経済産業省は17日、電力需給対策の必要性などを有識者が話し合う「電力需給検証小委員会」を開き、原発を持たない沖縄電力を除く電力大手9社の今夏の電力需給見通しを提示した。最大需要に対する供給余力を示す「予備率」は、9社で4・6%、関西電力など中・西日本6社で3・4%だった。安定供給に最低限必要とされる3%は全社上回ったが、関西、九州の両電力は3・0%ちょうどだった。
需給見通しは、最も需給状況が厳しい8月のもので、電力融通の実施を前提とした。原発の再稼働は現時点で不透明として織り込んでいない。
需給見通しによると、東京電力福島第1原発事故前に総発電量に占める原発比率が高かった関西、九州の両電力で、特に厳しい状況が見込まれる。電力融通を行わない場合の予備率は関西が1・8%、九州が1・3%で、中・西日本6社でも2・7%といずれも3%を下回っている。
中・西日本では、電源開発(Jパワー)の松浦火力発電所2号機(長崎県、100万キロワット)でトラブルが起きるなど、供給力に対する懸念が強まっている。原発事故後に稼働率が高まっている老朽化した火力発電所の突発的なトラブルが懸念されており、経産省は数値目標付きの節電要請を行うかどうか慎重に検討する構えだ。
同委員会では、4月中に今夏の需給見通しを盛り込んだ報告書の取りまとめを目指す。それを受け、5月の連休明けにも政府が今夏の需給対策を決定する。
昨年夏は、各地域で安定供給に最低限必要な供給余力を確保できる見通しとなったため、全国9電力管内で7~9月に数値目標を伴わない節電が要請された。全地域で数値目標の設定が見送られたのは震災後初めてだった。