みずほ銀行の西堀利(さとる)元頭取が、暴力団組員らへの融資を放置していた問題を把握していたことが明らかになった。当時のトップの関与で不祥事の実態は「会社ぐるみ」だったといえる。前身の旧第一勧業銀行や4大証券による総会屋への利益供与事件(平成9年)では、問題発覚後、トップが軒並み引責辞任している。みずほ銀のトップはどう責任を取るのか。
利益供与事件で辞任したのは、第一勧銀、野村証券、大和証券、山一証券、日興証券のトップら計70人余り。野村証券社長や第一勧銀会長らは自らの関与が発覚する前に、金融界全体の社会的信頼を傷つけた道義的責任を取って辞任した。その後、利益供与を部下に指示したり、報告を受け了承するなどしていたことが判明し、多くの逮捕者を出した。第一勧銀相談役の自殺もあった。
今回の問題は、グループ信販会社「オリエントコーポレーション」を介した自動車ローンなどで反社会的勢力に融資されており、総会屋と直接取引した利益供与事件とは異なる面もある。ただ、トップが問題を把握しながら、放置して先送りしていた構図は共通する。