ラジオエクストラ ♭1 Save a Prayer | 浅倉卓弥オフィシャルブログ「それさえもおそらくは平穏な日々」Powered by Ameba

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おかげさまで、ブログラジオなる好き勝手な原稿も
更新のたびにチェックして面白がって下さっている方が
少しずつ増えてきているような気がしております。
スタッフ共々非常に喜ばしく思っております。
見て下さっている皆様、どうもありがとうございます。

あちらの本編はだから、この後まだまだイギリス勢で続け、
60を超えたくらいでヨーロッパへと渡り、
ベルギーとドイツ、それから北欧の幾つかの国を回った後、
無理やりだが一旦オーストラリアを経由して少しぶらつき、
満を持してようやくアメリカに上陸するという予定でいる。
だから、遺憾ながらイーグルスもスプリングスティーンも、
プリンスもマドンナも、あるいはマイケル・ジャクソンも
取り上げるのはずいぶんと先になってしまうのである。
という訳で、そちら方面のファンの皆様には、
何卒そのように御了承いただきたく。
この流れで何故あのバンドが出てこないと思われている方も
多少はいらっしゃるかもしれないなとも想像しております。
何よりも正直にいって、僕自身が相当我慢しているのである。
ああ、とにかくB-52’sについて書きたい。
今何故だか、彼らにマイ・ブームが来てしまって
ちょっと困っているのである。いや、それはさておき。

まあ企画としてはそんな感じで進めているのだけれど、
そこでハタと困ってしまったのが、
一度紹介したバンドなりアーティストなりの記事で、
取り上げ損ねてしまった楽曲の扱いなのである。

折角なので、通し番号の数だけアーティストがいるという
本編のスタイルは是非とも堅持したいなと考えている。
そこで思いついたのがこの、いわば番外編とでもいう枠組み。
いや、だから単に、そろそろまたデュラン・デュランの話が
したくなったというだけのことなのだけれどね。
ブログだからさ、結局は自分の好きなように
書けばいいだけの話なのだとは思うのだけれど。

でもこうしておくとレノンもボウイも、ABCもブロモンも
もちろんビートルズもまたここで扱うことができるし。
あるいは気が向いたら邦楽でも、特に気に入っている曲は
あえてこっちで取り上げるかもしれないし。

そういう訳で前置きが相当長くなってしまったけれど、
要は再びのデュラン・デュランです。
82年の作品である、彼らの2ndアルバムRIOは
疑問を差し挟む余地のない大傑作。
曲の散らばり具合もいいし、
それぞれの完成度も極めて高い。
しかもアルバムとしても構成も見事。
何よりも、あのダイアナ妃が当時外遊や旅行のたびに、
バッグに入れて持ち歩いていたというくらいなのだから、
いわばある種、イギリス王室お墨付きのようなものである。
たぶん当時彼女が聴いていたのは、九分九厘
カセットだったのだろうとは思うのだけれど、確証はない。
そんな資料は残念ながらどこにもないし。
いや、探せばあるのかもしれないけれど、
僕が見つけられていないというのが正確なところではあるか。

さて、Rio, Hungry Like the Wolf, New Religionと
収録のラインナップにはシングル曲がずらりと並ぶ。
My Own Wayも確か本国ではカットされていたはず。
とにかく回りが強力なトラックばかりなので、
少なくとも佳曲であることは疑いようのない
A面最後のHold Back the Rainや
あるいはLast Chance on the Stairway辺りが
すっかり割を食って埋もれてしまった感さえある。
階段の上の最後のチャンスなんて、その言い回しだけで
相当かっこいいと思うのだけれど、いかがだろうか。

そしてその名盤の掛け値なしのクライマックスが
このラス前の収録のSave a Prayerなるトラックなのである。
ビブラフォンの音色に寄せた16分音符の連打による
シーケンサーのパターンが曲全体を巧妙に印象づけている。
ポルタメントを駆使したシンセサイザーのかぶせ方も見事。
そしてこの曲、ある意味では特にAパートで歌っているのは
ヴォーカルのサイモン・ル・ボンの声ではなく、
実はジョン・テイラーのベースなのである。
こんなに美しいベースラインは、たぶんビートルズ時代の
ポール・マッカトニーによる幾つかのトラックに
見つけられるだけだと思う。
残念ながら、すぐにはどれとは出てこないのだけれど。

しかもこの曲、歌詞もすごく印象的である。
ほぼ最後に近いサビへと至る部分から、
そのサビまでがこんな感じで続く。

人はそれを一夜限りのことだというかもしれない
でも僕らはそれを楽園だと呼べるはずだ
だからその祈りを僕に捧げることはやめて
どうか朝が訪れるまでとっておいてほしいんだ

あの哀切なメロディーの作り出した世界に、このリリクス。
もう完璧である。これ以上何もいうことはない。

このトラックの手触りは、UnionやReflex、
あるいはPlanet Earthなどのいわば一般的に通りのいい
彼らの代表曲のアプローチとは本質的にまるで異なっている。
だがこちらもまた、やはりバンドの重要なポテンシャルの
一つだったことは間違いがないのだろうと思う。
その証拠に、93年にバンド復活の狼煙ともいうべき
存外のビッグヒットとなったOrdinary Worldは
明らかにこの曲の系譜に連なっているトラックである。

しかもね、このクライマックスの後に出てくる
The Chauffeurというクロージング・トラックが
またひどく印象的なのである。
鍵盤のアルペジオが秀逸なうえ終わり方も相当カッコいい。
まあとにかく、僕はやはりこのアルバムが
今でも大好きなのである。


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