伊吹山 春日村から登る厳冬期北尾根ループコース | 強化人間331のブログ

強化人間331のブログ

サイボーグである強化人間331の、つれづれ山行記録。
さしておもしろくもないのは、ご愛嬌。

結婚できる気がしない!

 

のであります。アプリに戻ってはや3か月ほど経ちますが、その間対面で会った女性は12人ほどでしょうか。もうちょいおるかも。これだけの人数に会おうと思ったら、マッチング自体はそらもう軽く100件以上はこなしてます。

 

マッチングアプリには〈収穫逓減の法則〉が当てはまります。逓減割合は以下の通り。

 

1 マッチング率 10%

2 返信率 75%

3 メッセージ継続率 25%

4 会合成功率 50%

5 2回め以降の会合成功率 15%

6 恋人取得率 10%

 

1~6の各工程を経るごとに脱落者が増えていくので、これを収穫逓減と呼んでいます。もしくは関係破壊的漏斗(リレーション・デストラクティヴ・インファンディブラム)でもよいですが。→永遠の名作SF小説〈タイタンの妖女〉に登場するガジェット、時間等曲率漏斗(クロノ・シンクラスティック・インファンディブラム)より拝借。

 

仮に100人へいいね! を送ったとしましょう。上記割合を順次かけていきますので、

 

100*0.1*0.75*0.25*0.5*0.15*0.1=0.014

 

100人に送って恋人までもっていける確率はおよそ1パーセントという結果に。ちなみにこれはわたしがえり好みしなかったとしての可能性ですよ。お前が選べる立場なんかい! というご指摘はもっともで、わたしも自身の市場価値が暴落していることくらい百も承知、最近は36歳くらいの女性でも積極的に会ってはいます(付き合う付き合わないは別にしてね)。

 

なかには気が合うし、もう一度会ってみてもいいかなと思った方もいたのですが、34歳以上の女性からはすべからく向こうからお断りをいただいております。彼女らの言い分を代弁しましょう。「ここまで待ったんだから、最高の男と結婚したい!」。

 

残念ながら結婚を視野に入れている男性は、高齢出産ゾーンに入っているアラフォー女性は選びません(男性にとっての結婚のメリットが、ほぼ婚外子でない子どもを持つこと以外に存在しないため)。最高の男どころか平均以下の男性からも選ばれない状況に陥っていることを、彼女らはまったくご存じないようです。

 

したがって上記のようなフィルターがさらにかかります。そう呼びたければわたしの「えり好み度」でも構いません。それがざっくりフィルター率10%とすれば、

 

0.014*0.1=0.0014

 

なんと、1,000人中1人という結果になってしまいました。体感的にこの数値はおおむね正しいです。よく言われるようにマッチングアプリで結婚相手を探すのは、広大な砂浜から砂金一粒を探し出す行為に等しいのですね。
 
ではそんな有象無象の跋扈するフィールドで探さなければよい、というご指摘はあろうかと思います。選択肢の筆頭候補は結婚相談所ですね。それも考えたんですけど、まずそもそもわたしのように大学へ進学していない低学歴人間はかなり不利なようです。みなさんこぞって大卒を求めるようで。気持ちはわかりますけどね。
 
なにより結婚相談所の女性は6割が年収200万円以下の非正規雇用、もしくは家事手伝い(=女性版ニートの婉曲的語法)というデータがあります。それも立派にお年を召したアラフォーでですよ。さらにさらに驚くべきことに、こうした女性の大半は結婚後、専業主婦をお望みである由。もうどこから突っ込んでよいのやら……。

 

子育てに専念するため専業主婦、もしくはパート勤務になるのは理解できます。それくらい大変ですから。ではなぜ子どもを望むのが難しいアラフォー女性が専業主婦になりたがるのでしょうか。これは結局、依存している親御さんが高齢になって老い先が短くなってきたので、依存対象を結婚相手に乗り換える意図があるとしか考えられない。わたしはそうした自立心の低い、社会性皆無な女性と一生を共にしたくありません。

 

そうなると結婚相談所は男性にとって著しく不利なマーケットと結論でき、利用しないことにしました。高い利用料を払って出会える相手がアラフォーのニート希望者では割に合いませんからね。

 

最近思うんですけど、結婚する意味ってあるんでしょうか。本気で結婚したがってる女性は依存先を探しているだけのニート、働いている女性は女性で金銭感覚がバグっている浪費家ばかり。年収200~400万のレンジで海外旅行だのディズニーだのUSJだのジャニーズの追っかけだのグルメだの、お金を使うことに余念がないようです。貯蓄は100万もないでしょう。

 

老後2,000万問題、公的年金の枯渇、子ども1人あたりの生涯費用およそ2,000万円、マイホーム、エトセトラ。お金は1億あっても2億あっても足りないくらいなのに、こういう将来的なコストを未婚女性のみなさんはわかってらっしゃるんでしょうか。近視眼的に刹那的な快楽を浪費で満たしているくせしやがって、「真剣な出会いを求めてます」だの「結婚を考えられる相手を探してます」だの、どの口が言っとんのや?

 

わたしは婚活するはるか以前から漠然と、将来の結婚生活のために倦まずたゆまず、それはもうコツコツと預金してきました。額は公表しませんけど、1行あたりのペイオフ額は軽く超えているとだけ言っておきましょう。昨今のインフレに対応するため資産運用も考えており、近々証券口座を開く予定です。これだけやってもまだ結婚生活を正常に営むには全然足りません。

 

浪費家の女性たちや家事手伝い(笑)の女性たちって、結婚した瞬間に生活レベルを落とせるのでしょうか? 独身時代みたく好き放題お金は使えないということを理解しているのでしょうか? 毎月ライヴやらTDLやらUSJやらバカみたいに消費して、実家暮らしのくせしやがって家には1円も入れとらん。こんなんばっかです。

 

ちなみにお前はどうなんだよ、というツッコミについての回答も用意してあります。わたしの生活費は家賃、光熱費、食費、娯楽費すべて合計して12~13万円程度です。下げようと思えばもう少し下げられるでしょうが、すでに臨界値に近い。念のため付言しておきますが、マッチングアプリで会う女性のデート代は全額おごってます(それらも含めて上記金額ということです)。どれだけQOLの低い生活であるか察してください。こんな極貧生活に耐えられる女性はいないでしょうから、わたしの場合結婚したらむしろ生活レベルは上がるでしょう。

 

さて翻ってアプリを見ている限り、九分九厘の女性は生活レベルを落とさねばならないことをわかっているようには見えない。にもかかわらずヤリ目はダメとか結婚相手を探しているとか、トンチンカンなプロフィールを書いている。そんなチャランポランな女性は遊び相手にしか見えないと思うのですが……。

 

お話が長いよ!

 

わかった、わかりましたよ。余談はここまでとして、今回はまたもや伊吹山。むろん二番煎じにならぬようルートは工夫しています。本アカウントが4年の歳月を経て復活を果たすきっかけとなった厳冬期北尾根の記録となります。ルートは以下の通り。

9:00 春日村初若の路肩へ駐車~9:30 林道合流~10:00 スノーシュー装着ポイント~11:25 1,036メートルピーク~11:50 御座峰~12:30 983メートルピーク(ランチ30分)~14:10 ドライヴウェイ合流~尾根直登の試行錯誤~15:15 9合め駐車場~15:30 伊吹山~15:45 東端よりドロップ~16:15 ドライヴウェイ合流~16:35 春日村へドロップ~16:55 701メートルピーク~17:30 林道合流~17:55 春日村初若の路肩(車回収)

 

日時 2024年1月14日(月曜日) 

天候 快晴

メンバー 強化人間331(単独)

装備 軽量化装備(調理器具、雨具、食料、非常食、水3リットル)

距離 約16.5キロメートル

推定累積標高差 1,500メートル

所要時間 8時間55分(うち昼休憩30分、その他小休止含む)

備考 積極的にバリルートを起用

 

1 またもや伊吹山!

なぜそうなるのか? ずばり自宅から近いから。人気野球漫画〈ROOKIES〉の赤星が持っている哲学と同じ理屈です。彼はピッチャーとしての高い能力を持ちながら、主人公たちの通う底辺校で腐っていました。中学時代にあちこちからスカウトがあったにもかかわらずね。

 

なぜ赤星はそれらを蹴って底辺校へ入学したのか? 彼は作中でこう言い放ちます。「近いから」。まあそういうことですね。何事も近さに勝るものはありません。恋愛しかり、職場しかり、ドラマ〈振り返れば奴がいる〉の顔の距離しかり(?)。それとまあ、今回出発点である春日村は父親の在所であり、なじみがあるというのも理由のひとつなんでしょう。

 

この日も例によって寒さで起きられず、モジモジしているうちに7時30分を過ぎてしまった。これホンマどうにかならんか。準備をして出発したのがたぶん8時すぎです。〈ROOKIES〉赤星の〈近距離有利理論〉により、伊吹山で決定。

9:00、春日村初若の道路脇に路駐して出発。このあたりは道路がやたら広く、かつカーヴの窪みに遊びがあるため駐車スペースには事欠きません。たぶん駐禁も大丈夫そう。まずは上掲の鉄橋を渡ります。比較的造りはしっかりしているものの、沢までの距離が高いためビビりながら渡ります。

問題はこちら。沢の出合から尾根にとりつくため、2つの沢を横断しなければならないのですが、2つめの沢を渡る橋がご覧の通りの代物であります。写真ではわかりづらいですけど、高さはざっと3メートルはある。落ちれば無傷とはいかないし、なにより厳冬期に入水は勘弁な!

 

覚悟を決めて渡り始めると、丸太が半分腐っていてずっしりと沈み込みます。横から見たら大きくたわんでいたはず。いざるようになんとか通過。本ルートの核心部でありました。どうしても不安な方は、いったん沢へ降りて渡渉したらよかろうかと思います。ただ結局、渡渉ポイントの選定に難渋しますよ。

序盤は灌木に囲まれた尾根を行きます。藪もほぼゼロ、なんとなく道のような踏み跡もあり、バリルートにしては異例の快適さです。確かこの日も前日に積雪があり、すでに雪が見られますね。

9:30、地形図の通り林道に合流しました。このまま尾根を直登すればよいのですが、林道は山腹を削って造成されていますよね。その関係で尾根への取りつき角度が尋常ではなく、草木にしがみつきながらよじ登りました。

標高をあげるごとに積雪が深くなっていきます。そろそろツボ足ではしんどくなってきました。

というわけで、10:00、スノーシュー装着です。海外メーカーのMSK製、ウエイトおよそ2キログラム、お値段55,000円なり。これは最新型モデルでして、一度履いてしまえばまず勝手に外れることはありません(先代はセッティングが甘いといつの間にか脱げたりしました)。

 

その代わり履くまでが手間ですね。赤い網の部分の固定がちょっと――いやかなり工夫しないと入らない仕様であります。下界ならグローヴを外した素手でも大丈夫ですけど、山に入ってからだと厳冬期はあっという間に指先の血流が滞ります。セッティングさえもう少し楽なら言うことはないのですが、なかなか一挙両得とはいきません。

沈み込みはこんな程度。深すぎることもなく、浅すぎることもなく、非常に快適なスノーハイクであります。装備を軽くしてからワタクシ、ラッセルがけっこう楽しみでして。テント泊装備のときは単なる苦行でしたが、こうして機動性を確保してからはハイクの楽しさが上回るという(従来の感性からは考えられない)事態に。今年は雪が多めで助かります。

白と青のコントラストが目に痛いほどです。ひたすらザクザク詰めていきます。

振り返ればいつでも絶景が拝めます。「振り返れば」つながりで脱線するけれども、わたしは懐古厨でして、ドラマも最近のものは全然知りません。歳をとると新しい作品に触れるのしんどくないですか? 物語や人間関係を把握するのだけで疲れるというか。特に映像作品は役者の演技やしぐさなんかも感情を表現してるので、一言一句見逃さないよう集中しないといけない。これがしんどいねんな……。

 

そうした理由で新作をまったく見ず、ひたすら過去の名作をくり返し視聴してるわけです。その二台巨頭が〈お金がない!〉〈振り返れば奴がいる〉なのですな。ある程度ご年配の方――数少ない本アカウントの想定読者層――ならこれらのドラマをご存じかと思います。

 

ワタクシこの二作がホンマに大好きでして、特に〈お金がない!〉はたぶん10回以上はループしてます。〈お金がない!〉は親の借金を背負って生きる萩原健太郎(織田裕二)が、外資系損害保険会社であるUNIVERSAL INSUARANCEで出世街道をひた走るというサクセスストーリー。

 

対する〈振り返れば奴がいる〉は、天才的な外科医だが独自の哲学のせいで孤高を極めている司馬医師(織田裕二)と、KANZAS CITYから招かれた熱血漢、石川医師(石黒賢)の相克を描いた医療ドラマ。司馬医師はヒール役を超えてもはや完全に悪人として描かれており、そこがダークヒーローとはまた一線を画する設定です。

 

両方視聴済みの方はわかると思うのですが、ほぼ同時期に放映されたにもかかわらず、〈お金がない!〉の萩原健太郎と〈振り返れば奴がいる〉の司馬先生はキャラクターにおいて、天と地ほどの隔たりがあります。前者は陽気で上昇志向のある好青年、後者は権謀術数に長けた金の亡者。驚くべきはどちらの演技もまったく自然で、織田裕二氏の本質がどちらなのか判断に迷うほどです(なんとなく司馬先生のほうな気はしていますが)。

 

どちらにも名シーンが多数あります。どちらにも娯楽を超えた学びを視聴者に与えてくれます。〈お金がない!〉はサラリーマンとしての生きざま、仕事とプライベートの相克、お金のありがたみと怖さを教えてくれる。〈振り返れば奴がいる〉は人間の尊厳、医療哲学、権謀術数、安楽死の是非などを教えてくれる。断言します。これ以上面白いドラマはありません

 

作品名 お金がない!

脚本 両沢和幸 戸田山雅司

ジャンル サクセスストーリー

おススメ度 ★★★★★★★★(5点満点中8点!)

一言コメント 人生のバイブル

 

作品名 振り返れば奴がいる

脚本 三谷幸喜

ジャンル サクセスストーリー

おススメ度 ★★★★★★★(5点満点中7点!)

一言コメント 人生のバイブル

ドラマの話が長引きました。いやあ、実に美しいですねえ。美しいんですけど、900メートル付近から100メートルほど、猛烈な藪ゾーンが始まります。しかも斜度が異様にキツイ地点から始まるという二重苦。地形図でお示しすると、下記の通りです。

赤いスクウェア部分、等高線の目詰まり具合からそれはもうすさまじい斜度だと容易に判断できます。ワタクシ愚かにもここを直登してしまいました。本来であれば青線ルートのように北へ巻いて、比較的角度のましな尾根へシフトしてから攻め落とすべきです。

 

驚くべきことに、1年前に同じルートを辿った際にはそのことを事前に予習しており、こなしていたのだという点。いったいこのときのわたしはどこまでパフォーマンスが落ちていたのか? まったく呆れ返るばかりです。

必死だったのか藪ゾーンの写真があまり残っていなかったのですが、とにかく密度がすごく、継続的に薄いところを選んで登るのはほぼ不可能でした。前景の青線ルートならそれほど苦労しなかった記憶があるので、ここは強引に直登しないようにしましょう。

標高が1,000メートルに近づくにつれ、藪は嘘のように鳴りを潜めます。換言すれば御座峰南東尾根(仮称)ルートで苦戦するのはここだけですので、バリエーションとしては楽な部類。気になる方はチャレンジしてみてください。

 

現在地は御座峰の若干手前、1,036メートルピーク。11:25でした。

さらにいったん下って登り返し、よっこらせと詰め上げました。11:50、御座峰(1,070メートル)登頂です! 藪で苦戦したのもあり、たかだか700メートル程度の標高を稼ぐのに3時間近くかかってしまいました。しかしその見返りは大きく、

すばらしい白山(だよね?)の眺望を得られました。なにがよいといって、厳冬期北尾根は入山率がほぼゼロパーセントな点です。いままで総計5回以上きてますが、冬季にトレースがあったことは一度もありません。白銀の稜線をスノーハイクする爽快感は格別です。読者もぜひチャレンジしてみてください。

 

メモには「ほぼ無風、音がない、耳鳴りがうるいさいほど」とありました。この時期の稜線は基本的に強風が吹き荒れ、とうてい滞在不可能な環境なのですが、この日は例外的に無風だったようです。音がなく、自身の耳鳴りがむしろうるさいほどだった由。

 

これ、まさに筆舌に尽くしがたい状況ですよね。厳冬期の地獄のような山ではなく、さりとて暖かい春山の気温でもなく、身の引き締まるピリリとした氷点下――ではあるものの、風速2メートル以下。見渡す限り白銀の世界にトレースは己の足跡のみ、はるか下方の尾根から続いている。この隔絶感はちょっとしたものでした。この狭い日本でこれほどの孤独を味わえる場所も珍しいのでは? 人間関係に倦んだ方はぜひお越しください。

厳冬期は白銀の世界を堪能できる反面、猛烈な寒さを我慢せねばならないというトレードオフの関係にありますが、この日は(何度もしつっこいけれども)風がない! それだけでこうも変わるとは。景色もご覧の通りですし、もうなにも言うことはありません。

伊吹山を正面にロックしながら、まっさらな稜線を独り占めです。晴天、新雪、人ゼロ、温度も耐えられるレベル。伊吹山地でこんな好条件、数年に一度あるかないかですよ。実にラッキーでした。

北尾根はけっこう藪がちな稜線でして、夏道はそれらを避けるように尾根芯を巻いていることが多いです。ご覧の通り冬はそんなの関係ねえ! わけで、好きなようにトレースつけ放題。

北尾根信者勧誘ピクチャー①。スノーハイクの素晴らしさがにじみ出ています。

北尾根信者勧誘ピクチャー②。

北尾根信者勧誘ピクチャー③。

 

さてなんぼ風が弱いとはいえ、吹きさらしの稜線で堂々とランチを摂れるほど環境は甘くありません。お腹の空き具合を勘案しつつ、983メートルピークで12:30、お昼としました。このピークは尾根が逆くの字に屈曲したところにあり、風の影響をいくぶん和らげる地点にあります。そのためメモにも「無風、極楽のような雰囲気」とありました。ちょっと逝っちゃってたようです。

13:00、ラーメンをすすって歯を磨き、出発です。白銀の尾根を下っていきます。ドライヴウェイと伊吹山本峰が近づいてきました。この迫力はいつ来ても圧倒されますね。とても1,300メートルそこそこの標高とは思えません。

尾根の突端まできたら、正面の切れ落ちた尾根ではなく、写真左寄りを巻くように降りていってください。静馬ヶ原に降りたち、コルを経てよっこらせと乗り越せば、伊吹山ドライヴウェイに合流します。14:10でした。

静馬ヶ原を望みます。道は左寄りに巻きつつ降りて、正面に写っている尾根を直登してドライヴウェイへ這い上がります。夏なら道が露出してるのでわかりますが、冬はうまいことルートファインディングしてください。

静馬ヶ原へ降りてきました。正面がドライヴウェイ、左へトラバースすると春日村さざれ石公園へ下山できます。本記事での掲載ルートがしんどい方は、このまま伊吹山を目指さずにさざれ石公園へ降りて、ダラダラ道路を歩いてループコースとするのもよいでしょう。

ドライヴウェイの積雪はこんな感じ。いつもそうなのですが、これだけ穏やかだった気候も伊吹山に近づくと急に厳しさを増し始めます。風が猛烈に吹き始め、まあ寒いのなんの。洟をすすりながら歩きます。

 

ドライヴウェイにはなぜか登山者がちらほらいて、みなさん下へ向かって降りていきました。あれはどこから登っとんのやろか? 上野が通行止めなので、おそらく春日村のさざれ石公園からでしょう。最近またこの地方に行ってきまして、冬季笹又ルートのコース取りがおおむね掴めました。それはまた後日載せる予定です。

 

さて前回記事で予告した通り、ワタクシドライヴウェイをなんとか回避できないものかと思案した結果、そのまま北尾根を辿るという(非常に愚かな)道を選択しました。詳細は下記の通り。

一見想定ルートはそう難しくないように見えます。わたしもそう思ってました。ところがよく見ると稜線は非常にやせ細っており、両脇に崖のマークがびっしり並んでますね。これは超ナイフリッジであることを意味します。

 

ドライヴウェイを回避して(=完全合法的に)伊吹山へ登頂するというのは、どうも山屋のなかで一種のチャレンジング目標になっているようです。数は少ないもののチラホラ先行者の記録らしきものがあり、例外なく「尾根が細く非常に難渋した」という趣旨の記述がありました。

 

そう書かれると山屋としてはむしろ登行意欲が増すもの(えっ?)。早速行ってみます。

取りつきは比較的なだらかで、簡単に行けそうな予感。先行トレースは当然なし、腕が鳴ります。

登り始めは比較的尾根も広く、大丈夫そう。ただのっけから斜度はキツイので覚悟してください。ここまで来るのにすでに5時間以上行動しており、かなり疲労がたまっています。ザックを軽量化して最低限の装備なのにこのザマですから、まったく歳は取りたくないものです。

いよいよ両脇が切れ落ち、痩せ尾根感が出てまいりました。でもこんなの全然序の口。トレースを新雪に穿つのが心地よいんですけど、疲労も激しいです。

正面の山塊へ詰め上げれば伊吹山です。わかりづらいんですけど、写真右端に9合め駐車場が写ってますね。あともう一息!

無理だ……。(byハンターハンターのノヴ)

 
最後の最後でやられました。いくらなんでもこれは細すぎちゃう? 写真ど真ん中に写っているナイフリッジを歩かねばならないようです。目測ですが最も細い部分で30センチメートルあるかないか程度でした。一応途中までは歩を進めたのですが両端、特に南側がスッパリと切れ落ちており、恐怖心が勝るという情けない結果に(北側も一度滑落すればドライヴウェイまで真っ逆さまです)。いざるように後退して安全圏へ退避後、腕を組んで考えます。
 
雪質はバーンではないし、スノーシューで踏み固めながら歩けば行ける――とは思う。が、ここを辿る必然性は? すぐ下にドライヴウェイがあって、そこを歩けば登頂できる山へ命を懸ける理由が見つからない。
 
というわけで撤退です。結婚したい相手もいないいま、わたしには失うものなどなにもないと思ってました。ところがあったのです。それは己の命であります……! 命あっての物種だと、〈装甲騎兵ボトムズ〉のとっつぁんことゴウト氏も死に急ぐキリコ・キュービーを諭してましたね。ありがとうゴウトとっつぁん。

来た道を戻るのも億劫だし、5~6メートル下はドライヴウェイなのでなんとか降りられないかと奮闘してましたが、危険すぎると判断し、無念のピストン。ドライヴウェイを歩き、15:15、9合め駐車場です。白状すれば疲労の蓄積がひどく、ゾンビに近かった。

15:30、伊吹山(1,377メートル)登頂です。もうヘロヘロのメタメタです。これからまだ下山が残ってるとはにわかには信じがたい。例によって強風が吹き荒れ、まともに滞在できる環境ではありません。

上野通行止めのため人は皆無に近いです。いまや春日村笹又のさざれ石公園がメインルートになりつつあるようですね。

吹きすさぶ冷風のなか、東端へ向かって歩いていきます。まあしんどい。これ以上負荷がかかった瞬間、即座に空中分解しそうな塩梅です。15:45、山頂台地東端よりドロップ開始。

東端ルートの詳細はこちらの記事に詳述しているので、興味のある向きはご参照ください。上記記事でわたし、ドロップ開始地点あたりはナイフリッジでおっかないと書いていたけれど、諦めたさっきの尾根に比べれば空母の飛行甲板くらいに感じます。

例によって東端ドロップは藪ゾーンのコース取りが難しい。うまいこと九十九折りに下っていきます。時間も押してますし、早いところやっつけてしまいたい。

はい、一気に端折って16:35、春日村へ向けてのドロップポイントです。ここは本アカウントでも掲載が久しぶりになるので、詳述しておきましょう。

ドライヴウェイのカーヴがちょうど尾根の突端になっているので、まずはそこから下っていきます。ご覧の通り終盤まで尾根の幅が常時広く、漫然と下っていると尾根芯からすぐ外れてしまいます。

現場はこんな感じ。林業関係者のものと思しきペナントが疎らではありますが巻いてあります。割とあてにして大丈夫ですので、道が消失する冬季は心強い味方となります。

 

701メートルピークには16:55着、そこからも相変わらず女性心理のようにハッキリしない幅広の尾根を下っていきます。バリエーションにしてはあまり分岐もなく辿りやすいほうかと思いますが、終盤だけは要注意。

再掲します。終盤で等高線が目詰まりを起こしていますね。例によってかなりの急角度です。とはいえありがたいことに、かなり明瞭な道がつけられているのでそれを使ってください。明るいうちはよいですけど、暗くなると複雑に蛇行する踏み跡を見落とし、どんどん尾根芯から外れていってしまいます(1敗)。必ず陽のあるうちに踏破しましょう。

 

沢へ降り立ってからもまだ一仕事残ってます。尾根の終点は害獣避けフェンスで完全に包囲されており、脱出するには沢を渡渉して道路へ這い上がらねばなりません。明るいうちは渡渉ポイントをじっくり吟味できますが、陽が落ちると不気味に聞こえてくる沢の音を頼りに入水覚悟のジャンプを余儀なくされます(体験者談)。

 

なんとか入水せずに渡渉し、17:30、林道へ這い上がりました。あとは県道をひたすら北上するだけです。17:55、車回収でした。9:00発、17:55着なので、ほぼ9時間も山のなかを歩き回っていたようです。もう当分山はええわ……。

 

2 コース所感など

本ルートの核心部は序盤と終盤に辿るバリルートです。特に登りのルートはルートというか自然状態で放置された純然たる尾根なので、ペナントなどの補助は得られないと思ってください。途中に藪ゾーンもあるし、積雪期が適期です。

 

終盤のほうは疎らにペナントや踏み跡があるので、利用できなくはないです。とはいえ林業の作業道でしょうから、あてにしすぎるのは禁物です。あくまで参考程度にとどめ、GPS等で現在地を把握してください。

 

目玉はなんといっても北尾根の踏破でしょう。厳冬期はほぼ誰もいないなか、快適なスノーハイクを楽しめます。これはどれだけ強調しすぎても足りないほどで、結果的にワタクシ今シーズン、これを含めて3回も行ってしまいました。

 

万人にお勧めできるルートではありませんが、歩きつくされた上野ルートに倦んだ方、岐阜県にお住まいで滋賀県側が遠い方、わたしのようになにがなんでもループコースで登りたい方など、潜在需要は多かろうかと思います。厳冬期北尾根、盛り上げていきましょう!

 

3 反省

反省というか心残りなのですが、ドライヴウェイを回避しようとして試みた北尾根の突端踏破ができなかったのが残念です。技術的に行けなくはないと思うのですが、足りないのは度胸でしょうか。いつかリトライしたいですね。

 

さて次回予告。またもやどっさり雪の降った週末、またぞろ伊吹山北尾根を歩くのですが、次回は国見岳直登尾根(バリエーション)を辿ってみました。無雪期でも3時間かかるルートを豊富な積雪のなか踏破できるのか? こうご期待。

 

おわり