ブログラジオ ♯128 Love Somebody | 浅倉卓弥オフィシャルブログ「それさえもおそらくは平穏な日々」Powered by Ameba

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リック・スプリングフィールドという。

ハード・トゥ・ホールド(紙ジャケット仕様)/リック・スプリングフィールド

¥2,376
Amazon.co.jp

ちょうど洋楽に
ハマり始めたほぼ最初期に


耳にしたせいも
多分にあるとは思うのだが、


いやこの曲、当時からずっと
結構いい曲だよなあ、と
思っていたりはするのである。

だから収録アルバムである、
このHARD TO HOLDは


それこそDD(♯10他)の
RAGGED TIGERや


カルチャー・クラブ(♯11他)の
COLOUR BY NUMBERSの
ほとんど直後に

僕のカセット・ライブラリーの
一画をなしていたものだった。


だけどまあ、今に至るまで、
CDを買いなおして、


手元に持っておこうと
思ったことはほとんどないから、

まあ正直、その程度の
一枚だったのだろうとも思う。


もちろん御本人には
絶対に内緒ではあるのだけれど。



そういう訳で、
前回のインエクセス(♯127)に
比べてしまえば、

今日の記事のテンションは
だだ下がりとまでは
さすがにいわないとしても、


それなりに低く
なってしまっていることは
御容赦いただければと思う。



だけどこの、だだ下がりのダダって、
そもそもどこから来てるんだろうね。

うちのワードさんは、
とりあえずは駄々と


変換の候補を
挙げはしてくれるのだけれど、


でもこのダダは、
決して捏ねる方の
駄々ではなさそうである。

三面怪人っていって、
わかる人どれくらいいるのかな。


最初はひょっとしてそっちと
関係あるのだろうかと、
ちょっとだけ思ったりもしたのだが、


どうやらそういうことも
なさそうである。

ちなみにあちらは
ダダイズムの方に由来して
命名されていた模様。



まあ、端的にいってしまえば、
要はこれ、
だだっ広いのダダである。


だだ下がりのほかには、
だだ漏れ辺りの用法が
多少は一般的な模様。

むやみやたらと、くらいの意味の、
だから、なんといえばいいのか、


超とか鬼とかと
用法を同じにする種類の


副詞的接頭辞とでも
いった感じに、
捉えればいいのかもしれない。

でもなんとなく、
「広い」以外は、
決して誉めてはいない気がする。


ある種マイナスの方向の、
誇張表現ということになろうか。


そのうち、ダダキモイとか、
ダダ頭悪いとか、

そういったいい方も、
定着してしまうのかもしれない。


ダダヤバイとか、
Aの音が四回も続いて、


なんとなく座りがいい気も
しないでもないような気もするし。

今度小説で使ってみよっかな。

たぶん意味は通じそうだから。

こういういわば
しょうもないレベルの思いつきは、
はたして編集者や
あるいは校閲の方が目にしたら

まずいったいなんて
いってくるのだろうとか


そんなことを想像すると、
少しだけ楽しみだったりもする。



よし。あったまった。

ではそそくさと、
本題のリックの話に
戻ることにしよう。


そういう訳で
アルバムは持っていないのだけれど、


このLove Somebodyだけは
ちゃんと手元にキープしている。

だいたい80年代ものの
コンピレーションの企画だと、


この方が収録される場合は
この曲より少し前の


Jessies Girlの方を、
採られていることが

多いというか、
ほとんどのようである。


こちらは実は、81年には
ビルボードでトップワンを
記録しているトラックなので、


まあ普通に考えれば、
順当というか、
無難なチョイスだとは思う。

でも正直にいうと、
こちらの曲は
さほどいいとは思っていない。


個人的には、彼の代表曲は、
圧倒的にこちらである。


ちなみにこのLove Somebodyの
当時の最高位は5位。

今となっては、
むしろそこまで上がったのが
不思議といえば不思議である。



さて、このLove Somebodyだが、
まずは冒頭から鳴らしてくる
極めて浅いディストーションの


若いというか、
ある種やんちゃな音色のギターと、
かなり大仰なドラミングとが、

なんだかひどく
アメリカン・ロックの
手触りを感じさせてくる。


同時期に流行っていた
一連のケニー・ロギンスの


映画がらみのヒット曲とか、
あんな感じ。

ジャーニー辺りとも
通じる部分が
多少はないでもないかもしれない。


なんというか、
どこかで何かが


ひどくあっけらかんと
しているのである。

軽いという訳ではないし、
後半では結構凝った展開も
していなくはないのだけれど、


まあそれでも、この流れを、
斬新と形容することは、
さすがに難しいかと思われる。


オーソドックス、あるいは
教科書通りの組み立てで、

中盤から後半も
相応に盛り上げてくれている。


間奏のギターソロもまた然り。

よく出来ているけれど、
一回で強烈に
脳裏に刻み付けられるという
ほどまでのことはやはりない。

いや、好きなんだけれどね。

わかりやすくて、安心する。

だからこの曲みたいなノリが
どうしても必要な時には重宝する。

たとえば何も考えたくない時。

うーん、なかなか上手く
誉められている気が
自分でもまるでしないのだが、


本当に好きは好きなんです。
そこは是非とも
御了承いただければと思います。


まあそういう訳で、
あの頃僕はこのリックのことを


てっきりアメリカの
アーティストだろうと、
頭から思い込んでいたのだけれど、


だからこの方、
オーストラリアの出身なのである。

シドニーの生まれだそうで、
本国でまずは、
ズートなるバンドを組み、


70年代になる前にはもう
レコード・デビューを
果たしてもいたらしい。


もっともこのバンドは
極早い時期に解散し、

リックだけが音楽を続けるため、
早くから単身で
渡米を果たしていた模様。


おそらくカジャグーグー(♯93)の
リマールがそうであったように、


同時に役者としての、
活路も模索してのことだったようで、

実はこのリック、音楽ではなく
こちらの方でまず目が出ている。


あちらではSOAP OPERAという
いい方をするらしいのだが、


要は昼メロである。

リックはだから
渡米からほぼ十年後に、


GENERAL HOSPITALという
あちらのドラマに起用され、


知名度も人気も、
一気に急上昇したらしい。

なるほど往時のM.J.フォックスを
どこかで思い起こさせるような
ルックスではあったから、


役柄までは知らないけれど、
なんとなく
イメージは浮かんでこないでもない。


そしてその時期に発表されたのが、
先述のJessies Girlだった訳で、

まあだから、
そういうトップの取り方
だったのかなとも思う。



もっとも基本の立ち位置は、
この人の場合は、
やはり音楽に置かれていたようで


80年代の後半に入ってからも
割とコンスタントに
作品を発表していたようではある。

まあその頃には僕はもう、
ああ、自分の嗜好性は、


英国産のニュー・ウェイヴに
一番向いているんだなあ、と


理解というか、
納得してしまっていたので、

この人の新作を聴くよりは、
ほかに手を出したいものが
いっぱいあるや


みたいな感じになっていた気が
正直しないでもない。


そういう訳で、
繰り返しになるけれど、

今手元には彼のクレジットの
CDは一枚もなく、


映像のコンピレーションに
Jessies Girlが、


それから、FINEという
ファンハウスが組んだ企画盤に、

今回のLove Somebodyが
それぞれ収録されているのみである。



で、このFINEなる一枚を
実は割と頻繁にかけるのだけれど、


このLove Somebodyが
聴こえてくるたび、

ああ、やっぱりこれ、
結構いい曲だったよなあ、と、


ついつい思って
しまったりはしている。


しかもHARD TO HOLDからは
このLove Somebodyを筆頭に

どうやら計4曲の
トップ40ヒットが
生まれていたらしいから、


存外にいい
一枚だったのかもしれない。



さて、今回改めて
リサーチをかけてみて、

実は少なからず
驚かされたのだが、


このリック、結構しぶとく
今に至るまでなお、
音楽を続けている模様である。


今世紀になってから
発表されたアルバムも
なんと7枚を数えている。

ほぼ2年に一枚の
ペースといっていい。


とりわけ去る12年に発表された
SONGS FROM
THE END OF THE WORLD
なる一枚に関しては


なんかベタ誉めしている方も、
いらっしゃるようなので、

ちょっと触手が動かないでも
ないような気も
していたりするこの頃である。


この記事を書いていたら少しだけ
HARD TO HOLDが


また聴きたくなって
しまったことも本当である。


では締めのトリビアに行こう。

上で触れたFINEなるレコード、
まあ店頭で適当に目に付いて


あ、Love Somebodyが
入っているじゃないかと、

いわばいそいそと
買って帰ってきたのだけれど、


なかなかこういう形では
編まれないような
選曲と曲順になっていて、


非常にユニークで、
相当面白がって聴いている。

カイリー・ミノーグで始まって、
バリー・マニロウの
Copacabanaが出てきたかと思えば、


BCRのSaturday Nightや
E.ジョンのCrocodile Rockが登場する。


ちなみにこのBCRとは、
ベイ・シティ・ローラーズのことです。

それからデビー・ギブソンや
ユーリズミクス(♯26)は


彼ら代表の曲とは
到底いえないような
チョイスなのだが、


なんというか、流れの中では
ものの見事にはまっていて、
なんだかとても不思議である。


しかしそれよりも何よりも
この一枚のラストに
収録されていた一曲が、


本当、大当たりだったのである。

基本はエルヴィス・プレスリーの
A Little Less Conversationという
トラックなのだけれど、

JXLという
リミキサーという
言い方でいいのだろうが、


まあそういった職種の方が、
バック・トラックを
徹底的にいじりまくって、


まったく別のサウンドに
仕上げてしまった一曲が
しれっと収録されていたのである。

こんなのまったく予期していなかった。

本当、驚くやら目が点になるやら。

いやあ、これいいや、
すげえ面白い、
こんな曲あったんだなあ、
などと思っていたところ、

そのうちどこかのビールの
CMに起用されていて、


手を打って喜んだりもしたものである。

今回改めて
きちんとウラを取ってみたところ

これ、02年になんと
イギリスほか世界24カ国で、


チャートのトップになった
トラックだったのだそうで。


いや、本当、こういうのも実は
すっかり聴き逃して
しまっていたのだなあと思うと、

ちょっとだけ
悔しかったりしないでもない。


ちなみにこのJXLという方は、
正式にはジャンキーXLと、
表記するのが正しいそうで、


90年代の中盤に、
オランダから登場してきた
アーティストである模様。

どうやらカルチャークラブや
デペッシュ(♯15)の曲も、


手がけているらしいので、
機会があったら
探してみようと思っている。



でもそういえば、
フランスやった時に、

あのミッシェル・ポルナレフの
名前を出すのを
すっかり忘れて
しまっていた気がします。


いや、このFINEに
収録されているもので、


ようやく今思い出したという
次第なのだけれど。

好きな方には
大変申し訳ありませんでした。


さらに恐縮なことに、
このポルナレフに関しては、
やっぱりChérieしか知りません。


でも、だいたい僕の世代は皆
そんな程度だろうと
思わないでもないのですが。