蜻蛉⑤涙 | 吉備路残照△古代ロマン

吉備路残照△古代ロマン

吉備路自転車道を回って以来すっかり古代吉備国の残り香に取り憑かれました。
歴史と神話が絡み合っているから多くの遺蹟の故事来歴が謎に包まれています。
鬼ノ城・温羅伝説・鳴釜神事等の謎に新しい解釈を加えていけるので楽しみです。

源氏物語

 

52帖 蜻蛉

 

薫27  匂宮28 中の君27  浮舟22

 

 

紫式部歌碑 

紫式部歌碑

蘆山寺

和歌の選者は、

蘆山寺が【紫式部邸址】ある

ことを考証した考古学者の角田文衛博士。

ともに

小倉百人一首に採られている紫式部

大弍三位(娘)の作品が刻まれている。

○めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に

    雲隠れにし 夜半の月かな

久しぶりに巡り会えたのに

貴方と見極める前に御姿が見えなくなりました

夜半の月が雲間にさっと隠れてしまうように

紫式部『新古今和歌集』 

 

○有馬山 猪名の笹原 風吹けば

   いでそよ人を 忘れやはする

有馬山に近い猪名の笹原に

風が吹くとそよそよと音を立てるように

貴方のことは決して忘れません

大弐三位『後拾遺集』

 

(過去記事から)

 

 

 

 

薫、

 

「宮も御存じの、先般亡くなられた女君(大君)の腹違いの妹にあたる方(浮舟)のことでございます。

やはり異腹の姉にあたられる方(中の君)の縁でしばらく都でお暮らしでしたが、何か不都合なことがあって都を去ることになりました。

それで宇治にある私の《別荘》に住んでいただくことになりました。

私はほとんど宇治に出向くことはなく、その方も私を頼りにする気持ちはなさそうでした。

可憐で麗しい方でしたが、あっけなく亡くなってしまわれました。

宇治川に入水されたとのことです。

宮には、お聞き及びでございましょうか」

 

ここまで話すと抑えていた悲しみが込み上げたのか、涙がとめどなく薫の頬を伝った。

 

匂宮は初めて見る薫の涙に、何か言おうとして言葉を詰まらせる。

 

 

月が改まった。

 

匂宮は、浮舟が雲隠れした前夜の様子を知るべく宇治へ使いを送った。

 

 

 

 

 

 

 

 名作映画案内234

原題*13 Jours en France

フランスにおける13日

白い恋人たち

1968年フランス公開

監督*クロード・ルルーシュ

『男と女』『パリのめぐり逢い』

*フランソワ・レシャンバック

『アメリカの裏庭』

音楽*フランシス・レイ

1968年フランス・グルノーブル

《第10回冬季オリンピック》

13日間の記録映画。

109分