【回顧 平成25年】建築・デザイン 7年後の「その先」見つめて | 毎日のニュース

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 2020年東京オリンピック・パラリンピック決定のニュース(日本時間9月8日)は建築界、デザイン界でも明るい話題として、前向きに受け止められた。

 反応も早かった。10月には日本デザイン振興会など関連団体による「2020東京大会のデザインを考えるプラットフォーム」を緩やかに設置。世代や領域を超えてデザイナー20人が五輪への決意や提言を行う公開スピーチも行われた。

 そこでは7年後の五輪というよりも「その先」を見据えた提言が目立った。グラフィックデザイナーの福島治(55)はこう語りかけた。「すべての交通機関をバリアフリーにしましょう。大会後は超高齢化社会が進む都民の大切な財産になるはずです」。デザインは本質的に常に前向き、善であることを要求する。デザイナーとは現状ある問題を克服し、望ましい方向へ進むよう力を尽くす仕事なのだろう。

 が、ここにきて都知事の辞任もあり準備は停滞。デザイン界も実際に動き始めるのは来年になりそうだ。

 将来への見通しがあいまいだったために物議を醸したのが、東京・神宮外苑に建設予定の五輪のメーン会場、新国立競技場。建築界の重鎮、槇文彦(85)らが「巨大過ぎる」と建設案に疑義を呈し、議論を呼び起こした。景観や安全への懸念だけでなく、五輪後の維持管理や収支に対する見通しの甘さが指摘された。結果、事業主体である日本スポーツ振興センターの有識者会議は延べ床面積の約2割縮小などを決定。イラク出身の建築家、ザハ・ハディド(63)の斬新なデザインはおおむね維持、開閉式屋根も計画通り残しつつ、費用縮減に努めるとした。