「今日からスタメンだ」
「は?」
頭からそのまま出てしまったような、我ながら間抜けな声だった。
怪我で休んでいる間に何かあったのだろうか?
いや、何もなかったはずだ。
あったとしたら、2日間だけ打撃采配が待球になった事だ。
それが関係あるのだろうか…そんなことは無いだろう。
自分の打撃能力はそれほど高くない。
ましてミート力はチームのレギュラークラスでは最低だ。
小西凌也(20220118)
以前に自分ら3年生捕手3人がレギュラーが比べられたことがあった。
この時、自分の成績はそんなに悪くないと思ったのだが、残念ながらその時はレギュラーに選ばれることは無かった。
それが今になってどういう風の吹き回しなのだろう。
もしかして、川村のおばちゃんが監督に進言したのか?
いやいや、それもない。
そんなんで心を動かされるような監督やない。
やっぱり、守備重視に方針を変更したのだろうか。
確かにショートは守備に優れた2年生の阿部健太がレギュラーになっている。
うーん、でも捕手の守備機会って少ないって言うしなあ。
あ~あ、考えてもよう分からん。
とにかく与えられたチャンスだから頑張ろう。
そして、最後のチャンスでレギュラーを勝ち取ろう。
小西は鏡の前に立ち、自分自身の目を見ながら誓った。