人の持って生まれた運。 | 徒然に。

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思ったことを気ままに。

 以前、低学年に私が見た中では最も才能があると思われる「怪物R君」が入団したことを書きました。

 順調に伸び続け、試合では無双状態になっています。コーチバカかもしれませんが(笑)。

 ただ、相手のチームの保護者やコーチからも「あの子すごいな!」と声が上がるので、実際にすごいのでしょう。

 基本的にはうちは勝てないチームですが、R君の代に、最近A君がやってきました。

 ゲームをやらせると私は驚愕しました。

 身体能力が異常なほど高いのです。

 まだサッカー自体が初めてということもありますが、A君がディフェンスにいくと相手の子がケガをするんじゃないかと心配になるくらいに、すばしっこく激しく相手に当たれるのです。

 ある場面でA君がタックルしました。

 サッカー初心者がタックルできることにも驚いたのですが、素晴らしいタックルなのです。

 もちろんボールにいったタックルだったのですが、そのタックルで相手は吹っ飛んで泣いてしまいました。

 私は小学生低学年でそんなタックルをできる子は見たことないです。

 私は過去延べで30人弱を少年団から卒業させて、最も高いレベルにいったのは、関東大学リーグキャプテンW君と、同じく関東大学リーグ副キャプテンのS君です。プロの一歩手前までいきました。

 ただ、私の目からは、そんなW君やS君の少年時代より、R君やA君の方が才能があるように見えます。

 私はなにか人の運というものを思いました。

 R君がダントツでやっていたら、A君がやってきました。

 そしてR君に引っ張られるように、周りのメンバーもどんどんうまくなってきています。

 R君がA君を引き寄せたのではないかと思ったのです。

 というのは、A君は初日にかかわらず、もうR君のドリブルに対峙しています。

 R君も「こいつ、つえー!」とかいいながら、真剣に対峙しています。

 小学低学年にしてすでに、R君がボールを持ってA君に向かって静止して、仕掛けのタイミングを伺うという、1対1がうまくなると生じる間合いがすでにあるのです。

 私はこれを見たときは鳥肌が立ちました。

 あとはコーチではなくて、もう観客の気分です(笑)。

 

 そして、これはコーチとしての私の運かもしれません。

 W君やS君が、基本的には弱小チームのうちにいて、卒団までキャプテンとして頑張ったのは、ある意味私の運でもあると思ったのです。

 私はそういった巡りあわせというのはあると考えているのです。

 ただ、神様はめぐり合わせてくれることまではやってくれると思いますが、あとは自分次第だと思います。

 神様はチャンスはくれますが、チャンスをつかめるかどうかは自分次第です。

 それはどの世界でも同じでしょう。

 不思議なことに人というのは、あるレベルに見合ったアイデアが湧いてきます。

 サッカーが苦手な子を相手にしているときは「どうやってサッカーを楽しませようか」というアイデアが湧いてきます。

 なので、サッカーが苦手な子のときには、特に練習を「鬼ごっこ」と「ボールあて」に時間を割いています。

 「ボールあて」とは、あるコートの外から中の人にキックでボールを当てるというものです。もちろん浮き球は禁止です。

 サッカーに夢中になれない子は、こういった練習の方が断然盛り上がります。私はそれでいいと思っているのです。

 サッカーが楽しくなってきたら、自然とサッカーに夢中になるでしょう。

 ただ、R君とA君みたいな子がいると、まったく違ったアイデアが湧いてきます。

 どうやってこの子たちを、とことんうまくしてやろうかという考えです。

 そこで、低学年ですが私は思い切って練習の舵を切ることにしました。

 というのはR君とA君以外の子も、非常に一生懸命な子たちなのです。その子たち相手に、あまりに遊び的な練習をやるのもどうかなと思ったのです。

 結局サッカーにハマりだすと、たとえば鬼ごっこの時間が多いと「コーチつまらない、早くサッカーやろうよ」と言ってくるのです。

 そしてこれはコーチとしての私の挑戦だと思っています。

 過去はW君の代もS君の代も、成功裡に終われたと思っています。

 ですが今回もうまくいくかはわかりません。

 サッカーは日進月歩で進歩していますし、子どもの気質も変わってきています。

 ただ、どういう結末になるにせよ、今回R君とA君とその仲間たちには、遊び的な要素ではなくて、とことんサッカーがうまくなる方向で指導したいと思っています。

 

 そんななか、最近の3年生以下の指導を書いてみたいと思います。

 私は、サッカーや医学ネタをブログで書くときは、できるだけ具体的に書くことを心がけています。

 なぜなら、ブログというのはオープンリソースの場であり、どんどん自分の考えを忌憚なく発表すればいいと思っているからです。

 基本的には私は、人にどう読まれるということは気にしていません。気にしていたら、ここまで好き勝手に長文で書けないでしょう(笑)。書きたいから書いているのです。

 考えていることは、私の発信する情報が、誰かの琴線に触れて、誰かが実行してそれでうまくいったら、それは純粋にうれしいということです。さらに反面教師でも、全然うれしいのです。

 人はそうやって議論を戦わせることが、生きる本質の気もするからです。

 

 話を戻します。

 たとえば本日土曜日は3年生以下は2時間の練習でした。

 

 リフティング。

 1バウンドで100回、それをできたらノーバウンドで、毎回最高記録を出そう!と指導しています。

 リフティングのコツは、最初は不格好でも構わないので、とにかく足の甲にボールを当てる感覚をつかむことです。

 その後だんだん足を下げていき、そのうち軽くバック回転をかけながらできるようになってきます。

 ただ、低学年はとにかく足の甲にボールを当てる感覚だけでいいと思います。

 

 鬼ごっこ。

 私はひたすら手つなぎ鬼をやっています。

 鬼が手をつないでタッチし、4人になったら2人2人に分裂していく鬼ごっこです。

 

 ボールあて。

 先ほど書いた通りです。

 

 ボールタッチ。

 これは、どのチームでもやっているようなことから始めて、私は興国高校のトレーニングを参考にしています。

 

 

 それと絶対的に大事にしていて、毎回やっている練習が2つあります。

 

 1つ目が「利き足のアウトサイドで真っすぐ進むドリブル」です。

 背筋を伸ばして、アウトサイドで毎回ボールを触って真っすぐに進みます。

 これはハムストリングスを鍛えられると思います。

 2つ目が「マシューズフェイント」です。

 私はフェイントの究極はこれだと思っています。

 

 

 最も抜けるフェイントなのと同時に、自分の利き足側にボールを置けるのです。

 このフェイントの後は、すぐにボールを蹴れます。

 

 次にコーンドリブルです。

 これはとにかく利き足で持たせることを徹底させています。

 けっこう利き足論争はありましたが、私はどちらもいいところを取り入れればいいのだと思うのです。

 両足でボールコーディネーションをやりつつ、利き足でコーンドリブルという感じで私はやっています。

 

 その後は対面パスです。

 とにかくピタッと止めることを意識させます。

 コツはボールの上の方を止めることです。止まっていなかったら、その都度「止まってないぞ!」と言います。

 

 最後はゲーム。

 低学年のうちの設定はただ1つです。

 「シュートするときに、全員が敵陣に入っていなかったらノーゴール」。

 これだけで、それなりにゲームに参加する意識がつくようになってきます。

 

 私としては、風間八宏さん、内野監督(元興国高校)、尊敬するM監督(普通の町クラブからユース日本代表を2人輩出)、運動学者の高岡英夫先生、私の出身チームである三菱養和巣鴨の練習や理念、そして自身の経験の複合で指導しています。

 あまり私自身の経験や思いは関係ありません。といいますか、自身の経験を客観視したいと思っているのです。

 たとえば小学時代にK君と3年間1対1をやって、私は養和巣鴨、K君は浦和レッズジュニアユースに合格しました。

 お互いの小学チームが弱小だったのにそういう結果を出せたということで、ある意味客観的なデータとして蓄積しています。

 つまり「1対1をやれば、一気にサッカーが伸びる事例がある」ということです。

 私とK君だけの事例では弱いですが、三苫薫や伊藤純也も1対1の重要性を言っています。

 こうやってデータをためていきます。

 

 今考えていることは、上記したような練習に加えて、もうちょっと高学年になって「止める蹴る」がしっかりしたとき「外す」技術ができれば、あとはそれを繰り返すだけかなと思います。

 私はそこまで、今の子を指導したいと思っています。

 もちろん今の子が移籍するかもしれません。

 そのときは私の運ということで、潔く諦めたいと思います。

 ですが、私は日々一生懸命指導していけば、きっと素晴らしい何かになると信じています。