もう今年は何がなんだか | 浅倉卓弥オフィシャルブログ「それさえもおそらくは平穏な日々」Powered by Ameba

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まさかよりにもよって――。

今度はこの方か。

パープル・レイン/プリンス&ザ・レヴォリューション

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正直半ば茫然としている。

ボウイの死だけで今年はもう
いっぱいいっぱいだというのに。


僕がこのプリンスの音楽に
まず最初に出会ったのは、


あの小林克也さんの
ベスト・ヒットUSAだった。


いきなりチャートを
ものすごい勢いで駆け上がって
たちまちトップにまで昇り詰めた

例のWhen Doves Cryの
そのクリップである。


曲の後半、画面の中央を境にして
左右が互いに鏡像になる演出が、
強力な印象を残したものだった。


Doves Cryも非常に独特な
不思議な妖艶さを醸し出してくる
トラックだったのだけれど、

さらに続いてヒットした
Let’s Go Crazyと
Purple Rainとによって、


ほとんど圧倒されたといってよい。

前者はファンキーでありながら
ダンス・ミュージックよりはむしろ、
ロックのニュアンスを感じさせる
BPMの早いナンバーで、

後者の方は一転して
ドラマティックあるいは
シアトリカルとも形容すべき、
少しだけ大仰なバラードだった。


Doves Cryと併せて、
こんなに違うアプローチが、
一人のアーティストの、


しかも一枚の作品から
出てくるものかと、
急いでアルバム
PURPLE RAINを手に取った。

――すごかったのである。

同作からはさらに
I Would Die 4 Uや
Take me with Uといった


いわばプリンス・ファンク
全開とでもいったような
トラックがヒットし、

翌年発表されたアルバム
AROUND THE WORLD
IN A DAYなる一枚からは、


またまったく手触りの違う
Raspberry Beretと


なんともいえぬ美しさを
たたえたPop Lifeとが
チャートの上位を賑わした。

個性的なバック・バンド、
ザ・レヴォリューションとの
最後のアルバムとなった


PARADEからは、
どこかちょっと人を食ったような


Kissなるトラックが
再びトップワンに輝いて、

全編一人で作り上げたという
噂の入ってきた、二枚組みの
SIGN OF THE TIMESからは、


メッセージ性の高い
タイトルトラックに加え、


あのシーナ・イーストン(♯76)を
ゲストに迎えたU Got the Lookと、

それからPlace of Your Manが
ヒットしていたと記憶している。


のみならず、
バングルズのManic Mondayや


シネイド・オコナーの
Nothing Compares 2 Uなどの

他者への提供曲も
よく耳にしたものだし、


それからシーラEやザ・タイム、
タジャ・シヴィルといった、


彼のプロデュースによる、
アーティストの作品も、
幾つか楽しんで聴いたものだった。


いわばある意味で、
個人的にはボウイ以上に、
80年代というあの時代の


シンボル的な
存在だったといってもいいかと思う。


名前を呼べない例のあの時代の
Endorphinmachineも

なんだ、全然プリンスらしいや、と
半ば安堵、半ば興奮しながら
楽しく懐かしく耳にしたものだった。


それにしても早過ぎる。


I Know, Times R Changing――。


もちろんそれはわかってはいるのだが。

今はもう本当に、
ただただ頭を抱えてしまっている。



御冥福をお祈り致します。