■ジャズピアノの巨人…集大成
ジャズピアノの巨人が音楽について思いつくままに語り、演奏するという集大成的作品。セロニアス・モンクやバド・パウエルについて語ったあとに「ラウンド・ミッドナイト」や「ダスク・イン・サンディ」を弾くといった具合だ。さすがのチックだけに、ぞくぞくするような弾きっぷり。少しも枯れていないみずみずしいサウンドだ。
ビル・エバンスについては言葉は少ないが、演奏するのは何と「ワルツ・フォー・デビイ」。ジャズの名曲の中でも最も有名な一曲だが、これをフリースタイルで弾き始め、だんだんあのメロディーに近づいてゆくのだ。こうきたか!
今年2月に亡くなったギタリスト、パコ・デ・ルシアについても触れている。チックが彼のために作曲した「イエロー・ニンバス」を演奏。透明感があって美しい曲。静かに押し寄せる感動の波にしばし身を任せた。(櫛)
ユニバーサル、3564円