ラジオエクストラ ♭58 『シュガーソングとビターステップ』 | 浅倉卓弥オフィシャルブログ「それさえもおそらくは平穏な日々」Powered by Ameba

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たぶん出たばっかり。

だからこそ、やっぱり予定とは
やや順番が違うのだけれど、


この曲ばかりは
早めに取り上げておくことにする。


シュガーソングとビターステップ (初回限定盤)CD+LIVE CD/UNISON SQUARE GARDEN

¥1,944
Amazon.co.jp


実は僕は、少し前からこの人たちを
こっそり相当ひいきにしている。

UNISON SQUARE GARDENという。

横文字表記だけれど、本邦のグループ。
基本は3ピース・バンドの模様である。



最初に耳に入ってきたのは
『オリオンをなぞる』という
トラックだった。

まずタイトルからしてが
少なからぬ興味をそそってくる。


文になっている曲タイって、
こういう短さでは、
とりわけ邦楽では、日本語の特性もあり、
あまり見つからないのではないかと思う。


そりゃ確かに、何年か前に
鈴懸なんちゃらなんてのが
あったような気もするけれど。

まあそれはともかくとして、
この『オリオンをなぞる』は
それこそ一発で気に入ったのである。
正直なかなかあることではない。


メロディー・ラインが独特で、
これが見事なまでに僕のツボだった。


こういう旋律を書ける人って、
あまりいないような気がするのだが、
実はそうでもないのだろうか。

いずれにせよ、
なんだ、こういう音楽やってくれる人、
この国にもまだちゃんといるんじゃん、
みたいな、ある種の安心感を頂戴した。


形容するとしたら、
センシティヴでかつポップ。
リズム隊の疾走感も
技術的にも確かでとても心地好い。


これはちゃんと聴こうと思って
いそいそとシングルを購入してきて、
歌詞カードを見てさらに驚いた。

というか、むしろすっかり楽しんだ。


いろいろとまあ、ややこしい問題が
万が一生じてしまっても困るので、


日本語詞に関しては
いつも引用を控えているのだけれど、

これだけは、あまりにすごいので、
一行だけこっそり引いてみることにする。



――千里眼、千里眼。滅相ないです。


なんじゃこりゃ。

むしろ嬉しくなる種類の方の、
そういう感じ、あるいは手応え。


たぶんこのフレーズから、
同曲の該当箇所のメロディーを
逆に想起することは九分九厘無理だろう。


そしてこれはもちろん僕の
個人的な想像でしかないのだが、

この箇所はたぶんSay it againを、
どうにかして日本語でもじってみたら


こうなっちゃったんだけど、みたいな
感じだったのではないだろうか。


かと思えば、ブリッジの部分の
一番大事なところには

Euphoriaなんて
さほど一般的でもないであろう単語を
微塵の躊躇もなく置いてくるし。


しかもこういった、明らかに
意味よりも響きを重視した表現が
次々と出てくるというのに、


曲全体で、ぎりぎりだが
世界観が破綻していない。

それどころかむしろ、
シーンなりその背後の物語なりを
説明するのではなく、
きっちりと浮かび上がらせてくる。


息を飲むし、頭が下がる。

もっとありていにいえば、
やられたな、と思うのである。

――オリオンをなぞる。

タイトルのこの一節が巧妙に、
あの冬の夜の独特の厳しさを
それこそ通低音みたいに響かせて、


音と一緒に勝手にはしゃぎまわることを
決して止めようとしない言葉たちを

一つの物語の中に
すれすれではめ込むことに成功している。


そんな気がしてたまらない。

ちょっとスタイリッシュでアーバンで、
でもそこはかとなくノスタルジックで
同時に適度に乱暴で、
なかなかに個性的なバンドだと思う。


そういう訳で、今回のこの
『シュガーソングとビターステップ』は
彼らの最新シングルである。


実をいえば、僕もまだ
フル・コーラスは聴いてはいない。


さすがにもう、発売日を待って
レコードを買うなんてことは、
正直ずいぶんとしていないしね。

それでもここで取り上げたのは、
耳に入ってきた部分だけで、


ああ、またやってくれたな、と
確信できたからである。


きっとこのバンドの
新しい代表曲になるだろう。

今からそれくらいに思っている。

いや、まだフルで聴いてはいないから
断言はさすがに禁物ではあるのだが。


でもこういう独特なはじけ方、
本当に大好きである。

たぶん極初期の佐野さんの楽曲、
『スターダスト・キッズ』とか
『ガラスのジェネレーション』辺りのノリに


どこか通じるものを
お持ちなのではないかと思っている。



本当、応援してます。

バンドはもちろん、
スタッフの皆さんも
是非頑張っていただきたいな、と
ひそかに思っておりますです。