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モルトについて考えてみたいと思います。

つらつらダラダラ書いていきます。下記の目次で必要と思う部分のみ読んでみてください。

詳しく知りたい方は熟読ください。


①モルトとはいったい。

②モルトをどうして利用するのか

③モルトシロップとモルトパウダーの違い(結構質問が多い項目です)

④モルトシロップって代用可能?



①モルトっていったい何?????

モルトは「麦芽」の事です。

簡単に言うと、麦芽糖と酵素です。


以下はクドクド小難しい説明です。


麦芽には、でんぷんを糖化するアミラーゼや、タンパク質を分解するプロキアーゼなどの各種酵素がふうまれており、製パン・ビール・ウイスキー・医薬用消化剤(ジアスターゼ)の原料として使われている。

※ジアスターゼとは、αアミラーゼとβアミラーゼの混合物(澱粉をデキストリンに変えるのがαアミラーゼ・デキストリンを麦芽糖にするのがβアミラーゼ)。


発芽したばかりの種子の内部で糖化酵素が作られて、高い活性を再現するためには、根や芽が出て光合成によってエネルギー合成ができるようになるまでの期間、成長に必要なエネルギーが種子の中のでんぷん質に含まれている。という事は、大麦に限らず、米・小麦・トウモロコシなどでも発芽によって同じ現象が起こる。

※糖化酵素の量や、活性は植物の種類によって大きく異なり、米やトウモロコシは比較的量が少ない。

 比較的安価に入手できる穀物のなかでは「大麦」が最も酵素の質・量とも良い。


②モルトをどうして利用するのか


簡単に言うと

1・酵母の餌

2・生地の伸びが良くなる

3・美味しい焼き色がつく

4・パンのふくらみが良くなる。


1・無糖生地における、最初の酵母の栄養源(麦芽糖→ブドウ糖・ブドウ糖となり酵母の餌となる)


2・アミラーゼによる澱粉分解による酵母の栄養源の確保(要は澱粉→糖に変える役割)

  スタート時はフランスパンの様な無糖生地には、澱粉があるけど糖がない。澱粉→デキストリン→麦  

 芽糖→ブドウ糖と分解されて糖が作られるまでに酵母は栄養が乏しい状態にある。そのはじめの糖にな 

 るし、アミラーゼがある事によって、3時間後ぐらいの生地の中では、澱粉糖化がすすみ生地内に糖が

 増えた状態=酵母の餌がたくさんある状態になっている。


3・プロテアーゼによるタンパク質の軟化(伸びが良くなる)

  生地の伸びが良くなると、機械耐性もよくなるし、生地が傷みにくくなり扱いやすくなる。手ごねの場合 

  も捏ねやすいし、生地が切れにくくなる※入れすぎるとダレる。



4・焼き色の改善(簡単に糖を入れるので糖の総量が増えるし、分解酵素によって糖がどんどん供給され 

 る状態にある。その上、酵母は果糖やはちみつの糖から消費して、 麦芽糖は最後の方に消費されるの

 で残りやすい)

③モルトパウダーとモルトシロップの違い



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①「モルトフラワー(粉末モルト)」

②「モルトシロップ(液体モルト)」


①モルトパウダー

モルトは大麦を発芽・乾燥・粉砕・精製した製品です。


②モルトエキス

麦芽(モルト)を糖化し、減圧濃縮したもので、麦芽独特の風味と甘味のある茶褐色で粘調な液体です。



モルトは大麦を水で湿らせて、一定条件のもとで発芽させた大麦のジアスターゼによって加水分解したものを高温度で抽出し、濃縮した褐色のシロップのシロップの事をモルトシロップ、粉砕して乾燥させたものがモルトパウダーと言えます。パウダーの方が乾燥させるという行為が少し活性を弱めてしまいます。

しかも、パウダーにはいろいろビタミンCや乳化剤等が添加されているものもあるので、選び方には注意が必要です。私はシロップを使います。



「モルトシロップ」を「モルトパウダー」に変えても良いですか?

という質問をよくいただきます。


それに関してわたしの勝手な意見です。

私は代用可能だと考えています。ただし、ひとくくりに「モルト」といっても活性も違えば製法もいろいろメーカーによって違いがあります。自分がモルトをどうして使うのかを明確にしてください。

代用する場合は、表示通りきちんと守って使ってください。そのメーカーの商品がなれたら、自分なりにプラスマイナスを考えて行っても良いと思います。


そもそもユーロモルトと国産のモルトは同じシロップでも「酵素活性(澱粉糖化能力やタンパク質分解能力)が違う」という事を念頭に置いてください。


私はモルトを使う大きな理由は「焼き色を付けたい」という事です。

そのためには、麦芽糖が必要(モルトに含まれる麦芽糖ももちろん、その後に酵素によって分解されてできる麦芽糖も必要)。発酵後3時間以上たったときの生地内に糖がどれだけ残っているかが問題です。


「砂糖で代用できますか?」

酵母のスタート時の餌と、焼き色の改善という部分だけ考えたらできます。

でも1~2%代用してもNGです。酵母はいわゆる一般のイーストの使用量を使ったパン作りをすると、1時間で1~2%の糖を消費します。という事はスタート1時間で入れた砂糖なんてすぐに消費されてしまいます。残したい場合は、6%を目安に添加しないと駄目です。

そもそもの砂糖の甘さであり、澱粉が糖化する中での小麦の深さ、雑味からなる甘味とは違います。

だから私は砂糖での代用はおすすめしません。


「はちみつは?」

理由は砂糖とまったく同じです。

でも、「オーガニックハニー」などを使ったときは話は別です。熱処理をしていないこだわって作ったはちみつがありますが、それははちみつの持つ「酵素」があります(加熱していないので残っています)。それが作用する可能性はありますが、どれだけどのように効果があるのかは不明だし安定しないので・・・。


というわけで、ハード系をたくさん焼く方は「モルトエキス」を買ってください。

パウダーでもよいですが、パウダーの場合は「麦芽」のみのものを使用してください。

そして必ず「水」にとかしてから」使う。

その方が①活性が上がる②生地内に均一に散りやすくなる


「パウダーの方が窯伸びのするパンになる」という事がよく言われます。

あまりそのような感覚を覚えたことはありません。どちらかというと、パウダーを入れたときはそんなに効果ってあるのかなぁ・・と思ってしまう事はあります。


でもモルトエキスは違いがよくわかります。

私が勝手に想像するに、ジアスターゼの活動が良いので粉の味が深まるし、糖はあるし、生地も伸びが良くなるのでいい具合に扱いやすくなる。


でも入れすぎ(特にαアミラーゼの入れすぎ)はダレやすくなってしまいます。グルテンを支えるはずの壁(澱粉)がもろくなっているのですから。



モルトとはどのような効果があるのかが分かったら、納得して使用することができると思います。


私もモルトをレシピに入れてしまう事により、いろいろ「代用できますか?」と質問されます。

でも、シンプルなパンを上手に作るためには必ず入れたほうが良いのではないかとおもいます。

今まではわざわざ買っていただくのも申し訳ないと、イーストのクラスはしておりましたが、

今後は使いたいと思います。


※モルトシロップの方が活性が強いというシェフもいれば、モルトパウダーの方が活性が強いというシェフもいらっしゃいます。家庭の場合はモルトパウダーの方が使い勝手が良いですし、パウダーの場合は余った場合はクッキーやスコーンに入れても美味しくなるので試してみてください。モルトシロップも種類により活性が違うとかいろいろ言いますが、劇的に違う!と感じたことはないので・・・。家庭製パンレベルならどれを使っても構わないと思いますが、

入れると入れないとは大違いだと痛感しております。