川内原発は合格証のひな型 原発の安全審査加速へ | 毎日のニュース

毎日のニュース

今日の出来事をニュース配信中!

 九州電力川内原発1、2号機の事実上の合格証である「審査書案」が了承される見通しとなった。原子力規制委員会は、初の審査書案作成に審査担当者を集中投入したため、申請中の他原発の審査は中断している状態だ。だが、審査書が了承されれば、それが「ひな型」となり、他の電力会社も参考とするため、原発の安全審査は加速する。

 昨年7月に施行された新規制基準による審査は、当初半年と見込まれていたが大幅に延び、すでに1年を超えた。規制委は申請書類の作成など「事業者の準備不足」(田中俊一委員長)を理由に挙げるが、規制委側でも最終的に審査結果を反映した原発の安全性を、どのように説明するか手探りだった経緯もある。

 16日に審査書案が了承されれば、文面などの作成に集中していた規制庁職員の負担が解消され、再び他の申請原発の審査に復帰することになる。

 さらに、規制委に審査書作成のノウハウが確立されたことになり、2番手以降に審査がほぼ完了した原発は今回の審査書をひな型にして、効率的に事務手続きを受けられるようになり、審査は加速化する。

 だが、電力各社が目指す再稼働の容認は、最終的に規制委ではなく地元住民らが鍵をにぎる。原発事故時の避難計画の整備などは規制委の所管外。自治体側の準備が十分に整っているとはいえず、審査書案の了承後も再稼働に向けた課題は残ることになる。(原子力取材班)