58玉鬘 壱参 | 吉備路残照△古代ロマン

吉備路残照△古代ロマン

吉備路自転車道を回って以来すっかり古代吉備国の残り香に取り憑かれました。
歴史と神話が絡み合っているから多くの遺蹟の故事来歴が謎に包まれています。
鬼ノ城・温羅伝説・鳴釜神事等の謎に新しい解釈を加えていけるので楽しみです。

源氏物語名場面58

 

玉鬘 壱参

 

 

おしき

狭い薄板を折り四囲の縁にした角盆

足つきの折敷もある

 

神事や食事に使う

 

🔲

 

日暮れ方

屏風の向こう側に予約客が大勢で

だが

足音を忍ばせてやって来た。

 

見るからに身分の高そうな

女君ふたりに数多男女が従っている。

 

屏風の両側とも

大声を出したり余計な物音を

立てたりないように気を遣っていた。

 

 

豊後介

夕食を《折敷》に載せて運んできた。

 

乳母に、

「お膳を用意できなくて申し訳ないのです

これを姫君に差し上げてください」

 

 

その時

屏風の向こうに聞き覚えの

ある声を聞いて驚いたがいた。

 

屏風越しに

身体を休めている*右近である。

 

*右近 故夕顔の侍女

 

右近

亡き夕顔の遺児である玉鬘を探すために

《十一面観世音菩薩》の御利益に与か

ろう度々長谷寺に参籠していた。

 

 

右近が屏風のすき間からのぞくと、

確かに見たことのあるだ。

 

しかし、誰か、どうしても思い出せない。