56玉鬘 拾壱 | 吉備路残照△古代ロマン

吉備路残照△古代ロマン

吉備路自転車道を回って以来すっかり古代吉備国の残り香に取り憑かれました。
歴史と神話が絡み合っているから多くの遺蹟の故事来歴が謎に包まれています。
鬼ノ城・温羅伝説・鳴釜神事等の謎に新しい解釈を加えていけるので楽しみです。

源氏物語名場面56

 

 

玉鬘 拾壱

 

 

石清水八幡宮/男山八幡宮 

 

「仁和寺にある法師、年寄るまで、

石淸水を拝まざりければ、心うく覚えて、

ある時思ひ立ちて、たゞ一人、徒歩よりまうでけり

― ― ―

何事にも、先達はあらまほしき事なり」

 

吉田兼好『徒然草』

 

 

石清水八幡宮

 

平安時代前期に

八幡宮総本社の【宇佐神宮】

(大分・宇佐市)から勧請された神社。

京都盆地南西の

男山(鳩ヶ峰  標高143m)山上に鎮座。

 

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乳母は長男の豊後介

都に上った所期の目的を思い起こさせた。

 

行方不明だった玉鬘の母*夕顔を探すことと、

玉鬘内大臣に会わせることである。

 ☆

*夕顔

乳母が4歳の玉鬘の手を引いて太宰府へ

下向したときは既に亡くなっていた。

 

 

乳母豊後介

 

「この近くに《石清水八幡宮》があります。

筑紫にいた頃

姫君がよく参詣しておられた

《鏡神社》や《筥崎宮》と同じ系統のお社です。

 

肥前国を離れるときも

姫君は《鏡神社》に願を掛けて祈られました。

お蔭で私たち

神仏の御加護をえて無事に帰京できたのです。

 

さっそく、お礼参りに出かけましょう」

 

翌日、

男山山上の《岩清水八幡宮》に詣でた。

 

 

それから数日後、

 

「【長谷寺】の『十一面観世音菩薩』

霊験新たかなことで名高い仏様です。

姫君には大きな御利益があることでしょう」 

 

乳母の発案で

初瀬の【長谷寺】に詣でることにしたが

初瀬は遠い。

 

ふだん身体を動かすことのない

玉鬘歩き始めるとすぐに息が上がった。

 

乳母豊後介たちに励まされ

美しい顔に汗水を垂らしながら足を運ぶ。