「法の理念は正義であり法の目的は平和であるが、法の実践は社会悪とたたかう闘争である」
この言葉を残したのは民法学者の末川博先生です。
滝川事件(京大事件)をきっかけに京都大学を依願免官し、第2次大戦後に立命館大学の抜本的改革を行うべく学長として迎えられました。
末川氏は大学の教学理念に「平和と民主主義」を掲げ、学生を含めた全学代表による総長公選制など「立命館民主主義」と呼ばれる先進的な大学運営を推進しました。
末川氏は終戦後に京都大学への復帰を打診されましたが、それを断っています。
「復帰の正式交渉は受けていない。しかしそんな話を持ち込んできてもはっきり断るまでだ。官等や位階勲章を身につけて教壇に立っている官立大学にどうして民主主義的な学園が生まれよう。欧米の有名、権威ある大学のほとんどは私立である。私学においてこそ学的良心に反しない研究態度が求め得られるのだと信じている」と記者の取材に答えています。
立命館大学の衣笠キャンパスには彼の言葉が石碑に残されています。
「未来を信じ、未来に生きる」