大正琴は通常スチール弦を張っていますが、みんなの民族楽器ミンミンで試みたように、こちらもテトロン弦に張り替えられないか?考えてみました。
 
ところで、大正琴こそ日本人が開発した純・和楽器ですが、スチール弦のゆえに「伝統的な和楽器」からは別枠扱いにされることもあるようです。
また、大正琴のルーツと言われる二弦琴(八雲琴)は2本の絹糸を張っていたそうですから、大正琴も絹糸に近いテトロン弦の方が、日本的には相応しいのかもしれません。
 
さて、テトロン弦仕様にするにあたっての課題は、以下の3点です。
調律が合うテトロン弦を見つけられるか?
テールピース(糸止め)に、上手く弦を引っ掛けられるか?
フレットで切断されたりしないか?
 
結論から言うと、今回(たまたま)選んだスズキの「特松」という機種が、とても上手く適合してくれました。
 
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①弦長から推測して、まず以下のゲージを選択しました。
G4:スチール弦・細弦(3本)を・・・・テトロン弦・大島弦の女弦
G3:スチール弦・細巻弦(1本)を・・・テトロン弦・三線1号弦の中弦
G2:スチール弦・太巻弦(1本)を・・・テトロン弦・三線1号弦の男弦
 
実際に張ってみて、まず細弦3本は見事にOK。・・・しかし細巻弦の調律が合いません。開放弦の2オクターブ上の鍵盤ボタンを押さえると、大幅にチューニングがずれます。(´ε`;)
 
ところが!・・・素晴らしいことにスズキのサドル(下駒)は、弦を載せる位置によって、2つの弦長を選択できるのです!v(=^0^=)v
 
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初め黄色い大島弦のすぐ隣に並べた際に合わなかった調律が、一つ手前の溝を選択することで、3ミリ長い弦長になり、許容範囲の音程に合わせることが可能になりました。
 
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これがもし他社の大正琴(左上/ナルダン、右上/星明楽器)だったら、ここで頓挫するか、専用サドルを製作しないといけませんでした。
 
残るは太巻弦ですが、本来はG2に合わせたいところ、4度上のC3に合わせるのが限界でした(それ以上低いとユルユルになってしまう)。
箏か何かのもっと太い弦を探せば、G2まで下げれると思いますが、基本この弦は通常は弾かない共鳴弦ですし、コスト等も考え、今回はこの辺で一応合格ということにしました。
 
②大正琴に使う専用スチール弦は、端っこが輪っか(ループエンド)になっており、それをテールピースの爪に引っ掛けて止めます。
しかし三線のテトロン弦に輪っかはありません。弦をくるっと結んで輪っかを作るとしても、テールピースの爪は小さい(開きが浅い)ので、巻弦は引っ掛けられないのではないか?と心配でした。
 
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案ずるより産むが易し。太巻弦さえも普通に掛けることができました!
 
③自分が以前から知っている大正琴のフレットは、板状の金属を打ち込んでいるだけで、角が尖っています(左下/ナルダン、右下/琴伝流)。
 
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この角を丸く削らないと、テトロン弦では切れてしまいます。・・・ところが、スズキ特松は、丸みを帯びたギターと同じフレットバーが打ってあるではありませんか!
 
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・・・さすが鈴木楽器だぜ!b(゚∀゚ )
 
という訳で、無事にテトロン弦仕様が完成しましたよ~。
 
さて、実はこのスズキ特松には、さらに優れた点があります。
なんと「魂柱」が入っています(いくつか調べた他社製品には、ありませんでした)。
 
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メーカーサイトを見てみると、「弁慶」というモデルにその説明がありました。
 
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魂柱の効果については、私が以前に書いた「裏板(バック)を振動させた方が、よく鳴るhttps://ameblo.jp/asafu1yoshiya2/entry-12477560460.html)」の記事も合わせてお読みください。
 
また、専用の譜面立てが取り付けられます。
 
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譜面を置く台座部分が、取り付け部の2箇所だけなので、横幅の狭い楽譜は置けませんけどね。(^^;
 
肝心のテトロン弦のサウンドは、演奏動画を撮ったらまたお知らせしますので、楽しみに待っていてください。