大正琴は通常スチール弦を張っていますが、みんなの民族楽器ミンミンで試みたように、こちらもテトロン弦に張り替えられないか?考えてみました。
ところで、大正琴こそ日本人が開発した純・和楽器ですが、スチール弦のゆえに「伝統的な和楽器」からは別枠扱いにされることもあるようです。
また、大正琴のルーツと言われる二弦琴(八雲琴)は2本の絹糸を張っていたそうですから、大正琴も絹糸に近いテトロン弦の方が、日本的には相応しいのかもしれません。
さて、テトロン弦仕様にするにあたっての課題は、以下の3点です。
①調律が合うテトロン弦を見つけられるか?
②テールピース(糸止め)に、上手く弦を引っ掛けられるか?
③フレットで切断されたりしないか?
結論から言うと、今回(たまたま)選んだスズキの「特松」という機種が、とても上手く適合してくれました。
![イメージ 1](https://stat.ameba.jp/user_images/20190610/17/asafu1yoshiya2/31/bb/j/o2816211214457019411.jpg?caw=800)
①弦長から推測して、まず以下のゲージを選択しました。
G4:スチール弦・細弦(3本)を・・・・テトロン弦・大島弦の女弦へ
G3:スチール弦・細巻弦(1本)を・・・テトロン弦・三線1号弦の中弦へ
G2:スチール弦・太巻弦(1本)を・・・テトロン弦・三線1号弦の男弦へ
実際に張ってみて、まず細弦3本は見事にOK。・・・しかし細巻弦の調律が合いません。開放弦の2オクターブ上の鍵盤ボタンを押さえると、大幅にチューニングがずれます。(´ε`;)
ところが!・・・素晴らしいことにスズキのサドル(下駒)は、弦を載せる位置によって、2つの弦長を選択できるのです!v(=^0^=)v
![イメージ 2](https://stat.ameba.jp/user_images/20190610/17/asafu1yoshiya2/4e/7a/j/o2816211214457019445.jpg?caw=800)
![イメージ 3](https://stat.ameba.jp/user_images/20190610/17/asafu1yoshiya2/ef/47/j/o2816211214457019473.jpg?caw=800)
初め黄色い大島弦のすぐ隣に並べた際に合わなかった調律が、一つ手前の溝を選択することで、3ミリ長い弦長になり、許容範囲の音程に合わせることが可能になりました。
![イメージ 4](https://stat.ameba.jp/user_images/20190610/17/asafu1yoshiya2/9c/18/j/o2816211214457019501.jpg?caw=800)
![イメージ 5](https://stat.ameba.jp/user_images/20190610/17/asafu1yoshiya2/2c/09/j/o2816211214457019530.jpg?caw=800)
これがもし他社の大正琴(左上/ナルダン、右上/星明楽器)だったら、ここで頓挫するか、専用サドルを製作しないといけませんでした。
残るは太巻弦ですが、本来はG2に合わせたいところ、4度上のC3に合わせるのが限界でした(それ以上低いとユルユルになってしまう)。
箏か何かのもっと太い弦を探せば、G2まで下げれると思いますが、基本この弦は通常は弾かない共鳴弦ですし、コスト等も考え、今回はこの辺で一応合格ということにしました。
②大正琴に使う専用スチール弦は、端っこが輪っか(ループエンド)になっており、それをテールピースの爪に引っ掛けて止めます。
しかし三線のテトロン弦に輪っかはありません。弦をくるっと結んで輪っかを作るとしても、テールピースの爪は小さい(開きが浅い)ので、巻弦は引っ掛けられないのではないか?と心配でした。
![イメージ 6](https://stat.ameba.jp/user_images/20190610/17/asafu1yoshiya2/26/10/j/o2816211214457019560.jpg?caw=800)
案ずるより産むが易し。太巻弦さえも普通に掛けることができました!
③自分が以前から知っている大正琴のフレットは、板状の金属を打ち込んでいるだけで、角が尖っています(左下/ナルダン、右下/琴伝流)。
![イメージ 7](https://stat.ameba.jp/user_images/20190610/17/asafu1yoshiya2/f3/5d/j/o2816211214457019590.jpg?caw=800)
![イメージ 8](https://stat.ameba.jp/user_images/20190610/17/asafu1yoshiya2/00/1f/j/o2816211214457019620.jpg?caw=800)
この角を丸く削らないと、テトロン弦では切れてしまいます。・・・ところが、スズキ特松は、丸みを帯びたギターと同じフレットバーが打ってあるではありませんか!
![イメージ 9](https://stat.ameba.jp/user_images/20190610/17/asafu1yoshiya2/ca/22/j/o2816211214457019643.jpg?caw=800)
![イメージ 10](https://stat.ameba.jp/user_images/20190610/17/asafu1yoshiya2/0e/15/j/o2816211214457019672.jpg?caw=800)
・・・さすが鈴木楽器だぜ!b(゚∀゚ )
という訳で、無事にテトロン弦仕様が完成しましたよ~。
さて、実はこのスズキ特松には、さらに優れた点があります。
なんと「魂柱」が入っています(いくつか調べた他社製品には、ありませんでした)。
![イメージ 11](https://stat.ameba.jp/user_images/20190610/17/asafu1yoshiya2/19/a1/j/o2816211214457019706.jpg?caw=800)
メーカーサイトを見てみると、「弁慶」というモデルにその説明がありました。
![イメージ 14](https://stat.ameba.jp/user_images/20190610/17/asafu1yoshiya2/af/24/j/o0529022114457019727.jpg?caw=800)
魂柱の効果については、私が以前に書いた「裏板(バック)を振動させた方が、よく鳴る(https://ameblo.jp/asafu1yoshiya2/entry-12477560460.html)」の記事も合わせてお読みください。
また、専用の譜面立てが取り付けられます。
![イメージ 12](https://stat.ameba.jp/user_images/20190610/17/asafu1yoshiya2/7f/24/j/o2816211214457019754.jpg?caw=800)
![イメージ 13](https://stat.ameba.jp/user_images/20190610/17/asafu1yoshiya2/ef/eb/j/o2816211214457019781.jpg?caw=800)
譜面を置く台座部分が、取り付け部の2箇所だけなので、横幅の狭い楽譜は置けませんけどね。(^^;
肝心のテトロン弦のサウンドは、演奏動画を撮ったらまたお知らせしますので、楽しみに待っていてください。