法学の作法「刑法」 | 慶應通信で実学を学ぶ

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【第78期】2024年4月に文学部1類に入学しました。学びに終わりはありません。

【法学の作法】

 

 法律学における答案や小論文では「答え」だけではその善し悪しは決まりません。「違法である」「違法でない」という 結論を導いた「プロセス=思考過程」が法律的であるか否かによってその善し悪しが評価されます。

 

○「法的な思考」とは「規範」→「あてはめ」→「結論」 といった法的三段論法が有効になると思われます。つまり、①当面の問題を含めた多くの問題に妥当する抽象的な規範を定立する。②それを当面している問題に対してあてはめる(条文のあてはめ)。③当面の問題がその規範に当てはまるか当てはまらないかによって結論を導くというプロセスです。



 


ここで重要ワードの定義を整理しておきます。

 

※「規範」 

  その行為が違法か否かを判断する基準。

  刑法の場合 

  「倫理規範違反説」 国家・社会的倫理規範に違反する。

  「法益侵害説」   法益を侵害・危殆化する。

 

※「法益」 

  法的な保護に値する利益、権利として保障された利益

  

※「権利」 

  法的に保障された社会生活上の利益を享受しうる地位

 

 また刑法では「行為無価値論」と「結果無価値論」という2つの対立する論点も理解しておく必要があります。ざっくりいうと、どこを重視して「違法性」を判断するのかの立場が分かれるというイメージです。「結果無価値論」では法益の侵害やその危険性が違法の本質と捉えます。違法性を結果で判断する立場と言えそうです。これに対して「行為無価値論」では結果の不正だけでなく、行為の不正、マイナスの価値も違法性の本質であるという考え方になります。