Mirandaという恐らく100年以上前に製作されたオートハープを、レストアしました。

 

(before)

 

(after)

 

ミランダは、3年ほど前に同じくレストアした「Erato(エラート)」というオートハープと、ほぼ同じ特別な機能を有しています。

希少激レア・オートハープ「エラート」をレストア

 

それは、コード選択機能が付いており、12の各キーでメジャー、セブンス、マイナーの3種類(合計36種類)のコードが使えることです(ただし同時に使用できるのは12コード)。

通常のオートハープは15~21コード(東海楽器の「キャロラー」は27コード)が基本ですので、演奏できないキーがありますが、エラート及びミランダでは、すべてのキーで演奏できることになります。

 

エラートとミランダの違いは、エラートではコードボタンが切替スイッチと一体になっているのに対し、ミランダの方はコードボタンと切替スイッチが別になっている点です。

 

(エラート)

 

(ミランダ)

 

 

どちらも長所と短所があります。

エラートコードボタンと切替スイッチが一体になっているため演奏中にコードの切替が可能です。

しかし、その分演奏中にボタンを(うっかり)切替えてしまう可能性があり、ボタンを注意して押さえないといけません。

ミランダの方は、コードボタン上部にあるスイッチ(レバー)であらかじめセッティングしてから演奏するので演奏中にコードが切り替わってしまう心配はありません

しかし、演奏中に切替が必要なコード進行の曲では、(よほどスローな曲でない限り)切替えて演奏することは難しいです。

 

本体の大きさに関しては、ミランダが、長さ590mm×幅360mm×胴厚37mm、足台からボタンまでの高さ110mmほどで、エラートより僅かに小さいですが、それでも普通のオートハープと比べると、一回り大きく(弦の本数は1本多い、37弦)、音量も大きいです。

 

(アリアのコードハープとの比較)

 

さて、レストアの内容は、

①37本の弦を、全て新品に交換・・・通常のオートハープより弦長が4~5cm長いので、適切な太さの弦に交換するのに苦労しました。
②ミュートバーのフェルトを5箇所交換、ミュートバー破損部パテ補修・・・機能上、バーの取り外しが普通のオートハープより面倒です。
③表板の割れ補修、裏板の再塗装、ゴム足台4個交換
④裏板・ブリッジ部の剥がれ(隙間)接着・・・ブリッジ(木部)の左端のみ歪みが大きく、完全に接着はできませんでした(演奏上問題なし)。
⑤金属部(チューニングピン、ナット、サドル、ボタン部ネジ)を一旦取り外し、サビ落とし
⑥チューニングピン緩みのため、4箇所パテ埋め&穴の開け直し
⑦その他分解清掃・調整
 

 

それでは最後に、レストアしたミランダでの演奏お聴きください。2曲とも賛美歌ですが、弾き語りとソロ演奏をしてみました。

 

「一羽の雀に(現代語訳)」弾き語り(キー=B♭、使用コード=B♭、B♭7、E♭、F7、Gm)

 

「Softly and Tenderly」ソロ(キー=E♭、使用コードE♭、A♭、B♭、B♭7、F7)

 

一応抱えても弾くこともできますが、テール部(弦を引っ掛ける部分)にカバーがないことと、ショルダーストラップを付けるピンがないので、基本、卓上用と考えてください。