1日、集団的自衛権行使を容認する憲法解釈の変更が閣議決定された。それを受けた緊急世論調査によると、内閣支持率は共同通信社で47.8%、読売新聞で48%、朝日新聞で44%だった。各社の数字の高低や差異を論じてもあまり意味はない。世論とは点ではなく線であり、同一調査主体が同じ方法で得たデータの変動から読み取る傾向だからである。
ここで問題にしたいのは、新聞紙面における世論調査の取り扱い方である。3日の京都新聞は共同の結果を1面トップで「内閣支持率47%に下落」「容認反対54%」と伝えている。内閣支持率は昨年12月の特定秘密保護法成立直後より0.2%ほど高いため最低ではない。「行使容認に国民が納得していない実態が浮かんだ」のは確かだとしても、一方で容認反対論を国民が支持しているとも言えない。前回6月8日付本欄で指摘したように、「反対・賛成」の二択なら反対は過半数だが、「限定的容認に賛成」を入れた三択なら反対は30%前後にまで縮減される。
一方、今月6日の朝日(大阪本社発行版)も自社調査を1面で報じているが、トップ記事ではない。見出しは「行使容認“よくない”50%」だが、この数字は4月の「反対」56%から後退している。また、「内閣支持率44%」は先月調査の43%からわずかだが上昇している。もし、反対が56%を超え、支持率が42%以下になっていれば、もっと大きな扱いだったのではなかろうか。