前回は卒論テーマが決まってからの「問いの立て方」について述べました。
しかしながら、要卒単位は充しているのに「卒論の壁」によって卒業が長引く、もしくは諦めるといったケースも見受けられます。
壁を乗り越えられない事例は主に2つ。1つは、書きたいテーマはあるが「問い」が立てられないケース。2つ目は、そもそも書きたいテーマが見つからないというケースです。後者の場合は卒論指導登録はできても指導申込ができません。慶應通信の場合は学位附与の要件として卒論提出が義務付けられているので、ここを避けるわけには参りません。
ということで卒論テーマの決め方を私なりに考えてみました。私の場合は、履修の幅が広がる中で書きたいテーマは山のように積み上がりましたが、その絞り込みに悩みました。そして最終選択はやはり自分にしか書けないだろうと思われるテーマを選びました。
自身がやってきた仕事の中で感じてきた疑問や課題、その世界での貢献を果たしたいという気持ちを卒論のテーマにしたのです。これはスライドにある「当事者」であることが最後まで書き切れる力になると思ったからです。
さらには大きなテーマから論点を絞り込み、業界で解決ができていない問題に焦点を当てることで「話題性」と「即時性」のある論文に仕上がるのではないかと考えました。あとは論文のオリジナリティを担保するためにその切り口をどうするかということも重要でしたが、その点は指導教員とのやりとりの中で研ぎ澄まされることになりました。
私は法学部と経済学部で2本の卒論を提出しましたが、そのいずれも当初の論文構想とは違った着地点になりました。その辺りのことは改めてお話ししたいと思います。