原発事故のため、福島県内11市町村で指定された警戒区域と計画的避難区域の再編は、8日午前0時実施の川俣町山木屋地区で全て完了した。だが、再編で新たな名称になった3区域は今も全て避難指示が続いたまま。除染の遅れなどから、住民の帰還は見通しが立っていない。
3区域のうち、事故後6年は戻れない帰還困難区域は7市町村に及び、人口は計約2万5280人。居住制限区域は約2万4600人、避難指示解除準備区域は約3万4千人で、県内外の避難者数は約14万8600人となっている。
再編完了で今後は住民帰還に向けた動きが本格化する。石原伸晃環境相と新藤義孝総務相は8日、首相官邸で会談し、喫緊の課題である除染や、汚染土を保管する中間貯蔵施設の建設を加速するため、環境省に新たに局長級の統括官ポストを設けることで合意した。
除染は11市町村のうち7市町村で予定より遅れている。中間貯蔵施設をめぐっては政府が今年3月末までに建設地を決める予定だったが、候補地の自治体との交渉が難航し、いまだに決まっていない。こうした課題が解消されなければ、避難指示は解除されない。