ブログラジオ ♯85 Breakfast in America | 浅倉卓弥オフィシャルブログ「それさえもおそらくは平穏な日々」Powered by Ameba

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そういやあこの曲も、
ものすごい勢いでかかってたっけなあ。

スーパートランプというグループである。

しかしこの作品、
なんといっても強烈だったのが、
このジャケットなのである。


Breakfast in America/Supertramp

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僕らの世代だったら、
結構みんなこれ、
鮮明に覚えてるんじゃないのかなあ。

そうでもないですか?

だけど、正直最初は混乱しました。
タイトル曲のBreakfast in Americaは、


本当に当時、ラジオから
ガンガン流れてきていたのですけれど、

ところが、確かに音域は高いけど、
明らかに男性の声だということは
さすがにわかったんです。


では、だったらここにでかでかと
映っているオバさんは、いったい誰?


レコード屋行くたびに、
そんなことを思っていた気がします。

後述しますが、実際この方、
たぶんバンドとは
まったく関係がなかった模様。



さて、では改めてこの
スーパートランプなるグループである。


中心となっていたのは、
ロジャー・ホジソンと
リック・デイヴィスなる二人。

そもそもはリックの出した
バンド・メンバー募集の広告に、
ロジャーが応募してきたという
経緯でスタートしているらしい。


この二人、二人とも基本は、
キーボーディストであり、
それぞれにヴォーカルも取る。


この辺りの編成がやはり、
当時のプログレシヴ・ロックの
趨勢を感じさせずにはいない。

ところがこのリックとロジャー、
音楽的なバックグラウンドも
ほとんど重ならなければ、
音域もかなり違っていたらしい。


その辺りのある種の二律背反が、
このバンドを個性的なものに
していたのであろうかとも思われる。


なお、たぶん僕らの知っている、
Breakfast~の
ハイ・トーンに近い男声は
ロジャーの方のものである。


さて、彼らの商業デビューは70年、
オランダのなんだかいう富豪が、


最初からバンドの
スポンサーについたりと、
むしろ幸運なスタートでは
なかったかとも思うのだけれど、


Breakfast in Americaの
大ヒットに至るまでには

それなりの紆余曲折があった模様で、
実際十年に近い時間がかかっている。


そもそもがこの
スーパートランプなるバンド名、
漂流者の意味だそうで、


まあなんとなく
名は体をあらわすなんて言い回しを、
思い出したりもしてしまうのだが、

しかしながら82年には、
ホジスンの方が、
ツアー漬けの生活に飽いて、
ついにバンドを去ってしまう。


ちなみに彼はその後、
アメリカへと移住している。


残されたリックの主導でバンドは
さらに二枚のアルバムを発表するのだが、
その後88年に正式に解散となっている。

ちなみにこのロジャー在席時の
最後の作品となってしまった


82年のアルバム、タイトルを
FAMOUS LAST WORDSという。


いうなれば、遺言の意味である。

だからこういうのを見ると、
バンドの名前と同様に、


なんといおうか、言説の方が先行し、
現実がその後を追いかけていくという、


いわば予言のように
機能する言葉というのは、
実際にあるのだよなあ、と
思ったりもしてしまうのである。


さて、ところでこの
Breakfast in America、
今さらながら
相当強力な曲だと思う。


どうでしょう、そろそろどこか
CMかなんかに使ったりしませんか。


安直ですが、バーガー・チェーンの
朝食のキャンペーンか何か。

ケニー・ロギンスのあれと同じか、
もしかするとそれ以上の
インパクトがあるのでは
ないだろうかと思うのですけれど。


もっとも同曲に登場する食べ物は、
ハンバーガーではちっともなくて、


キッパーと呼ばれる
ニシンの酢漬けだったりするので、

そこら辺はちと違うかもしれませんが。


ちなみにこの曲、ホジスンが
10代の時に書いた作品が、
原型になっているのだそうで、


割と模糊としたアメリカへの
憧れが、全編を貫いている感じです。


さて、では今回のトリビアは、
例のジャケ写のオバさんの正体。


本名は、ケイト何某さんと
おっしゃるらしいのですけれど、


このウェイトレスに限っては、
ちゃんとリビーという名前が
つけられているのだそうです。

もちろん彼女が真似ているのは、
自由の女神のポーズです。


そしてこの背景、
一見ニューヨークの
空撮写真に見えますが、


この建物全部、灰皿とか
コーヒー・カップとか
あるいは胡椒入れとかでできています。


さらにはこのリビーさん、
当時、バンドとは無関係に


このアルバムのプロモーションのため、
来日までされた模様で。


――いや、よく呼んだものだな、と。

だって彼女は、
ジャケットに映っただけなのだから、
パフォーマンスは愚か、


音楽誌の取材すら
そもそも成立しないでしょう。


ラジオくらいは出たのかなあ。

そうだとしたら、その場で
インタビュアーは何を訊き、
彼女は何をどう答えたのか。


興味が募るところではありますが。