集団的自衛権の行使容認をめぐる与党協議で、憲法解釈変更の閣議決定の核心部分となる自衛権発動の新3要件が示されたことで、政府・自民党と公明党の攻防は最終章に突入した。公明党は行使容認にかじを切ったが、党内や支持者への説得はこれからで、苦悩もにじむ。新3要件のペーパーに「集団的自衛権」の文言はない。ただ安倍晋三首相は、この6文字の明記という「完全決着」に向けて公明党を押し切る構えだ。
13日午前8時から国会内で行われた「安全保障法制整備に関する与党協議会」。最後の10分あたりで、自民党の高村正彦副総裁はこう切り出した。
「公明党の山口那津男代表は論理的整合性、継続性、法的安定性を強調し、昭和47年の政府見解に言及されてきました。そこで、私なりに十分に配慮した上で自衛権発動の新3要件を考えました」
配布されたペーパーに目を通した公明党の北側一雄副代表は「ちょっと見ただけでも十分でない点がありますね。この重大な提案は時間をかけないと結論を出すのは難しいです」と顔をしかめた。
北側氏は水面下で高村氏に、47年見解を基にし、行使を「国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される急迫、不正の事態」に限定するよう求めていた。ところが、ふたを開けてみると「-が根底から覆されるおそれがあること」になっていたからだ。
もっとも、抵抗にも限界があるといった認識が公明党内に広がりつつある。