【和名】イボダカラ(疣宝)
【学名】Cypraea nucleus C. von Linné,1758
【レア度】★★★★☆
【サイズ】9.6~31.9mm
房総半島で拾えるタカラガイの中では小型~中型に位置する種。背面には和名の如く凹凸が無数に見られ、殻色はやや透明感のある黄色味を帯びる。縫合線は目立つ。前後端はともに突出し、特に前端の水管部が凹状にでっぱる点で他のタカラガイとは大きく異なる。
腹面はサメダカラと同様に歯が側面に向かって長く伸びるが、色はサメダカラほど濃くはない。また、サメダカラより歯の隆起が大きいため、見た目は非常にゴツい印象を受ける。外唇歯・内唇歯の数はサンプル数(=今までに拾った個数)が10に満たないので未計測。
殻表の最も外側を覆う艶を持った黄色層は擦れるとすぐに失われる。また、前後端も摩耗によってすぐに削られてしまう。体色は擦れてくると白っぽくなり、さらに進行すると背中のイボも削れて全体的にシワの入ったかのような見た目になり、色は灰色となる。
種小名のnucleusは、英語・ラテン語で"核"の意味。核と聞くと危険なアレを思い浮かべるかもしれないが、そちらは英語でnuclearである。一方でnucleusとは細胞核や果物の種などの"中心にあるもの"をさす。道草ネイチャーウォッチングさんの記事でも触れられているが、イボダカラの種小名は果実の種に似ているからつけられたのかもしれない。
比較的状態の良いイボダカラ達です。とは言っても、真ん中の個体は滑層が無くなっていますし、右の個体は前後端が削られています。南房総・館山含め、関東近郊ではなかなか拾えない事もあってか、クオリティの高いものは非常に稀。左の新鮮な個体(topの写真に使用した個体)は2018年が始まってすぐに拾いに行った時に拾えたお気に入りの一品です(^^)
画像真ん中の個体のようにイボダカラは老成すると殻幅も大きくなり、一段と迫力が増します。
続いては似ている種・・・
と思ったのですが、似ているのはサメダカラくらいです。過去の記事に比較画像があるので、そちらを参考にしていただけると嬉しいです。
また、シボリダカラのdwarf(矮小変異)はイボダカラの色と似て白っぽくなる事がありますが、シボリダカラは下地の色に茶色が入るので、間違える事は少なそうです。
次回以降のタカラガイ紹介は、数回に渡ってメダカラに似ている種を紹介していきます。メダカラに似ている種にはレア物が多いので、本ブログが少しでも同定の助けや知識の足しにでもなったら嬉しいなと思っております(^^)