ウィリエール試乗祭り
こんにちは。また投稿がばちこり開きました。前回がアルテDi2導入ので8月ごろと夏真っ只中だったと思うのですが、もう12月の中旬と真冬になってしまいました笑
さて、今回は9月にお邪魔したウィリエールの試乗会についてです。まとめるか悩みまししたが、せっかくなので記載します。
今回は代理店である服部産業様 、およびエルカミーノサイクル様 のご好意で参加させていただきました。ありがとうございました。
ウィリエールとは
今回試乗したメーカー「ウィリエール」はイタリアのブランド。イタリア車らしい流麗で美しいフレームが魅力的です。レース業界でももちろん実績が高く、今季で引退するヴィンチェンツォ・ニーバリ(ニバリ)選手が所属をしていたアスタナ・カザフスタンチームへの提供ブランドでもあります。
私自身のファーストバイクもウィリエールです。最もエントリーなモンテグラッパDiscですが、ほんと自分がこんなオシャレバイクメーカーに乗ってるなんて自覚がありません笑
前置きはこれくらいにして、それでは今回試乗したモデルたちをご紹介します。あえて値段順ではなく、乗った順にご紹介
※フレーム素材、およびせいぞ方法である『HUS-MODカーボン+L.C.P(アドバンスドVaBM-EPSプロセス製法)』については、おまけとして最後に少しご紹介します。
Gastaldello fillet(日本限定モデル)
フレーム:コロンバス製クロモリ(服部産業オリジナル)
フォーク:カーボンフォーク
特徴:アヘッド・BSA BB・溶接部フィレット仕上げ
重量:約8.3kg(アルテグラ機械式完成車仕様)
ZERO SLR
フレーム&フォーク:HUS-MODカーボン+L.C.P(アドバンスドVaBM-EPSプロセス製法)
特徴:シマノプレスフィットBB( BB86)・ゼロバー・電動コンポ専用・マビックピードリリースアクスル採用
参考重量(マットブラック):フレーム:約780g・フォーク(約345g)・ゼロバー(約335g)
FILANTE SLR
フレーム&フォーク:HUS-MODカーボン+L.C.P
特徴:シマノプレスフィットBB( BB86)・ゼロバー・電動コンポ専用・マビックピードリリースアクスル採用
参考重量:フレーム(約880g)・フォーク(約335g)・ゼロバー(約335g)
Gran Turismo R team DISC
フレーム&フォーク:46T/30Tカーボン
特徴:シマノプレスフィットBB( BB86)・フラットマウント・シートクランプφ27.2mm
参考重量:フレーム(約1450g)・フォーク(約450g)
今回はメーカー様主催ということで、空気圧やホイールなどを調節することができなかったのと、市場距離も最大で5〜6kmです。なのでさわりの部分だけになります。
それでもこれだけ車体の違いが明確にわかるのですから、キャラ付けがかなりはっきり分かれていると思います。
個人的に50〜100kmは最低乗らないとインプレじゃなくねとは思っているのですが、、、なかなかウィリエールって試乗する機会が少ないので、少しでも参考になればと思います。
試乗編
それでは、各種モデルをインプレします。
Gastaldello
まさかの一台めにお勧めされたのがこちら!!こちらはなんとウィリエール、コロンバス、服部産業によって企画開発された日本限定モデル!!コロンバス製クロモリの選別から服部産業様が関わり、溶接部はフィレット仕上げて美しく製造されたロードバイクです。
クロモリロードに乗るのは久しぶり、かつ試乗レベルしか乗ったことがありませんでしたので実質初見。
漕ぎ出しは予想以上に軽快。試乗車ではカーボンホイールだったのも影響はしていると思いますが、そこまでフレーム側に重心を感じすぎません。ミドルグレード価格帯の油圧ディスクフレームのアルテ完成車レベルの重量(約8.3kg)で、多くのエントリーリムブレーキより軽量に仕上がっており、クロモリと聞いた時に重いのでは?と言った心配は全くありません。
直線での加速はしなりもありつつ、伸びやか。最新のカーボンロードのような足にくる剛性感とは異なるクロモリ独特なしなやかさを感じることができます。一生懸命漕ぐバイクというよりも、足への負荷も少ないので自転車との一体感を感じて楽しめるのがいいところ。
しなやかさを楽しみつつ、景色や風を感じて楽しむ、まさにサイクリング向け。セカンドバイクとして最高なモデルだと思います。
ZERO SLR
気になりまくっていたウィリエールが誇る最高峰軽量エアロロード。ZERO 9(ゼロノヴェ)の実質的な後継モデルといえます。
ハンドルはフィランテにも採用されている『ゼロバー』をアッセンブル。名前の通り元々はゼロSLR用に開発されただけあって、一体型内装ハンドルとして軽さと空力効果を煮詰められた形状となっています。メーカー的には「伝統的な丸ハンドルと流行のエアロデザインの中間点」を目指した形状だという。
漕ぎ出しは衝撃的なレベルで軽い。
見ての通りホイールは旧型アルテホイール(と思われる)で決して超軽量ではない。フレームMサイズ参考約780g、そしてこれまでのゼロシリーズを超える153.9Nm/°/kgの重量剛性比からくる軽いフィールだと思われます。力まずに体重をそのまま乗せただけでここまで軽やかなフィーリングは、過去に試乗したチッポリーニ・ドロミア以来です。
その軽さと剛性比から察する通り、中間加速も申し分ないソリッドフィーリングです。
ダンシングもかなりしやすく、プロ仕様モデルらしくどこで踏んでもしっかりとしたトルク感を感じることができます。もちろんそれは速さにもつながります。
巡航は良くも悪くもなく。そこまで直線を走ることができなかったのであまり印象に残っていません。そこまで縦に硬い印象はなく、強いていえば軽すぎて体幹がしっかりしていないとピタッと高出力を出し続けるのが難しい気がしました。
まあこれはプロであれば問題ないのでしょう。私はフラフラです。
軽量系あるあるの乗り心地の悪さはそこまで感じません、突き上げもまあまあ。これまで乗ってきた経験から、プロクラスならこんなものだという印象。
逆位にいえばこれだけ重量剛性比をあげてきているのにも関わらず、気にならないのはフレーム特性の良さを物語っていると思います。部分で言えば専用シートポストとダウンステーしたリア三角形でしょう。実はシートポストでの振動抑制能力はそこまで高いくないという研究もあった気がしましたが、、、
素材まで気にしてこの剛性と乗り心地を紐解こうとすれば、ハスモッド+L.C.P.カーボンフレームでしょうか。これについては最後に紹介します。
FILANTE SLR
個人的な今回の試乗会の大本命!フィランテ!
もうね、この色がね、好きなんですよ!KAKKOII!!(落ち着け)
フィランテは実質的にチェント10系の後継モデル。つまりエアロロード系です。フィランテではさらに懐が広がり、さらなるエアロに軽さが追加された全方位最強モデルです。やはりカムテール形状(D型形状)の採用はこれらの両立に寄与しています。
ぱっと見はZERO SLRに似ていますが、シートクランプがフレーム形状に一体化されて流線型になるなど、しっかりエアロを気にした設計がなされています。
漕ぎ出しは、直前に乗ったゼロSLRのせいで霞みますが、十二分なフィールの軽さ。ゼロに比べて硬さの方向性が捻れよりも、縦に感じます。ゼロSLRを軽やかと表するなら、こちらは重厚な(重いというわけでなく)フィーリングです。
スプリントはトルク感が高め!ゼロではひらひらする方が多めでしたが、フィランテは捻れと縦の剛性がさらにましている印象で、特に2時あたりは非常に踏みごたえが高いです。
巡航はこちらも距離が短いのでなかなか自信を持ってお伝えできません。が、ゼロSLR以上に縦の剛性が高いため高出力時の伝達性能は明確に高いです。
乗り心地に関しては、チューブラータイヤだったこともあってフレーム自体まで分解しては把握できませんが、そこまでコツコツ感などは感じなかったので、少なくともZERO SLRよりは振動特性はいいと思います。いずれにせよ個人的にはチューブレスにはしたいですね。
Gran Turismo R team DISC
ウィリエールがほこるミドルカーボンモデル。
快適性重視のエンデュランスロードと表現してしまえばそれまでだが、ウィリエールらしいレースの系譜も感じられる普及グレードです。
前置きしますが、ホイールは一応ディスクブレーキです。おそらくリムブレーキ用アルミリムにdisc用ハブで組んだのだと思います笑
46T/36Tと弾性を抑えたフレーム素材、わずかにリーチを短く、かつスタックも高く仕上げて快適すぎずレーシーすぎないポジションと剛性を持っています。
レース譲りのテクノロジーとしてはアシンメトリーフレーム形状が挙げられる。最も大々的に使用したピナレロ以降、最近では多くのメーカーが採用している形状だが、フィランテSLRやゼロSLRでも実は採用している。
そもそもアシンメトリー(左右非対称)形状を採用するのは、自転車のパーツの右側集中による剛性バランス偏りを整える効果がある。最近ではそれに加えてディスクブレーキによる強大なストッピングパワーを受け止めるために左側のみ太くすると言った効果も期待されている。今回の場合は快適性と反応性を向上させるといった前者の効果を狙っているとされています。
ちょっとホイールが残念ながら重量級だったので本来の性能を発揮したとは言い難いのですが。。。
軽快感はカーボンらしい片鱗は見せています。ヒラヒラか?と言えばそんなことはないです。逆に言えば不要な動作が少ないので安定感は非常に高いです。シッティングでするする走って楽しめます。
巡航及び剛性感覚ですが、ニュートラルな感覚。必要な部分には46Tのカーボンを採用しているので必要最小限度の剛性・トルク感があり、一生懸命走る際にもファンライドレベルで十二分に楽しめるスペックです。
そして、剛性自体が高くないおかげでかっこいいディープリムやハイエンドホイールをぶち込んでもそこまでレーシーにならないので、ルックス重視と性能を両立することができるのがメリットでしょうか。私は結構この考え方が好きなのです。使いこなせないハイエンドよりは使いこなせてかっこいいミドルグレード、好きですね。200万円パッケージレベルの完成車が欲しい問いお気持ちももちろんありますが(笑)
全体通して、個人的には意外と好みなフィールです。
初心者の方を中心に、ロングライドにおいて序盤に頑張りすぎて後半地獄を見ます。GTRのような適度な剛性に、そこそこエンデュランスなポジション。φ27.2mmシートポストや1-1/8コラムなどまさにオーソドックスなパーツ規格です。個人的にはプレスフィットを”メンテナンス”及び”耐久性”の観点であまり信用していないのですが、それでもシマノBB86規格と堅実な構成です。
まとめ
改めて、非常人貴重な機会でした。フィランテもゼロも非常に気になっていたモデルたちなので最高でした。
ウィリエールと言えば、来季はマーク・カヴェンディッシュ選手のアスタナへの移籍がほぼ確的してますよね。チームバイクでトレーニングしている姿が撮られていますし、ニーバリ引退後の新たな柱としてベテランの加入はチームも望むところでしょう。
これからもいちウィリエールーオーナーとして、今後も注目していきたいです。
おまけ
さて、最後にウィリエールのカーボンフレームの秘密に迫っていきましょう。『HUS-MODカーボン+L.C.P(アドバンスドVaBM-EPSプロセス製法)』とは何なのでしょうか?
HUS-MODカーボン、L.C.P.、アドバンスドVaBM-EPSプロセス製法にわけてご紹介します。
3メーカーの最高級素材をブレンド
多くのカーボン素材は東レなど単一メーカーのものを使用してレジンを利用しつつ圧着しています。
今回ウィリエールが新開発した『HUS-MODカーボン』は当初企業秘密とされていましたが、シクロワイヤー様の記事によれば以下の通りです。
カーボンの詳細については企業秘密として語られなかったが、後にインタビューを行ったところ、HUS-MODは三菱レイヨン(65Tダイアリードカーボン)や東レを中心に日本企業3社の超高品質カーボンをブレンドしたものという。可能な限りレジンの含有量を抑え、かつ各方向への剛性を高める繊維メッシュを組み合わせることで軽量化と大幅な剛性強化を両立したことがポイントだ。
そして、続けてこのようにも記載しています。
開発者のインタビュー中で強調されたのは、企業向けの市販素材を使いつつ、各素材を効果的に組み合わせ110%の性能を発揮させるウィリエール独自のノウハウと、液晶ポリマーのような特殊素材を意欲的に採用する柔軟な姿勢。「同じ素材を使おうとも技術レベルの差で性能を引き出すことも、あるいは殺すこともできるのだから」と開発者の一人は胸を張る。
詰まるところ、「最高峰の素材を上手に使い切れる俺たちウィリエールすげえだろ」ってことです。
研究者ではないので、これ以上詳しい説明はできませんが、通常とは異なる素材割合で開発していることが伝わるといいかなと思います。
アドバンスドVaBM-EPSプロセス製法
こちらは調べてみたのですが、詳しい製造方法が出なかったので断念。
想像してみるに、元々のEPSプロセス製法よりも熱による圧着方法が更新され、レジンを少なく、より精度の高いフレーム製造ができるようになったのは間違いありません。見た目からもその美しさがみて取れます。
解説すると言いながら情報量が少なくてすいません。。。当初は調べれば出るとおm持っていたのですが、見つかりませんでした。海外サイトサーフィンすれば出るかもしれません。