槍ヶ岳詣で 2019 中継ぎ編 | 強化人間331のブログ

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サイボーグである強化人間331の、つれづれ山行記録。
さしておもしろくもないのは、ご愛嬌。

ぐっすり熟睡!

 

テント泊から逃げたおかげで快眠できたわたくし。元気いっぱいで起き出して早速穂先に登りましょう。の前に2日めの行程を載せておきます。

槍ヶ岳山荘~槍ヶ岳山頂~飛騨乗越~大喰岳~中岳~天狗原分岐~南岳~南岳山荘~獅子鼻展望台ピストン~南岳新道~槍平小屋~深山荘駐車場(車回収)

 

2日めは飛騨沢ピストンはせず、槍~南岳を通る3,000メートル級の散歩をしてきました。どのような絶景が待ち受けているのか。

 

①穂先へ

 

例によって早起きのジジババが朝の4時から動き始めまして、死んでも起きるもんかと頑強に抵抗します。なんとか二度寝することに成功し、5時すぎに起床しました。

 

例の自炊室で朝飯を作りつつコンタクトを入れたり乾燥室へ着替えをとりにいったりと朝は忙しい。乾燥室には昨日着用していたくさい運動着が干してあったわけですが、しっかり乾いてました。ううむ便利だ。それはいいんですけど、どう考えても衣類の勘定が合わないのですね。

 

落ち着いて数えてみましょう。パンツ、上下インナー、シャツ、ハーフパンツに靴下。うん、足りないよねやっぱり。2万3,000円もしたモンベルの超軽量アウターがないよね!?

なにかのまちがいにちがいない。もうとっくにご来光はすぎてるけれども、外のようすでも眺めて落ち着きましょう。1階まで降りなくても2階からも出入りできるようです。

うわあこれはすごい。大喰岳の堂々たる威容よ。今日はあの稜線を歩けるんですよ。いまからわくわくしてきます。

そしてお待ちかね、朝陽を浴びてシルエットになった槍の穂先。しぶいねえ、オタクまったくしぶいぜえ! ジョジョのニセ船長も出ようというものです。

すっかり昇ってますがなんちゃってご来光をば。雲海が橙色に染まっている絶景には声も出ませんでした。

 

さてそろそろ現実に戻るときです。再度乾燥室を漁ってみましたが、やっぱりアウターがない。まったく信じられないんですけど、パクられたんでしょうなあ。左側の腕を覆うあたりをざっくり引っかけて破いてしまってたので買い替えどきだとは思ってました。したがってさほどのダメージはありませんが、なによりパクられたという事実に呆然とさせられます。

盗難についてはこれからくどくど書くとして、同時並行で槍の穂先もレポートしていきますよ。道はこんな感じで終始岩場ですので、山荘とかテント場に荷物は置いていくのがベター。マークにしたがって登っていきます。月曜日だったので渋滞もありませんでした。

 

以前後立山に遠征へいった際、種池山荘のテント場に泊まったことがあります。10月で雪が降っていたため、たまらず飯だけ山荘内のスペースを使わせてもらったのでした。そのときおばさまとじいさんのペアと会話した記憶があります。

 

じいさんは若いころテント泊をしていたけれども、いまはすっかり衰えて小屋泊になったというご仁(遠からずわたしもこうなりそうです)。その彼がむかし、南アルプスのテント場で盗難にあった経験を話してくれました。なんでもテントの外に登山靴を置いておいたら、翌日自分のものでないぼろぼろの靴にすり替えられていたんだそう。

 

じいさんの靴をくすねた犯人は新しい靴ほしさに犯行にはおよんだけれども、はだしで山を歩かせるのは忍びないと思ったのでしょう。等価交換とはとてもいかないながら、一遍の良心を残していった。それに比べてわたしのアウターをパクったやつはどうですか。

鋭く切れ落ちた槍の登山道。ほどよいスリルが刺激になります。

 

高峰では天候や時間帯により、夏でも氷点下近くまで気温は下がります。とくに雨天ともなればアウターのない状態での長時間行動は低体温症へとつながる可能性もある。数年前に中央アルプスでそんなような死亡事故もありました。げんに黎明編でわたし、冷風に耐えられずアウターを羽織りましたしね。

 

ですからアウターをパクるというのは間接的な殺人に類する犯罪であると結論できますね。4メガ歩譲って高級そうなのに目がくらんで魔が射したとしても、前述のじいさんの例のようにせめて、自分のやつを置いておくべきではないですか。

 

槍は北アルプスのなかでは時間と金さえあれば比較的、誰でも登れるたぐいの山ではあります(のんびり時間をかけて小屋泊するとか)。とはいえアウターの重要性もわからんようなド素人がくるような山域ではないでしょう。これがなくなったら場合によっては命にかかわることすら想像できないような素人はいないはずです。

見た目はかなり険しそうですが、お年を召したじいさんばあさんも登ってるくらいなので大丈夫。岩場に慣れてないかたはゆっくり確実にね。

 

ぐちぐちと続いてすいません。いったん盗難の件は置いといて、わたしの犯罪に対する基準はちょっと変わっております。わたしは麻薬の密売とか拳銃の所持、食品の偽装なんかはいっさい犯罪なんかではないと確信しております。なぜか。

 

これらはまったく恣意的な罪だからです。たまたま日本では上記の行為すべてが法律により規制されているというだけの話であって、本来であればなんら咎められるものじゃない。麻薬は世の中を混乱させると一部のすこぶる頭のよい(と思い込んでいる)人たちが勝手に判断したため、使っちゃいかんことになってるのです。拳銃も食品偽装もすべてそうです。

 

このような態度――よかれと思って一方的に押しつけられる強制――はパターナリズムと呼ばれてますね。わたしはね、パターナリズムが

 

大っ嫌い!

 

なんですよ。いったいこいつらは何様なんですか? 人より優れていると思い込んでいるただのナルシストじゃないですか。麻薬をやろうが銃を持とうが個人の勝手でしょ。赤の他人が彼らの欲求を抑制する権利なんかありっこない。クスリをやって廃人になる権利が誰しもあるはずです。それと引き換えに快楽を得るんですから。

穂先登攀の最終局面、長いはしごがあります。ご覧のようにほぼ垂直にかかってるし長いしで、初見ではけっこうビビりました。白状すれば今回もビビったけれども

 

じゃあ麻薬をやって他人を殴ったり銃をぶっ放してにっくきあいつの脳みそに風穴を空けてもいいのか? もちろんだめです。わたしが犯罪だと文句なく認める基準はただひとつ、

 

私有財産権への侵害

 

であります。個人そのものと個人の所有している資産に対して、なんぴとたりともこれを盗んだり壊したりしてはならない。世の中に必要なのはこのルールだけで十分です。ですからクスリをやろうがただのメンマをフカヒレだと偽装して販売しようが、いっこうにかまいません。ただ人に迷惑をかけるなとまあ、言いたいのはこれだけです。

 

麻薬をやって頭がイカレると誰彼かまわず攻撃するのではないかという主張は誤りです。ヤク中が犯罪を犯す理由のほとんどは、高額の麻薬を購入するための資金稼ぎであって、それが窃盗や強盗につながってるわけです。

 

ではなぜ麻薬が高額なのかというと、それは取り締まる法律があるからです。法律を破ってパクられるリスクを冒してでもヤクを販売するのなら、相応の価格にしないと割に合わないでしょ。もしヤクが解禁されれば価格なんて二束三文になるだろうし、売人であるヤクザなんかもいなくなりますよ。まっとうな店先で一袋100円とかで買えるようになるでしょう。

話が最近ハマッているバンド、ノーナ・リーブスの楽曲なみにくどすぎて三分割の危機が出来してまいりました。6:15、槍ヶ岳(3,180メートル)登頂です。穂先に登ったのは実に5年ぶりくらいでした。

テンポが悪すぎるので先に展望だけやっつけちゃいましょう。西鎌を一望のもとに。こうして見ると実に歩きがいのありそうな稜線ですね。いつかじっくり時間を作って西鎌から槍を攻め落としてみたいですねえ。

北アルプスのなかでも懐の深い山域、薬師岳方面ですね。あっちもまたいきたいものです。たぶん小屋泊で

ああもう、あかん。笠がかっこよすぎる。北アルプスのなかでも余人を寄せつけない孤高の山、笠ヶ岳。登るのはしんどいので勘弁してほしいのですが、眺めるだけなら文句のつけようがありません。

眼下の槍ヶ岳山荘を一望。このスケール感よ。

穂高方面。これから見えている稜線を歩けるわけです。楽しみじゃあ!

朝も早い時間だったので雲海も健在。幻想的ですなあ。中国の深山幽谷にきたかのようです。

もう1枚。立膝してずっと見ていたいものです。

山頂のようす。穂先は猫の額ほどしかなく、5~6人もいればもう立錐の余地はありません。撮影だけして10分くらいで退散。いやあすばらしかった!

さあ山荘に帰って荷物をとってきましょう。ガスが出ないうちに出発です。槍は何度訪れてもいいものですなあ。まだいったのことのない山屋はぜひ一度、訪れてみてください。わたしでさえ柄にもなく感動するんですから、感受性豊かな一般的山屋なら狂喜乱舞するでしょう。

 

さて愚痴パートが再開されますよ。ご用とお急ぎのかたはどうぞ飛ばしてください。で、どこまでいったんでしたっけ。そうそうアウター盗難の件でしたね。(どんどん脱線してなんの話かわからなくなってますが

 

麻薬はともかく銃の自由化はどうなんじゃ、アメリカなんか犯罪大国やんけ、というご意見はあるかと思います。しかしそれは犯罪の検挙率や親告罪などの統計データのとりかたなどで大きく変動します。日本は警察の検挙率が高いので犯罪のコストが非常に高い。ために犯罪率が低いのであって銃がないせいではない。

 

そのコストを払ってまで強盗なり殺人なりをしようと画策する悪党はどちらにせよ、非合法な手段で銃を手に入れるでしょう。対するわれわれ市民は丸腰。この状況は明らかに不利です。

 

では銃が自由化されたとしましょう。強盗をやらかそうとする犯罪者予備軍はこう考えます。いま俺があの銀行に押し込みをかけたとする。いったい客やら行員やらの何人が銃を持ってるかわかったもんじゃないぞ。反撃されて撃たれたうえにしょっぴかれたんじゃ割に合わん。うん、やめよっか……

 

このように犯罪のコストが激増するため、むしろ犯罪率は減少するでしょう。したがっていかなる規制も意味はなく、その規制に違反したからといって犯罪者扱いするのはばかげてます。わたしはそう確信してます。

あかん、くどくなりすぎたわ。ノーナ・リーブスも真っ青なレベルでね(でもホンマにいい曲ばっかですよ。ためしに「Love Together」と「ガガーリン」あたりを聴いてみてください)。もう1つ記事足します、申しわけない。晴天に屹立する槍を振り返り、ザックを背負って出発。

 

以上長々と論じてきましたけれども、いよいよ結論です。アウターの盗難は結局どうなの、という話ですね。これはもちろん私有財産権への侵害です。人さまのものを無断でパクったんですから。したがってわたしは犯人を見下げ果てたクズ野郎と断罪するにやぶさかじゃありません。

 

これは全方位どこから見ても許されざる犯罪であります。わたしにとっては麻薬王よりも隣人の鉛筆を盗んだコソ泥のほうが罪が重いわけですから。とはいえわたしは犯人に同情しますよ。よほどの恥知らずでない限り、彼または彼女は今後一生、槍ヶ岳の思い出にみずからが犯したしょうもないあやまちを重ねて生きていかねばならないんですから。犯人のために、合掌。

出発の前に昨日降りていかなかった殺生ヒュッテ方面を。遠くテントが数張り張ってあるのが見えます。いいテント場なんですよほんとに。槍沢からアプローチする予定のテント泊山屋はご一考ください。

すっかり陽が昇りました。さあ稜線に向かって全速前進!

 

つづく