蜩ノ記/葉室 麟
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久しぶりに本を読んでいい涙を流した・・・。『壬生義士伝』(浅田次郎著)を読んだ時もこんな涙を流したな・・・。

戸田秋谷は、これが武士というもんだっていう威厳のある人ではない。武士を超えて、人間としての威厳があり、また謙虚さ、達観、深い愛情を持ったすばらしい人だった。
私もこうありたい!!

秋谷を切腹へと陥れた中根平右衛門、その父の最期の言葉、「出世したければ、武士として恥じない生き方――曲がったことができない、まっとうな生き方、戸田秋谷のような――をしないといけない」が印象に残った。出世のためなら手段を選ばないような策略家だった本人が最期跡取りに残した言葉・・・そうきたかっ。

途中、ミステリーのようになったところも面白かった。

 秋谷が隠逸(いんいつ)の花だと言う慶仙の声の響きには真率なものがあった。まさに秋谷は孤高で世に隠れた逸物であり、その生き様を香らせるのが、薫と郁太郎だと慶仙は言っているのだ。 (P187)