東海楽器は、2008年以降オートハープの製作はやめてしまいましたが、かつては「クロマハープ(ChromAharP…大文字小文字がこのように表記されている)」と言う名称で何種類かのモデルを積極的に作っていました。
アメリカではRBI(=Rhythm Band, Inc、リズムバンド株式会社)が取り扱っていて、国内よりも広く普及していたようです。
 
私が調べたところ、クロマハープには9種類あります。
①12コード・クロマハープ(36弦)
②15コード・クロマハープ(36弦)・・・12コードにD、E♭、F7を追加
③ブルーグラス・クロマハープ(36弦15コード)・・・12コードにE、A、Dを追加
④21コード・クロマハープ(36弦)
 
⑤エレクトリック・クロマⅡ(36弦15コード)・・・ピックアップ内蔵
⑥クロマリン(ChromAlin、24弦15コード)・・・ミュートバーの右側が広く開いた縦長タイプ。オスカー・シュミット社のギタローと同類型
 
⑦ポルタハープ(PortAharP、36弦15コード)・・・ケース一体、卓上型、左右逆
キャロラー(Caroler、43弦27コード)・・・卓上大型、左右逆
 
⑨ミニハープ(19弦5コード)・・・小型
 
今回取り上げる「キャロラー」は、他社にも(多分)ない大型で、コードボタンが27個もあるレア楽器ですが、それを更にカスタムしました。
 
はじめの状態はこんな感じです。
 
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   金属部のサビ・くすみ       ミュート・バーのカバー裏劣化
 
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    汚れ・ほこりの蓄積       フェルトの欠け・剥がれ・劣化
 
まずサビ・汚れは出来るだけ落とし、アルミ製ミュート・バーはピカールで研磨。
ミュート・バーのカバー部はきれいなフェルトを貼り直し、その他テールカバーのビス、一部ビビリのあった弦を新品に交換。
 
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ミュート・バーのフェルトも全部交換したところで、予期せぬ問題発生。
ミュート・バーのユニット全体の位置が(初期状態から)思わしくなく、ベスト状態にするために、2mm移動させる必要がでてきました。そのためにビス穴を一旦埋めて、再度穴あけ。さらに(バーの下のピンが沈みこむ)溝を削って広げました。
 
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これから先は、オリジナルカスタム
キャロラーは珍しく、左端がミュート専用バーになっていて、これを押さえれば全部の弦をすぐさま同時に消音できます。しかし、わざわざこの専用バーを設ける必要もないと思うので、このバーを通常のコード用に変えました。
何のコードでも良いのですが、位置と用途を考えてG♭(F#)コードにしました。これで、メジャーコードはBを除き11のキーが揃います
 
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ボタンは元が黄色でしたので、他のメジャーコードに合わせて赤く塗りました。
 
さらに最終段階で気づいたことがありました。これはアリアやオスカー・シュミットのオートハープでもそうだったのですが、(ノーマル状態では)ルート音より低いコード構成音はミュートされるようになっていることです。
 
ベース音にこだわったのでしょうが、個人的には、せっかく鳴らせる弦があるのにミュートしてしまうのはもったいないと思います。
ミュートしてしまうと、ミュートした弦をギコギコ鳴らすこと(ノイズ)になりますし、メロディーを出すソロ演奏の時には明らかに不利益です。
 
それで、コードの構成音は全て鳴るように、フェルトをカットしました(フェルトの厚みがあまりないので、一部弦がビビる可能性のあるところは、アルミ・バー自体を削っています)。
 
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右側3音分、ミュートされないように加工。
 
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完成品を、アリアのオートハープ(商品名コードハープ)と並べてみました。
 
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コードボタン部のアップ画像です。
 
 
昭和ヒット曲、杉田かおる「鳥の詩」を弾き語ってみました。イントロ部だけメロディーが出るように演奏しています。
 
販売は福音ファクトリーのHPで