youtubeにて、非常におもしろい動画がありました。
2013年時U12地域別ナショナルトレセンに選ばれた選手のうち、2024年に時点で何人プロになったかということです。
計算上、この世代の選手で大卒選手ならば今年4月にプロになっているはずなので、Jユースから、高校から、大学からのどのルートにせよ、ほぼプロになった選手は出揃ったことになります。
計算したところ(多少の計算ミスはお許しください)、U12地域別ナショナルトレセン総数444人中48人がプロになっていました。
ある程度予想できたとはいえ、それでも実際に数字を見るとびっくりする部分もあります。
なんと、U12地域別ナショナルトレセンに選ばれたなかの、10.8%しかプロに入っていないのです。ナショナルトレセンに選ばれたうち、10人に1人しかプロになっていません。
さらに、J1入りしたのは、23人です。5.2%で、ナショナルトレセンに選ばれた20人に1人です。
気になったので、2013年時点でU12だった選手たちが、どのくらいプロになったのか調べてみました。
Jユースや高校からプロになった選手は、2020年にプロになっているはずです。
高校からは27人、Jユースからは62人プロ入りしています。
さらに大卒ならば2024年にプロになっているはずで、120人がプロになっています。
2013年U12世代は、計算上は209人プロ入りしています。
ただ、そういったデータを見てみると、U12ナショナルトレセン経験者は、プロになった全体のうち22.9%を占めるので、それなりには多いとは思います。プロになった選手のうち、4人に1人くらいがU12ナショナルトレセンの経験者です。
さらに特筆すべきは、2024年は、大学からのプロ入りがめちゃくちゃ多いことです。
120人もいます。
2024年は高校からは17人、Jユースからは41人ということを考えると、その数の多さは際立っていると思います。
私はこれを見てまず、U12ナショナルトレセン経験者でJ1入りした23人は、誰が見てもプロに行く素材だったのではないかと思いました。灘高校のなかで東大医学部合格確実と言われるような人たちみたいな層が、サッカー界でも毎年20人くらいいるのでしょう。
ただそれ以外の選手たちは、中学生以降、どんどん逆転が起こっているのだと思います。
U12ナショナルトレセンは総数で444人選ばれています。
1都道府県から平均すれば9.4人も選ばれています。
数字だけで考えれば、各都道府県トレセンに20人ほど選ばれるとして、その中でレギュラーを取れれば(都道府県トレセンで対抗戦みたいのがあるとすれば、ですが)、ナショナルトレセンに1回は呼ばれる、といったくらいではないでしょうか。
ただ、そう考えると、実はプロ入りしている層というのは、非常にバラエティがあるのではないかと思えてきます。
単純に数字だけで考えてみます。
都道府県トレセンのレギュラークラスの選手がナショナルトレセンに1回は呼ばれるとして、その中からはだいたい10人に1人しかプロになっていない計算です。
つまりU12の都道府県トレセンのレギュラークラスのうち、その各都道府県で平均1人しかプロになっていないことになります。
そして、U12ナショナルトレセン経験者のうち、プロ入りした全体の選手に対して占める割合は22.9%、つまり4人に1人弱ですので、プロになったのは、都道府県トレセンレギュラークラス以外から、実に77.1%、つまり4人に3人以上がプロになっています。
これはけっこうすごいことだと思います。
その都道府県で「この子はこの県で一番うまい」とか評価されている子が複数いると思います。
ですが実は、プロ入りするのは、そういう子以外が、4人に3人以上を占めるのです。
ただ、都道府県トレセン以外というと、膨大な数のサッカー少年がいますので、割合としては低いでしょうが、事実としては、そういった普通のレベルから、プロが出てくるということです。
都道府県トレセンに引っかからないくらいのところから、けっこうプロが輩出されているのではないかと思います。
中学以降、力関係が一気に逆転するというのは、ジュニアユース年代以上のサッカーに詳しい方はよくご存じではないでしょうか。
そう考えると、私のようなジュニアサッカーの指導者は、なにをやらなくてはいけないのか、見えてくる気がします。
中学以降に伸びる種をできるだけ肥沃に撒いておく、ということでしょうか。
それは技術と、なにより「サッカーを大好きだという気持ち」だと思います。
ちなみに、プロになるのは東京大学に入るのより難しいとよく聞きますが、本当でしょうか。
どうでもいい話ですが、おもしろそうなのでちょっと調べてみました。
たとえば↓によりますと、2013年のジュニアサッカー人口は30万人超です。
ざっくり一学年は30万÷6=5万人です。
2013年U12世代でプロになったのは計算上は209人ですので、209÷5万=0.4%ほどがプロになったことになります。
だいたい200人に1人くらいです。
では、2013年U12世代の年齢別人口はどのくらいかというと、65万人くらいだと思います。
もっと厳密に調べれば、詳しいデータはあるはずですが、その根気がありませんし概数でいいと思います。
対して東大合格者は毎年3000人ほどです。
偏差値が高い人は、偏差値が高い大学を目指すのは普通です。それは良いことではないかもしれませんが、別に悪いことでもないでしょう。サッカーがうまければ、J下部組織を目指すのと同じようなものです。
そして子どもは基本的に朝から夕方まで学校で勉強していますので、そこで高い実力をつければ東大を目指すのも不自然ではないでしょう。
なのでその年齢の子どもたち全部を母数にすることは間違っていないと思います。
プロになった子の割合を、その年代全体のサッカー少年と比べているのと同じことです。
ということで、計算としては3000÷65万人=0.4%ほどが、東大に入れることになります。
私はあまりに不思議な偶然の一致にびっくりしました。
なんと、サッカーでプロになる割合と、東大に入る割合は同じなのです。
そしてけっこう納得できました。
高校受験を一生懸命やって偏差値60くらいだったら、まず東大には合格できないと思います。
10年間、毎日10時間勉強しても無理だと思います。
実はサッカーでも同じではないかと思っています。
私からすれば「努力すれば夢がかなう」というのは幻想です。
幻想だし、けっこう罪深い幻想だと思います(笑)。
人は不可能な努力を強いられることほど、苦しいことはないのです。
努力だけでは東大に絶対に入れないし、まったく同じように、努力だけでは絶対にプロにはなれないと思っています。
しかもサッカーの場合、J3までも合わせた、プロ入りの人数です。
J1入りなんていうのはもはや、東大医学部レベルに近いと思います。
ただ、私はだからこそ、サッカーは楽しめるのだと思います。
別にプロを目指す必要はないのだと思います。
サッカーそのものを楽しんでいるうちに、特別な才能は勝手に発芽してくるのだと思います。
それはその選手の才能やパーソナリティに依存しているのであって、なかなか指導によって変えるのは私は難しいと思います。
ただ、その才能やパーソナリティをちょっとでもよくできる(かもしれない)のが私は小学年代だと思っています。
たとえば開成高校での東大合格者は、中学受験して開成に入ってきた子の方が、高校受験で入ってきた子よりも多いと聞きます。
小学校の、あまりに簡単すぎる算数などを延々とやっているときに、中学受験組はめちゃくちゃ思考力が必要な問題を解いています。
そのことに対する是非はあれど、彼ら彼女らが、小学時代に飛躍的に思考力を伸ばしたのは事実だと私は思っています。
そして私は中学受験組が勉強でやっていることをサッカーでやろうとしたら、それは「技術」だと思うのです。