気象庁は8日夕、奈良県と大阪府で震度6弱から7程度の揺れを予想し、関東甲信から九州までの広範囲に緊急地震速報を発表したが、震度1以上の体に感じる揺れを観測した場所はなかった。気象庁の橋田俊彦地震火山部長らは同日会見し、「予想は過大で、広範囲でご迷惑をかけた。誤報を深く肝に銘じておわびし、再発防止に努める」と謝罪した。
気象庁によると、和歌山県北部で午後4時56分、地震の揺れを検知。マグニチュード(M)が最大7・8と予想して速報を発表したが、実際にはMは2・3だった。
気象庁は誤報の原因が、三重県沖約60キロの海底地震計が水流などを検知して生じるノイズだったと分析。地震発生とほぼ同時に、地震計の電気信号が2秒間途切れる不具合が起き、復旧後に再び検知したノイズを「1センチの揺れ」と誤って計算処理したという。
和歌山県から約200キロ離れた三重県沖に揺れが到達したとみなして震度予想した結果、地震発生から18・5秒後に、M7・3だった平成7年の阪神大震災を大きく上回る地震が奈良県の深さ約60キロの地点で起きたと推定した。
橋田部長は会見で、「情報の信頼性を損ねた。技術の改善に努めるが、今回は実際に地震が発生している。今後も、速報が発表された場合は身の安全を確保してほしい」と軽視しないよう理解を求めた。