わずか4日前に会見した副頭取の説明が簡単に翻された。みずほ銀行が暴力団組員らへの融資を放置していた問題。8日に会見した佐藤康博頭取(61)=みずほフィナンシャルグループ(FG)社長=は、担当役員止まりとされた問題融資が当時の西堀利(にしぼり・さとる)頭取(60)まで上げられていたほか、取締役会などでも計8回報告され、自身を含めた数十人の取締役が知りうる立場にあったと明らかにした。問題は法令順守の欠如にとどまらず、経営陣が関わる組織的な隠蔽だった疑いも出てきた。
報告これまで8回
「過去に遡(さかのぼ)って資料を確認した結果、報告がなされていたことが確認できた」
佐藤頭取は会見の冒頭、「新たに判明した事実」として、平成22年7月の段階で今回の問題融資が当時の西堀頭取に報告されていたことを明らかにした。さらに23年2月から24年1月までの間に、みずほ銀とFGの取締役会やコンプライアンス(法令順守)委員会で計8回、報告されていたことも明言した。
みずほ銀は、金融庁には一貫して「担当役員止まりだった」と説明し、4日に会見した岡部俊胤(としつぐ)副頭取も「頭取は知らなかった」と説明しており、わずか4日で、問題の根幹に関わる部分の説明が一変した。
金融庁も不快感
佐藤頭取は、副頭取会見翌日の5日、休日返上で行った調査で資料が見つかり、7日夜に行った西堀氏へのヒアリングで確認できたと釈明。金融庁に事実と異なる説明をしたことについては「担当者が経営陣に報告していないと思い込み、過去の資料を確認せず報告した」と説明した。
さらに、この資料を金融庁に提出しなかったことについて「提出を求められなかった」と弁明した。