1900年前後に製作された(モデルによって幅有り)Muller社の“激レア”オートハープ「Erato(エラート)」を入手し、レストアしました。
 
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パッと見それほど変わっていないように見えますが、レストア内容は、
①37本の弦を、全て新品に交換
②コードボタン内部の座金を、全て新品に交換
③ミュート部フェルトを一部交換
④裏板の補修・再塗装、ゴム足台の交換
⑤チューニングピン、ナット、サドル、スプリングを一旦取り外し、サビ落とし
⑥文字・模様の復元(ゴールド部)
⑦その他清掃・調整
 
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言葉で書くだけですと、大したことなさそうですが、「補修マニュアル」など存在しませんから、部品の調達、調整も試行錯誤しながら、かなりの時間がかかっています(^_^;)。
 
そもそも「ちゃんと演奏できるように回復できるのか?」さえ、分かりませんでしたので、気苦労も多かったです。
 
特に弦の交換は苦労しました。当然専用弦などもう売っていません。一般のオートハープの弦とギター用のバラ弦をたくさん入手し、音程に合う太さの弦をチョイスしなければなりませんでした(計算上と実際はなぜか合わないものです…)。
巻弦は太いものはチューニングピンの穴に入りませんから、巻いてある部分を剥がすのですが、剥がしすぎると芯の部分と完全に分離してしまって、使い物にならなくなってしまいます。
 
文字・模様の復元はうっすらと残っていた部分を、ゴールドの塗料(ペン)でなぞった程度なので、それほど綺麗に復元できた訳ではありません(あまり手間暇をかけると、販売価格がべらぼうに高くなってしまいますので)。実用と関係ない箇所はこのくらいで、勘弁していただきたいです。
 
 
さて、この「エラート」はただ古くて珍しいだけではなく、現代のオートハープにはない「利点」があります
 
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一番には、“切替式”のコードボタンです。現在販売されているスタンダードなオートハープは、使用できるコードの数が21種類ですが、エラートは36種類使えます。
21コードボタンですと、演奏できないキーが出てきますが、エラートでは12のすべてのキーにおいて、メジャーコード、セブンスコード、マイナーコードが揃ってます。
エラートのみにある(スタンダードにはない)コードはC#、C#7、C#m、E♭7、E♭m、E、Fm、F#、F#7、F#m、A♭7、A♭m、B♭m、B、Bmの15種です。
 
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ちなみに張ってある弦は、エラートが37弦でC~Cまで半音ごとに3オクターブ。
スタンダードの方は36弦で、低音弦にさらに低いF、G音が追加されていますが、その代わりC#、E♭、A♭が抜けていて、変則的です。
 
 
二番目の利点は、コードボタンの右側部が広めに開いているので、両腕をクロスさせないで弾くことができることです。この演奏性の良さは、かなりポイント高いですd('∀'*)。
テーブルに置いて弾く方が弾きやすいですが、もちろん通常のオートハープのように抱えて弾くことも出来ます。大きさがスタンダードより一回り大きいですが、見た目ほど重くはなく、それほど重量差はありません。
 
サウンドに関しては、好みですが、エラートの方がスタンダードよりも大きい分、低音が出ます。作られた音というより、自然な野性的(?)サウンドがします。
 
「百聞は一見(一聴?)に如かず」・・・動画でどうぞ。
 
メロディーを出すソロ演奏(インストゥルメンタル)、キー=C
 
弾き語り(コード伴奏)、キー=F
 
その他写真、販売情報は「福音ファクトリー」のHPで。
(売り切れました。)