、自分でも

この『デイジー~』に関しては

 

ちょっと扱いが手薄というか

やや雑になってしまっていて

 

後ろめたいというか

心苦しいというか

 

そういうところは

実はなきにしもなかったんですよ。

 

ぶっちゃけ、映像化関連の

せめてスケジュールでも

早く出てきてくれればなあ、とか、

 

ある意味受け身に入っていた部分が

どこかにあったことも

否めないのではありますが。

 

 

でもねえ、あ、また横道に逸れますが

600枚クラスの新刊を二週間違いで

 

同時に進行していくのは

正直相当きつかったです。

 

一本ゲラなり校正なり戻したその

同じ日には次のゲラが来るみたいな感じ。

 

ちなみに僕は最近は、

最初の校正については、

版組みしてしまう前にやらせてくれと

 

各所にお願いして

そうさせてもらっているので、

 

あ、この言い方、わかる人しか

わからないかもしれませんが

そこはまあ、御容赦ください。

 

で、その進行を遵守するのに

久々に朝の三時過ぎまで仕事して

データ送ってから寝る、

なんてこともしました。

 

――もう若くなんて全然ないのに。

 

だからまあ、そうやって一応は

読みにくさは徹底的に

潰してから出しているつもりです。

 

 

さて、やや空いてしまいましたが、

去る7月23日の金曜日に

 

実はこんなポッドキャストが

配信されておりました。

 

これは今回の〈山中賞〉の高知の山中さんと

佐賀で〈ほんま大賞〉をやられている本間さん、

 

それにもう一方、やはり〈飯田賞〉を

御自分で発表されている

首都圏の飯田さんのお三方が、

 

バラエティ書店員を名乗り、

定期的に鼎談を

オンエアされるというものです。

 

――で、たぶん間違っていないと思う。

 

でまあ、もちろん、今回の放送回は、

山中賞、芥川直木両賞、

および飯田賞の発表を受けての

ものだったわけですけれど、

 

そこで今回の、山中賞決定に至る

裏話的なものが披露されておりまして。

 

実は決定前、山中様と店長さんの間に

こんなやりとりが

交わされていたらしいです。

 

「あのう、二段組みで

 しかも外文(=海外文学)なんで

 

 売り場的には相当ハードル高いというか

 うまみは落ちることになると思うんですが」

 

と、相談された山中さんに店長さんが

 

「あなたが一番いいと思うものにすればいいでしょ」

 

と、おっしゃってくださったのだそうで。

 

――マジでちょっとうるっと来ましたね。

 

こういうことをさらっと

言えてしまえる上司さんって、

 

現実にはなかなかいないと思います。

 

真逆の人なら何人か頭に

浮かばなくもないけどね。

 

あ、まあ、僕もそれなりに、

複数の組織に

所属して生きてきましたので。

思うところはいろいろと。

 

あ、上の発言については

音声データチェックしながら

厳密に文字起こししたわけでは

決してないので念のため。

 

ちなみに例の山中賞の

発表の映像の冒頭部分で

 

山中さんにいわゆる

“振り”をしているのが

この店長さんなのだそうです。

 

のみならず、僕のコメントを

読み上げてくださっている声も

店長さんらしいです。

 

また、この山本飯のお三方、

今週より神保町に新しくできた

『パサージュ』というお店に

棚を出店されています。

 

この『パサージュ』というのは、

正式には

『パサージュ・バイ・オール・レビューズ』

というのが正しいのだと思われます。

 

これはこの2月に

クラウドファンディングで

 

立ち上げられた

たぶん本邦初の

“共同書店”なのだそうで。

 

各出店者がそれぞれの棚に

並べる本を決め、

 

それが集まって営業しているという

スタイルらしいです。

 

当然山本飯の棚には、基本

山中賞・ほんま大賞・飯田賞の

初回から最新回までの

受賞作が並ぶことになるのだそうです。

 

 

ええと、そうなるとでもひょっとして

この中でも『デイジー~』が

実は一番長かったりするのでしょうか?

 

そんなことを考えるとまた、

責任といおうか

 

この『デイジー~』がまず

超えなくちゃならないだろうハードルは

けっこう高くも見えてくる。

 

二段組みということは当然

それなりの文字量があるわけで、

 

そこは自ずとお値段にも

反映されてきてしまっています。

 

ただ、本書のスタイルが、

とにかく“読めてしまう”

書き方であることは、

これはもう間違いはないです。

 

その疾走感を

上手く日本語に移植できるよう

細心の注意を払ってもいます。

 

書籍で一番大事なこととは

読んでいる時間が楽しいことだろうと、

これは常々そう思ってやってます。

 

だから今回の山中賞も

ああ、この半年で一番

 

山中さんにとって

楽しい時間になったのが

 

『デイジー~』だったんだな、と

 

そしてそんな本に関われて

本当に光栄だったなあと

そう思わせていただきました。

 

いや、マジで。

 

本当にね、自分で言いますけれど、

冒頭から一気に持っていかれます。

 

小説って基本は、

時代背景なり舞台装置なりを

ある程度は説明してから

始めるものなんですけれど、

 

そういうの、これには一切なし。

 

厳密には、その説明の処理の仕方が

非常に上手いんですけどね。

 

“偽のオーラルストーリー”と

つねづねいっておりますが、

 

口語文で全編が綴られるという意味では

書簡体小説の

最新の進化形なのかもしれません。

 

もし御興味お持ちいただけたら是非。

 

上の『パサージュ』でも

山中賞の帯・手紙つきの状態で

買えるのだろうと思うのですが、

 

TSUTAYA中万々店さんは

なんと現金書留でも

注文も受けてくださっているようなので、

 

そちらもご利用いただければ

大変幸甚です。

 

店長さんのご恩に報いるためにも是非。

 

でもあれですね、共同書店だったり

書店員さん自らが

お名前を出しての賞の実施だったり、

 

あるいはクラウドファンディングでの

新規店舗の出店だったりと

 

出版という業界のなにかが

まさに変わりつつあるんでしょうね。

 

それは、社会の側の要請だったり

ほかにもいろいろと

細かな要因があるのだろうけれど、

 

それでもまあ、やっぱり基本は

誰かにいい時間を

過ごしてもらうことを

 

つねに念頭に置きながら

やっていけばいいのかな、という思いを

 

また新たにさせていただいた

今回の山中賞でした。

 

 

以下は近況です。

 

まずこの二週間ほどでまた新たに

『ローリングストーン』さんの

エディ・ヴァン・ヘイレン絡みの記事を

 

訳したりもしましたので、

近々出てくるかと思います。

 

僕自身もこの中身には

割りとびっくりさせられました。

 

暴露とは言わないまでも、

これ、ロスもヘイガーも

決して嬉しくはないだろうなあ、と。

 

あれだけのバンドになると、

やっぱりいろいろあった模様です。

 

これ載せるのが、

『ローリングストーン』だよな、とも。

 

そういえば『デイジー』にも

同誌の記者なる人物が

出てきたりもしましたが。

 

当然バンドを引っ掻き回す

役割を負って登場しています。

 

 

それから少し前に触れた

『CONVERSATION~』は

どうやら9月の発売で

おおよそ大丈夫な模様です。

 

 

近々邦題もここで公開する予定です。

ちょっと強烈な単語が入ってきてます。

 

人文書のタイトルで、

この言葉を使うのは

 

たぶん初めてではないかという。

 

ま、担当さんと一緒になって

そんな変な力の入れ方を

したりもしておりました。

 

そういうわけでここも本当は

もう少し早く更新したかったのですが

 

気がつけばこのタイミングになりました。

 

『デイジー』も『名残』も

『ライブラリー』も

 

また何かしら書いては行こうと

思うだけは思っておりますので、

 

思い出して時折また

覗きに来ていただければ幸甚です。

 

あと、ツイッターの方も

一応もうちょっと

頑張ろうとは思ってるんで。

 

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