その時までサヨナラ/山田 悠介
¥1,155
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新聞の下のほうにある広告欄を見て、読んでみた。その広告の「すごく感動しました!」「最後に題名の意味が分かりました!」みたいな読者の感想が気になって・・・。

読んでいると、「この本の人、『リアル鬼ごっこ』を書いた人やん」と中1の長男。中学校の図書室で借りてよんだらしい。「リアル鬼ごっこ」っていう本だか映画だかでタイトルは知ってはいたものの、この人の原作とは知らず・・・。タイトルからして私には苦手っぽそう。。。人が簡単に死んだり殺されたりするのってどうも苦手で。内容を知らないので、まったく違うかもしれないが。

感想は、、、、「う----んガーン
『いま、会いにゆきます』っぽい。
文章が軽い、内容もひとひねりがない。
そして、主人公を最後まで好きになれなかったので感情移入できなかった。
もっと登場人物のひとりひとりに深みがあって、途中や最後のネタばらしに工夫があれば良かったのに。


とんび/角川グループパブリッシング
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前から気になっていた本だったが、ドラマが始まったのをきっかけに読んでみた。
10年ほど前に、重松清著の『ビタミンF』は読んだはずだけど、どんな内容だったか思い出せない。

 ドラマとは時代が10年違う。本書は私が生まれる10年前に旭が生まれる。今ではイクメンが流行っているが、昭和の時代、ヤスさんのように目に見える愛情を子供に注いでいるのは珍しいことだろうなと思う。
ヤスさんは先を見越して子育てできるような人ではない。人間の理不尽さもめいっぱい出しながら旭を育てる。ただただ旭と美佐子さんを愛している。そういうところがいいなと思う。
 
 私事だけど、あまりにもクリーンでキラキラした子育てをしている人を見ると、むずがゆくなる。大人になったら、色んな人間がいるぞ---って、その親の子に言いたくなる。

大きな事件や展開はないが、好きな本だった。
ただ、ドラマの内野聖陽や佐藤健などのイメージで読んでしまったのでおしかったな、先に本を読んでおけばよかったなと思う。せっかくのいい本だったので自分で想像しながら読みたかった。
もちろんドラマがすごくよくて役がはまり役だったからだけど。ホント、いいドラマだったなぁ~。


親鸞 (上)/五木 寛之
¥1,575
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講談社 [単行本] 2010年1月


最近仏壇に手を合わせることが多くなった。実家も嫁ぎ先も、真宗大谷派。住職の友人に宗教などのことを聞くうちに、真宗の開祖・親鸞のことが気になり読んでみた。あくまで小説だろうけど。

上巻はまだ若い親鸞が悩み苦しむ。

五木寛之の本ははじめて読んだが、そんなに難しくないなと感じた。

真実の仏に会おうとすれば、当然、なみの覚悟ではできぬ。狂うところまでつきつめてこそ、真実がつかめるの じゃ。しかし、範宴(はんねん)、ここのところをよくきくがよい。狂うてしもうてはだなのだ。その寸前で引き返す勇気が必要なのじゃ。命をかけるのはよ い。だが、命を捨ててはならぬ。法然房(ほうねんぼう)が説いているのは、愚者にかえれ、ということであろう。狂者になれというておるのではない。そなた はこれまで学んできたことをすべて忘れて、仏とはなにか、と問うておる。その答えは一生かかってさがすしかあるまい。そのことを覚悟できたら、この行を試 みた意味は十分にある。よいか、そなたは見えぬ仏という大きな仏と出会ったのじゃ。そなたの行は成った。ただいま、この音覚がしかと見とどけた。さあ、わ しの腕につかまれ。ここをでるのじゃ」
(P242)


途中の一歩(下)/雫井脩介
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 最近沈んでいた気持ちに温かい飲み物をもらった気分。幸せにしてくれる小説ってすごいな。

覚本や奈留美の育った家庭を見ると、ますます二人を好きになる。



「俺はそういうことを言いたいわけじゃない。最初、あの店に連れていかれたとき、彼女は そういうセレブ志向の、ちょっと俺には付いていけない一面があるんじゃないかって思ったんだ。けど、話してみると、そういうわけじゃない。で、いざ金を払 うってなったとき、彼女は何だか嬉しそうに財布から金を出してるんだよ。いいことにお金を使ったなぁって顔をしてんだ。俺はそういうのは今まで見たことが なかった。何せ金を使っても収穫がないと、強引に奢らせて回収しようとするやつしか近くにいないからな」 (P250)

途中の一歩(上)/雫井脩介
¥価格不明
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 図書館の新刊コーナーに並んでいたので、衝動借りしてみた。『犯人に告ぐ』『クローズド・ノート』の著者の雫井脩介の本だったし。表紙にも引かれて。


サクサクッと読め、しっかり楽しめた。でも文章や人物がしっかりしているからライトノベルではない。


私が男だったら、覚本のような性格かもな。


「俺は何も嫌がらせがしたくて言ってるわけじゃないぞ。あれだけ『おちゃのこ』をヒット させて、成功した漫画家の代表のように見られてる緑川優が、実際には大して幸せでもないような顔をして、日陰の女みたいな生き方に甘んじてるのが俺は嫌な んだ。同じ漫画家としてだな、これだけ多くの人に読まれる作品を描いて、世の中みんなに愛されるキャラを生み出した人間には、もっときらきらとした、幸せ そうな顔をしててほしいんだよ」 (P243)

生きるぼくら/原田マハ
¥1,680
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先日、原田マハの小説を読んで面白かったので、違う本を読んでみた。また全然雰囲気が違う話。

読み終えた後、本当においしいお米が食べたくなった。ご飯ではなくて米を。愛情が込められた米。




 「なんだか、無性にありがたい気分になるんだよ。ほかの野菜の収穫のときでも、もちろんそうなんだけど・・・・・・やっぱり、お米は特別だね。生きてる証しっていうか。自然と、命と、自分たちと。みんな引っくるめて、生きるぼくら。そんな気分になるんだ。」

 へえ、と人生は思わず声を漏らした。
 生きるぼくら。なんだかヘンテコだけど、そうとしか言いようのないフレーズ。その言葉が、ふっと手を伸ばして、人生の心の表面にそっと触れた気がした。 (P251)

 


 

竜馬がゆく〈3〉 (文春文庫)/司馬 遼太郎
¥660
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 「日本人です」
 「にっぽん人?」
 さな子は妙な顔をした。そんなものは実在しないのである。
 志士と名のつく者は、佐幕人か、神秘的勤王主義者か、あるいはこれとは別の分類でいえば、薩摩人、長州人、土佐人、幕臣、諸藩の士、公卿、といったように、それぞれが属している団体の立場や、主義に属し、それらを通してしか、ものを考えず、それによって行動した。薩摩の大久保一蔵、西郷隆盛、長州の高杉晋作、桂小五郎といった連中も、ついにはその所属藩の立場を超越できなかった。つまり、薩摩人、長州人であった。
 幕末で、日本人は坂本竜馬だけだったといわれる。 (P226)

楽園のカンヴァス/原田 マハ
¥1,680
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『ボン・ヴォヤージュ ~よい旅を~』 なんだか旅をしてきたような、まだ夢を観ているような気分、まだ心臓がバクバクしている感じ・・・。いい物語だった・・・。

情報誌の新刊コーナーの紹介で気になって本書を読んでみた。
実際手にとってみて、「読むかな~?」と思いながら数ページを読み、出だしの美術館のシーンと登場人物の暗さが重なって「読破しないかも・・・」と不安になったがとりあえず読み進めていった。
しかし100ページほどになると、もう虜に。
読み終えて、また最初のシーンや第一章を読み返すと全然違うことが見えてくる。そして上の詩も。

すっかりアンリ・ルソーのファンになった気分。

途中、「あの人はこの人かも」と思ったことが的中。ちょっとうれしい。

この本に出てくる『物語』をティムやオリエと一緒に読むことで、同じ空間にいるような錯覚になり、とても幸せな気分になれた。

ヤドヴィガが握っているモノを想像すると、またどんどん夢の中に引き込まれる・・・。

 甘き夢の中 ヤドヴィガは
 やすらかに眠りに落ちてゆく
 聴こえてくるのは 思慮深き蛇使いの笛の音
 花や緑が生い茂るまにまに 月の光はさんざめき
 あでやかな調べに聴き入っている 赤き蛇たちも
 (P33)


つるかめ助産院/小川 糸
¥1,470
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やっぱりこの人の本、大好き。『食堂かたつむり』もすごく好きだった。
やさしさを感じる文章に、感受性豊な表現。その中で登場人物はしっかりとした芯を持っている。
こういう雰囲気の人間になりたい。

この本を知ったきっかけは、NHKのドラマの予告。食堂かたつむりを書いた人の原作だ、と思って読んでみた。仲 里依紗と余 貴美子、ぴったりかも。放送中のドラマは見れてないけど、途中からでも見てみようと思う。

主な参考資料の20冊ほどある中に『ここ 食卓から始まる生教育』(内田美智子・佐藤剛史 著)が載っていた。私の本棚にもある本。コメントには、「ことに、内田由美子さん、村瀬明道尼さんの著作の趣旨には強く感銘を受けました。」とあった。なんだか、うれしい。

 なんて気持ちのいいお天気だろう。体中の細胞が、両手を伸ばし万歳をする。すべての景色が光って見える。 島中の緑という緑が、歓声を上げているようだ。鳥達は、この世に存在するありとあらゆる素敵なことを語り尽くすかのようにお喋りに夢中だし。光がぽんぽん と弾け、朗らかな風が吹き抜けていく。こんな日は、自分が生きていることを、無条件で喜びたくなってしまう。 (P217)

蜩ノ記/葉室 麟
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久しぶりに本を読んでいい涙を流した・・・。『壬生義士伝』(浅田次郎著)を読んだ時もこんな涙を流したな・・・。

戸田秋谷は、これが武士というもんだっていう威厳のある人ではない。武士を超えて、人間としての威厳があり、また謙虚さ、達観、深い愛情を持ったすばらしい人だった。
私もこうありたい!!

秋谷を切腹へと陥れた中根平右衛門、その父の最期の言葉、「出世したければ、武士として恥じない生き方――曲がったことができない、まっとうな生き方、戸田秋谷のような――をしないといけない」が印象に残った。出世のためなら手段を選ばないような策略家だった本人が最期跡取りに残した言葉・・・そうきたかっ。

途中、ミステリーのようになったところも面白かった。

 秋谷が隠逸(いんいつ)の花だと言う慶仙の声の響きには真率なものがあった。まさに秋谷は孤高で世に隠れた逸物であり、その生き様を香らせるのが、薫と郁太郎だと慶仙は言っているのだ。 (P187)