電機大手のオムロン(京都市)が、JR東日本から依頼された調査のため熱海駅(静岡県熱海市)などで撮影した利用客の映像を、総務省の外郭団体の別の研究に無断で流用していたことが12日、分かった。文部科学省の公募事業に加わり、JR西日本の京都駅(京都市下京区)の客を無断撮影していたことも判明した。
総務省から約2億5千万円、文科省からは約2億4千万円をそれぞれ受け取っていた。個人情報の管理体制に批判が出そうだ。
オムロンは、問題を起こしたグループ会社のオムロンソーシアルソリューションズ(OSS、東京都)に再発防止委員会を設置。映像の管理体制を強化し、コンプライアンス(法令順守)の徹底を図る。関与した二十数人の社員の処分も検討する。
オムロンは熱海のほか、JR東の桜木町(横浜市中区)、板橋(東京都板橋区)、国分寺(同国分寺市)の3駅にそれぞれ約10台のカメラを設置し、改札口周辺の客の流れを調べた。JR東からDVDで受け取った客の映像記録は目的以外に使わず、使用後に破棄する契約だった。撮影期間は平成20年から約1年間とみられる。
しかし、オムロンは18~22年度、総務省が管轄する独立行政法人「情報通信研究機構」(東京都)の公募事業に参加。JR東の映像を使い、改札の不正通過やけんか、うろつきなどの不審な行動を取った人を追跡するシステムを開発し、研究費用を受け取った。
京都駅では24年に、100人規模の動きを1人ずつ追跡する技術を確立するため、改札口近くの駅ビルで、社員らがビデオカメラで客を無許可で撮影。学会などで映像を公開していた。