中国人。 | 徒然に。

徒然に。

思ったことを気ままに。

 今までの環境の中で、最も精神的に自由だったときは、意外にも中国の北京生活6年間でした。

 一緒に北京大学医学部に入学する学友とともに、初めての中国行きの飛行機の中で「中国生活は監視とかやばいんだろうな」と話していたのを思い出します。

 ですが中国での生活が始まってすぐに、その学友は「俺はマスコミに騙されていた!」と言いました(笑)。

 とにかく中国には日本的な同調圧力がありません。

 本当に気楽なのです。

 日本では、恥ずかしくて飲食店に一人で入れないという人もいます。

 ですが中国ではそんなこと誰も気にしていません。

 私の行きつけだった麻辣湯屋で、よく、ある妙齢の中国人女性と居合わせました。

 その方はいつも携帯でなにかの番組を見ながら、麻辣湯を食べています。そして、ときおりその美しい女性からは想像もつかないような「ガハハハハ!」という馬鹿笑いが店内に響き渡るのです(笑)。

 誰ももちろん気にしていません。

 店員は注意するどころか、店員も携帯でゲームに熱中しているのでした(笑)。

 

 もちろん中国にも悪いところはあるのでしょうけど、中国について日本で報道されているようなことは、現実とはずいぶん乖離していると思います。

 まず、私は北京生活6年間のなかで「反日の中国人」に会ったことはないです。

 むしろタクシーに乗って私が日本人だとわかると「日本はすごいな、中国も日本のようにならなきゃいけない」と言われたりしました。

 

 さらに子どもを可愛がることにかけては、中国人は世界一なんじゃないかなと思います。

 ただ、中国の血を引く友人は、特に母親の愛情が強烈すぎてきついと言っていますが、、、それでも中国人の家族関係は濃すぎるくらい濃いのです。

 

 そういった反面、社会的には理不尽なことが起こるのも中国です。

 北京大学医学部の予科過程コースの頃のことです。

 化学の試験があり、ほとんど寝ずに猛勉強して教室に入りました。

 すると教室の黒板には「事情により今日の試験は延期!」とあります。なんだそりゃ(笑)。ただ、こういうことが普通に起こるのが中国です。

 そういったことに慣れているので、中国人が社会的なことに文句を言うことはほとんどないです。

 あるとき日本人留学生が、怒っていました。確か「俺はもう帰国の飛行機を予約した。それなのになんで大学側は急にスケジュールを変えたんだ、飛行機に乗れないじゃないか」みたいなことでした。

 すると中国人の学友が言いました。「それが社会だよ」

 良し悪しはわかりませんが、そのときに妙に中国人が大人に見えました。

 理不尽なことが起こることは織り込み済みで彼らは生きているんだなと思ったのです。

 

 気に入った人に対する情が濃すぎるのも中国人の特徴です。

 中国人同級生で成績1位だったR君、日本人留学生のY君の家庭教師を、Y君の中国人母に頼まれていました。

 もちろんお金をもらっているかと思いきや、R君はお金をもらっていなかったようです。

 Y君の母には「同級生を教えるのにお金をもらうのはおかしいと思います」と言ったのです。

 それでもR君は自分から誘ってY君をスパルタ式に鍛えていたのでした(笑)。

 さらに私の行きつけの麻辣湯屋の娘さんで、時間があるときに働いていた中学生の女の子Aさんがいました。

 私はなぜかAさんに気に入られていました(笑)。

 Aさんが店番をしているときに、私がたっぷりの麺を入れて茹でてもらおうとします。

 するとAさんは麻辣湯を売る側なのに「そんなに麺を入れたら駄目!身体によくない!減らしなさい!」と怒り、勝手に麺を減らしてしまうのです。なんだそりゃ(笑)。

 引っ越しする最後に店に行って、今日が最後だ、今まで美味しい麻辣湯をありがとうと言うと、Aさんから「私が大人になったら日本にあなたを探しに行くね」という熱烈な言葉をいただきました。そんな熱烈なセリフを言われたのはもちろん初めてです。さすが中国人は情が濃いと思いました。

 きっとAさんは大人になったらしっかり者の典型的な中国人ママになるでしょう(笑)。

 

 中国人の教養ある人は、断トツにすごいというのも特徴だと思います。

 これは日本とは比較にならないほど、中国が詰め込み教育だということにも起因すると思います。

 北京大学の中国人同級生はとにかくすごかったです。

 中国人同級生は、ひたすら勉強してます。

 試験翌日に、教室に忘れ物をしたので取りに行ったら、複数の中国人学生が自習をしているのを見たときには、びっくり仰天しました。しかも楽しそうに勉強しています。

 中国人の大卒で、英語を喋れない人はいません。

 さらに大学で習う第二外国語も、しっかりと会話できるレベルまでにみんななっています。

 大学でも猛勉強しているからです。

 あるとき、私と私の日本人同級生、そしてその彼女の中国人女性3人でルームシェアしていたときがありました。

 その中国人女性は大学で日本語を専攻したとのことでした。

 そして驚くべきことに、私と話すときは基本的に日本語なのでした。

 私が中国語を話せという感じですが(笑)私の中国語よりも彼女の日本語の方が上手なのです。中国に住んでいる私の中国語よりも、第二外国語として習っただけの中国人女性の日本語のほうが上手なのです。かるく絶望感を味わいながら、中国の教育はすごいなと思ったのでした。

 日本では詰め込み教育が否定される風潮にあります。

 そして私が中国で目にしたのは、中国式のコテコテの詰め込み教育でした。

 そしてその結果といえば、中国人の学力レベルは驚くべき水準に達しています。

 Top10%(1%)補正論文とは、論文の被引用数が各分野の 上位10%(1%)に入る論文の抽出後、実数で論文数の 1/10(1/100)となるように補正を加えた論文数を指します。

 簡単に書けば、世界最先端の研究がどれだけ行われているかということです。

 

国・地域別の注目度高い論文数順位(2019~21年、左はトップ10%論文、右はトップ1%論文)(科学技術・学術政策研究所提供) 

 

 たぶん今でも漠然と「日本はアメリカに次ぐ科学レベルが高い国だ」という印象を持つ人は多いと思います。

 ですので↑表を見たとき、驚く人も多いと思います。

 単純に書けば、最先端の研究において、日本は中国の10分の1の規模もありません。

 さらに人口が半分ほどの韓国にも抜かれています。韓国も詰め込み教育の国です。

 そしてアメリカすら、中国に引き離されつつあります。

 そんなのはどうでもいいという意見もあるかもしれません。

 しかしなぜ、日本は豊かな国になれた(過去形かもしれませんが)のでしょうか。

 科学技術が高かったからです。

 良し悪しはともかく、日本は元請けだったので、給料は良かったのです。

 ですが今では逆転現象が起こりつつあります。元請けは中国になりつつあり、日本は下請けになりつつあります。

 当然給料は下がります。

 国全体の教育レベルは、国民の生活レベルに反映されるのです。

 

 中国人は金にがめついという意見がよくありますが、それは現代日本人が言えるセリフではないでしょう(笑)。

 そして中国人は金を大事にするのと同時に、正義感がある人は多いです。

 たとえば先ほどのR君。

 日本人留学生が中国語の問題で教授に怒られました。するとR君は「先生、言葉の問題でそこまで怒るのは私は違うと思います。私達が同じ立場で日本でやったら、やっぱりうまくできないと思います。」と言って、日本人をかばいました。

 そういう話はたくさんあります。私も何度も中国人学生に助けられました。

 さらに、そういうときに中国人は物怖じしません。

 日本人は西洋人を偉いと思っていますが、中国人はまったくそういうのはありません。

 たとえば国連でも、中国人はイスラエル人に対して、堂々と道理を説いています。

 

 

 良し悪しではなくて、中国人は日本人とはまったく違います。

 私はある意味「異世界」で6年間生活できて、得難い経験をできたと思っています。