【心をつなごう日本】午年の相馬 駆ける | 毎日のニュース

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 福島県相馬地方で毎年7月に開かれる伝統行事「相馬野馬追(そうまのまおい)」に向け、地元では、本番で疾走する馬たちの調教が新年も続けられている。

 南相馬市の仲山トレーニングセンターでは8頭を訓練中だ。同市は東京電力福島第1原発事故で市域の一部が今も避難指示区域に指定されており、このトレセンも原発から約28キロ。代表の佐藤徳さん(60)は「相馬野馬追を一層盛り上げて、福島の復興につなげたい」と話す。

 馬たちはいずれも引退した競走馬だが、中央競馬で重賞勝利の経験がある馬など実力派ぞろい。行事のクライマックスである甲冑(かっちゅう)競馬や神旗争奪戦での活躍を約束するように躍動感あふれる走りをみせる。

 1000年以上続く行事は震災の年に規模を縮小したものの、一昨年からほぼ以前の姿に戻った。ただ、周辺では若い家族が減り、避難先から乗馬の練習に通う参加者もいるなど原発事故の影響は残る。

 「このままだと野馬追も小さくなるのでは…」。佐藤さんは不安を口にしながらも、「全力を尽くしたい」と馬の世話に集中している。(写真報道局 松本健吾)